再生・細胞医療を支える足場材料! 化学メーカー参入で市場が活性化【有望市場サクッとダイジェスト】

2026/02/19

Image

「有望市場サクッとダイジェスト」では、注目分野の市場の状況や動向をシーエムシー出版の編集担当者が、新刊のタイミングに合わせてダイジェストでお届けしています。今回のテーマは「再生医療用足場材料」です。足場材料は、細胞を培養容器の表面に定着させるための接着剤のような役割を担っています。この記事では足場材料の概要や、急速に拡大する市場の背景、そして、新刊の読みどころをお伝えします。

細胞培養に不可欠な足場材料は、組織工学や再生医療でのキーマテリアル

Image

図1:再生医療の細胞培養に足場材料は不可欠
⁠(画像はイメージ)

足場材料は、体内に近い環境を形成し、細胞の機能発現を支える土台として不可欠であり、組織工学での研究や再生医療での臨床応用におけるキーマテリアルといえます。素材の主な分類として、合成高分子材料、天然高分子材料、無機化合物、複合材料などが挙げられます(図2)。

利用フリー画像

Image

図2:足場材料の主な分類と特徴・用途
⁠(出所:シーエムシー出版 2026年出版『再生医療・細胞培養用 足場材料の開発と市場2026』【市場編】第3章「足場用素材別の動向」を元に作成)

化学メーカーが材料設計技術の強み生かし、バイオマテリアル分野へ参入中

世界の足場材料市場は急速に拡大しています。年平均成長率は10%以上とされ、2024年には約20億米ドル、2033年には約60億米ドルに成長すると推測されています。

市場拡大の背景的な要因の一つに、化学メーカーによる再生医療などのバイオマテリアル事業への参入があると考えられます。以前から足場材料に使用されているコラーゲンなどの動物由来原料を産業的に大量生産するには、ロット差や保存性の課題などを解決する必要があります。そこで、高分子設計などの材料技術を培ってきた化学メーカーが、安定性・設計性・保存性に優れた足場材料の開発を進めているのです。

さらに、政府による支援も市場拡大を後押ししているとみられます。経済産業省は「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金(再生CDMO補助金)」として、再生・細胞医療・遺伝子治療製品を受託製造する受託開発・製造事業者(CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization)の設備投資やインフラ整備、人材育成を支援しています。2025年7月には採択事業者13社を決定し、再生・細胞医療分野の産業化を加速させています(図3)。

利用フリー画像

Image

図3:再生CDMO補助金の概要
⁠(出所:経済産業省「再生・細胞医療・遺伝子治療製造設備投資支援事業費補助金」ウェブサイト情報を元に作成)

また、再生・細胞医療周辺産業の製品・サービスに関する標準を主導・開発し、これらに基づく「FIRMマーク」の認証制度を構築している一般社団法人の再生医療イノベーションフォーラム(FIRM:Forum for Innovative Regenerative Medicine)は、経済産業省と協力し「再生医療等製品CDMO企業リスト」33社(2026年2月2日時点)を公表しています。再生・細胞医療の領域で課題となっている製造分野について、創薬開発の主体となるアカデミアや創薬ベンチャーとCDMOのマッチングを促進することを企図したものとされます。

このように国内の技術革新と体系的な取り組みが積み重なることで、再生医療のためのシステムは研究基盤にとどまらず、社会全体での実装と持続可能な発展に向けて着実に構築されています。

再生医療・細胞培養用足場材料の研究開発と市場をまとめた書籍を出版

新刊『再生医療・細胞培養用 足場材料の開発と市場2026』では、急成長を遂げている足場材料の研究開発と市場動向を収載しています。

本書は、「技術・開発編」と「市場編」の2部構成です。

「技術・開発編」では、脱細胞化組織、化学合成足場材、温度応答性基材、自己組織化ペプチドハイドロゲルなどの足場材料をめぐる最新技術を解説しています。

「市場編」では、国内外の市場動向や、ポリL-乳酸、コラーゲン、ハイドロキシアパタイトなど素材別の需要動向、また主要メーカー31社の動向に迫っています。

再生医療・細胞培養の研究開発に携わる研究者・エンジニアの方々だけでなく、バイオマテリアル・ライフサイエンス分野への新規参入を検討中の方々も参考にしていただける内容となっています。

Image

図4:『再生医療・細胞培養用 足場材料の開発と市場2026』2026年1月30日発行

『再生医療・細胞培養用 足場材料の開発と市場2026』は、2026年1月30日発行です。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。

Image

上本朋美(うえもと ともみ)

シーエムシー出版編集部所属(大阪)。雑誌『月刊 機能材料』の編集を経て、現在はレポートの企画・編集業務に従事しています。エレクトロニクス、新材料、エネルギー、医薬、化粧品など産業界で注目されているテーマの情報発信に努めます。

関連する特集