化粧品素材の規制・代替リスクにどう挑む? タルク代替からバイオ素材までの最新動向【有望市場サクッとダイジェスト】

2026/10/08

Image

インバウンド需要の再拡大や製品の高付加価値化を背景に、着実な成長を続けている国内化粧品市場。一方で、原材料の高騰や世界的な規制強化など、日々の処方開発を取り巻く環境の大きな変化を実感されているのではないでしょうか。現在、製品開発のアプローチそのものの進化に加え、これまで当たり前に使われていた素材の見直しも急速に進んでいます。本記事では、化粧品素材における研究開発で起きている最新トレンドをピックアップしてご紹介します。

AIの活用と、進化するOEM/ODMパートナーシップ

近年ではAIを活用した処方設計が本格化しており、これまでのノウハウと最新テクノロジーを掛け合わせた新しい処方開発が進んでいます。

また、複雑化する海外規制への対応やサステナビリティへの配慮など、研究者のお困りごとに寄り添うOEM/ODM企業との連携も重要性を増しています。OEM/ODM企業は単なる製造委託先にとどまらず、高度な技術力や企画提案力を分かち合い、独自の原料開発から伴走してくれるパートナーへと進化を遂げています。

多様化する現場の課題を、ともに解決するパートナーの動向を知ることは、開発の負担を減らし、より良い製品づくりの近道となります。

Image

図1:化粧品開発・受託製造の構造転換フロー

待ったなしの「世界的な規制強化」と「代替素材」へのスムーズなシフトを目指して

開発体制の進化と同時に、世界の化粧品規制もこれまでにないスピードで厳格化しています。たとえば、粉体化粧品の基材として親しまれてきた「タルク」は、国際がん研究機関(IARC)による発がん性リスクの引き上げ(グループ2Aへの分類変更)を受け、米国FDAなどの規制動向に大きな注目が集まっています。現場では、多段階分析によるアスベストフリー保証を強化したプレミアムグレードへの切り替えや、多孔質シリカや合成マイカなどを用いた「ノンタルク処方(タルクフリー)」へのスムーズな移行が模索されています。

また、環状シリコーン規制を受けた植物由来エステル代替技術、マイクロプラスチック規制に対応するサステナブル粉体、海洋生態系に配慮したリーフセーフ紫外線吸収剤など、時代の要請に応える新たな選択肢が広がっています。

Image

図2:主要化粧品素材における転換の変遷

最先端バイオテクノロジーが生み出す次世代の高機能素材

課題への対応が進む一方で、新しい技術の登場は、これまでにない価値を生み出す大きなチャンスでもあります。

特に関心が高まっているのが、皮膚常在菌(スキンマイクロバイオーム)研究の進展です。さらに、ヒト・植物エクソソームや人工コラーゲンなどの「バイオベース構造タンパク質」をはじめとする先端バイオテクノロジーを応用したエイジングケア・鎮静素材が、新たな研究テーマや素材の選択肢として浮上し始めています。

これらの素材は、科学的証明やエビデンスの蓄積においてまだ研究段階にあるものも含みますが、新しい機能性や価値を追求する市場の関心と相まって、今後の技術革新や応用開発の可能性を探るうえで注目の領域となっています。

これからの処方設計と研究開発を支える一冊を刊行

今回ご紹介したトレンドは、いま業界で起きている変化のほんの一部です。

新刊『化粧品素材・受託製造の市場動向2027』の第I編では、国内の主要メーカーの動きから受託製造(OEM/ODM)企業の最新の取り組み、DX・AIの活用状況までを詳しくまとめています。そして第II編では、色材、脂質、界面活性剤から最新のバイオ素材、紫外線吸収剤まで、関心の高い75品目の素材を厳選し、規制動向や代替技術、今後の開発の方向性を分かりやすく解説しています。

Image

図3:『化粧品素材・受託製造の市場動向2027』2026年9月30日発行

『化粧品素材・受託製造の市場動向2027』は、2026年9月30日発行です。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。

Image

上本朋美(うえもと ともみ)

シーエムシー出版編集部所属(大阪)。雑誌『月刊 機能材料』の編集を経て、現在はレポートの企画・編集業務に従事しています。エレクトロニクス、新材料、エネルギー、医薬、化粧品など産業界で注目されているテーマの情報発信に努めます。

関連する特集