市場拡大中!CO2の回収・貯留そして有効利用【有望市場サクッとダイジェスト】
2025/06/11「有望市場サクッとダイジェスト」では、Chematelsの編集チームに加わった技術系専門書出版社「シーエムシー出版」の編集担当者が、注目分野の市場動向について伝える新刊書籍の出版タイミングに合わせ、その分野のポイントをお届けしています。今回は、地球温暖化対策の一つである「二酸化炭素の回収・利用・貯留」の分野を取り上げます。温室効果ガスとして影響度の高い二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する技術や、さらに利用する技術の開発が進められており、幅広い分野での実用化が目指されています。この技術について概説し、書籍の読みどころを紹介します。
温室効果ガスで影響度が最も高いCO2、濃度はいまも増加の一途
地球全体の平均気温が上昇しています。地球温暖化の原因物質は、二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素などの温室効果ガスであり、これらの大気中の濃度が増加すると地表面の温度が上昇します。
中でもCO2は最も温暖化への影響度が高いガスといわれています。産業革命以降における化石燃料の使用増加に伴い、地球全体のCO2濃度は、工業化が本格化する以前に当たる1750年以前の平均的な値とされる278ppmと比べ、49%増加しています。そして、直近の半世紀においても、増加の一途をたどっています(図1)。

図1:地球全体の二酸化炭素濃度の経年変化
(出所:温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)
「地球全体の二酸化炭素の経年変化」気象庁ホームページ
世界的に注目を集め、研究と実用化が進むCO2の分離・回収
日本では2020年に政府が「2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と宣言したのを機に、地球温暖化対策の一環として「二酸化炭素の分離・回収・貯留・利用技術」への注目が急速に高まりました。
発電所や化学工場などから排出されたCO2を分離・回収し、地中や海底深くに貯留・圧入する技術は「二酸化炭素回収・貯留」(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)とよばれます(図2)。この技術の研究と実用化が、国内外問わず精力的に進められています。

図2:CCSの流れ
(出所:資源エネルギー庁ウェブサイト「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2集めて埋めて役立てる『CCUS』」
日本では「CO2の利用」も含む技術への関心が高まっている
また、分離・回収したCO2を化学的に有用物質に変換して再利用することも含めた技術は「二酸化炭素回収・利用・貯留」(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)とよばれます。特に日本では、CO2を有用物質に変換する技術であるCCUSの研究開発が精力的に進められています。シーエムシー出版でも関連書籍を多数発行しており、その売れ行きから企業の関心の高さを実感しています。
CCUSでは、まず、CO2を化学吸収法、物理吸収法、物理吸着法、膜分離法、深冷分離法、直接空気回収技術(DAC:Direct Air Capture)などで分離・回収します。その回収したCO2を活用した石油増進回収法(EOR:Enhanced Oil Recovery)といった技術や、炭酸ガス・ドライアイス、メタノール、エタノール、メタン、尿素、合成ガス、ポリカーボネート、ポリウレタン、プロパン、オレフィン、ベンゼン・トルエン・キシレン(BTX:Benzene, Toluene, Xylene)、エチレングリコール、ギ酸、コンクリート・セメント、炭酸塩、炭素、合成燃料といった製品の開発・実用化が検討されています。

図3:CCUSを活用した開発・利用分野
(出所:山地憲治監修、布川信・鈴木恭一ら著『二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術の最新動向』シーエムシー出版(2022))
CO2回収・利用・貯留の技術と市場をまとめたレポートを刊行
新刊『二酸化炭素の回収・利用・貯留の技術と市場』では、CO2の回収・利用・貯留について、その技術動向と市場動向を取り上げています。

図4:『二酸化炭素の回収・利用・貯留の技術と市場』2025年5月26日発行
本書のとりわけの読みどころを紹介します。
「技術編」では、第一線で活躍中の専門家たちが、CO2分離回収技術、CO2分離膜、DAC技術、CO2を活用した基礎化学品合成、CO2からメタン・一酸化炭素への転換技術、CO2-メタネーション技術、メタノール製造、環状カーボネート合成、CO2原料合成液体燃料製造、SAF合成技術、光触媒を用いたCO2燃料化・資源化、製鉄所からのCO2分離回収技術、空隙スケールから見たCCSの現象理解、CCSの事業化・商業化などについての技術動向を執筆しています。CO2の回収・利用・貯留をめぐる技術の全体像を把握できる内容となっています。
「市場編」では、日本の温室効果ガス排出量、CCS・CCUSの概要、CO2分離技術・材料の市場、CO2利活用製品の市場動向、主要な参入企業の動向について調べてまとめました。
技術動向と市場動向をまとめた本書は、化学メーカー、プラントエンジニアリング、製鉄所、発電所などで、この技術に関する開発・研究をされている方々に向けて、お役に立てる情報満載の一冊です。
『二酸化炭素の回収・利用・貯留の技術と市場』は、2025年5月26日発行です。詳しくは、こちらの案内をチェックしてみてください。誌面サンプルもご登録の上、ご覧いただけます。
井口 誠(いぐち まこと)
シーエムシー出版大阪支店。編集者。エレクトロニクス、新材料、医薬品、バイオテクノロジー、環境技術、エネルギーなど、産業界で注目されている旬なテーマを書籍化しています。

