栄養素と研究材料の宝庫「魚肉タンパク質」の市場は拡大中!【有望市場サクッとダイジェスト】

2026/01/20
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世界のタンパク質市場が堅調な伸びを示しています。要因としては、健康志向と栄養意識の高まり、世界人口の増加と経済成長、技術革新と製品開発、流通の拡大などがあげられています。世界保健機関(WHO:World Health Organization)や国際連合食糧農業機関(FAO:Food and Agriculture Organization of the United Nations)などがタンパク質摂取の重要性を強調していることもあり、筋肉増強、体重管理、免疫力向上などを目的に高タンパク質食への関心が高まっています。なかでも魚食と寿命や健康との関係はよく知られています。今回の「有望市場サクッとダイジェスト」では、Chematelsの編集チームのシーエムシー出版が刊行する書籍『魚肉タンパク質の技術と市場』の刊行タイミングに合わせ、魚肉タンパク質の有用性、魚食普及活動の状況、そして有望市場としての展望などをかいつまんで紹介します。

EPA・DHA研究が隆盛のなか、魚肉タンパク質が再評価され研究が進展

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図1:魚介類にはタンパク質が豊富に含まれている

魚介類たんぱく質の栄養機能や健康機能に関する研究は、イコサペンタエン酸(EPA:Eicosapentaenoic acid)やドコサヘキサエン酸(DHA:Docosahexaenoic acid)などの魚油中の脂肪酸に比べて、極めて少ない状況でした。

しかし、21世紀に入ると持続可能な漁業および水産資源管理の観点から、魚肉タンパク質が再評価されるようになり、その機能性や健康効果に関する多岐にわたる研究が進展しています。

ニッスイ、スケソウダラ速筋由来タンパク摂取による筋肉増強作用を研究

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図2:スケソウダラの切り身。白みを帯びた「速筋」が多く含まれる

筋線維とも呼ばれる筋肉の線維には、瞬発力をつかさどる「速筋」と、持久力をつかさどる「遅筋」があります。速筋は白みを帯び、遅筋は赤みを帯びていることから、それぞれ「白筋」「赤筋」とも呼ばれます。

「速筋」に関連して、ニッスイが研究成果を上げています。同社は2011年、魚のタンパク質研究に着手しました。当初はラットにおけるタンパク質摂取による血中脂質への効果を検討していましたが、スケソウダラ(図2)の速筋由来タンパク質(APP:Alaska Pollack fast-twitch muscle protein)を摂取すると、ふくらはぎの筋肉が増加するうえ、筋肉の色が白くなるという現象を見出し、速筋が肥大している可能性を発見したそうです。同社は2018年に「APP研究会」を設立し、機能性研究を行っています。

全さば連、「鯖ナイト」などで魚食普及を推進

消費者団体の全日本さば連合会(全さば連)はサバを楽しみ、サバカルチャーを発信し、サバで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動しています。日本全国の鯖や鯖料理を楽しみ、鯖について語るイベントを企画、実施しています。

また、同連合会は鯖消費および漁獲量の高い地域やサバ文化に力を入れる地域で多彩なサバ料理を楽しむサバグルメの祭典「鯖ナイト」を毎年開催しています(図3)。味噌煮や塩焼き、〆鯖だけでなく、アヒージョ、ボロネーゼ、コロッケ、パエリアなどの料理を展開しています。パンに焼いたサバと野菜、塩とレモン汁をかけたイスタンブール名物のサバサンドがありますが、一味違ういわば日本版のサバサンドも提供しています。

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図3:2025年3月開催の「鯖ナイト」
⁠(写真提供:全日本さば連合会)

魚タンパク質摂取でアスリートの運動パフォーマンスが向上

タンパク質はエネルギー産生栄養素です。魚のすり身中の水分以外の成分のうちタンパク質が占める割合は94.9%と高純度で、かまぼこはタンパク質の塊ともいえます。タンパク質と運動パフォーマンスに関して、筋肉合成や筋力増強、疲労軽減・回復、集中力向上、エネルギー代謝など多岐にわたります。

健康志向などを背景に、魚肉タンパク質市場が成長

世界のタンパク質市場については、堅調な成長が見込まれています。消費増加の要因としては、健康志向と栄養意識の高まり、世界人口の増加と経済成長、代替タンパク質への注目、技術革新と製品開発、e-コマースと流通の拡大などがあげられています。

WHOやFAOはタンパク質摂取の重要性を強調していますが、筋肉増強、体重管理、免疫力向上などを目的に高タンパク質食への関心が上昇し、動物性タンパク質の消費が増加しています。

動物性タンパク質の中でも魚肉タンパク質は、健康志向とともに高品質で持続可能なタンパク源として需要が拡大しています。

魚肉タンパク質をめぐる研究や市場の動向が分かる書籍を刊行

これらのような魚肉タンパク質をめぐる研究や市場の動向が詳しく分かる書籍『魚肉タンパク質の技術と市場』を2025年12月に刊行しました。

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図4:『魚肉タンパク質の技術と市場』2025年12月4日発行

本書は2編構成をとっています。2編あわせて全13章ありますが、その一部の章について紹介します。

「研究と普及活動編」では、第1章「魚肉たんぱく質のこれまでとこれから」で、魚肉タンパク質に関する歴史や特性、さらに今後の研究が進展しつつある栄養および健康機能的側面、ならびに注目すべき研究について紹介しています。また、第11章では、上記の運動の話題にあるような、魚タンパク質摂取と運動パフォーマンス向上について解説しています。

「市場編」では、第1章「タンパク質の市場」で、世界のタンパク質市場とフードテックなどを概観します。第2章「日本の水産業の新しい動向」では、スマート水産業、陸上養殖事業、次世代養殖事業などの動向を紹介しています。

『魚肉タンパク質の技術と市場』は、2025年12月4日に発行しました。詳しくは、こちらの案内をチェックしてみてください。誌面サンプルもご登録の上、ご覧いただけます。

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吉倉 広志(よしくら ひろし)

シーエムシー出版東京編集部。『内外化学品資料』および単行本を担当。雑誌からの書籍展開が多く、バイオテクノロジーや食品、石油化学、ファインケミカル分野の書籍化を数多く担当しています。タイトルは過去からお世話になった研究者・開発者の方々を中心に農薬、酵素、ポリウレタン、石化プラント、魚肉タンパク質などです。

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