規模1兆円超! 抗菌加工製品市場はいまなお拡大中【有望市場サクッとダイジェスト】
2025/10/28注目分野の市場動向について解説する「シーエムシー出版」の書籍の出版タイミングに合わせて、編集担当者がChematels読者みなさんに「先読み」できる記事をお届けしています。今回は、抗菌剤・抗菌加工製品の分野から。私たちの身の回りには抗菌加工製品が広く浸透しています。市場は拡大の一途です。抗菌の定義、日本での抗菌ブームの流れ、抗菌加工製品について紹介したいと思います。
細菌とウイルスは基本的に異なるもの
細菌は細胞を分裂させて自ら増殖できることから、生物の一種「原核生物」に分類されます。一方、ウイルスは細胞を持たない単純構造をしており、自力で繁殖できないことから生物には分類されません。このように細菌とウイルスは生物的に異なるため(図1)、抗する方法も異なってきます。

図1:一般的な細菌・ウイルスの大きさと構造。どちらも断面
(出所:農林水産省ウェブサイト「細菌とは何ですか?」などの情報を参考に作成)
似ている用語…最も広義に解釈されているのは「抗菌」
菌に対する用語については、日本石鹸洗剤工業会が図2のように分類整理しています。

図2:菌に対する用語のまとめ
(出所:日本石鹸洗剤工業会「石けん洗剤の基礎 『滅菌・殺菌・除菌・抗菌』などの用語」を参考に作成)
一般的には、「抗菌」という言葉が最も広義に解釈されています。「抗菌」は、「殺菌」「滅菌」「消毒」「除菌」「静菌」、それに衛生的にするといった意味の「サニタイズ」など、すべての菌制御についての語意を包含していると解釈されることが多くあります。
長らく続く「抗菌ブーム」の萌芽は1980年代
日本では「抗菌ブーム」が続いています。日常生活においても、肌着やまな板、便器、ボールペン、エレベーターのボタンなど、抗菌をうたう製品が広く浸透しています。
こうした抗菌加工された製品の始まりは、繊維にあったとされています。第二次世界大戦中にドイツの軍服に用いられ、戦傷者の二次感染を減らしました。日本には1955(昭和30)年に米国から加工技術が入りましたが、戦後まだ間もない時期で人々の生活に余裕がないなか、大きなニーズもなく定着せずに終わりました。
その後、高度成長期を経て人々の生活に余裕ができると、清潔さや快適さが求められるようになりました。抗菌にも関心が寄せられるようになり、安全性の高い加工技術の開発が進んできました。そのような背景から、1980年代に登場した抗菌防臭の靴下が日本の抗菌加工製品の先駆けとなりました。
さらに1990年代になると、耐熱性に優れた銀系の抗菌剤が誕生し、これによって用途の幅が広がり、住生活用品も加工されるようになりました。抗菌製品への需要は、1996年の腸管出血性大腸菌「O157」の大規模集団感染を契機に一気に高まることになりました。
市場規模1兆円超、加工製品数は5000以上…抗菌ビジネスは拡大の一途
抗菌加工製品とは、表面の細菌を増殖させないように加工されている製品をいいます。日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standard)では、加工されていない製品の表面と比較し、細菌の増殖割合が100分の1以下、つまり抗菌活性値では2以上である場合、その製品に抗菌効果があると規定しています。
抗菌加工製品はさまざまな種類があります(図3)。

図3:抗菌加工製品の分類
経済産業省の調査では、1996年の抗菌加工製品全体の市場は6092億円でしたが、2003年には8603億円と7年間で約1.4倍に拡大しました。現在、その市場規模はすでに1兆円を超えているといわれています。
また、抗菌加工製品の抗菌製品技術協議会(SIAA:Society of International sustaining growth for Antimicrobial Articles)登録数は、2007年では約1700点でしたが、2020年11月時点では約5600点と約3.3倍に拡大しています。
抗菌剤・抗ウイルス剤の市場動向がコンパクトにまとめられたマーケットレポート
このように市場規模や登録数が拡大するなか、『抗菌・抗ウイルス剤の市場動向』を出版しました。本書の章立てを紹介します。いずれの章も独自取材に基づき、図表写真を多用して最新の市場情報を分かりやすく掲載しています。
「第1章 抗菌・抗ウイルス剤の市場概況」では、市場拡大の背景、抗菌・抗ウイルス剤の利用・販売状況、抗菌・抗ウイルス加工マークについて概説しています。
「第2章 抗菌・抗ウイルス剤の種類と概要」では、抗菌・抗ウイルス剤の概要と作用機構、抗菌・抗ウイルス剤の種類について詳説しています。
「第3章 抗菌・抗ウイルス剤の需要動向」では、抗菌・抗ウイルス剤の需給動向、用途分野別抗菌・抗ウイルス剤の需要動向、抗菌・抗ウイルス剤の流通・価格について解説しています。
「第4章 用途分野別動向」では、繊維製品、プラスチック製品、塗料・接着剤分野、食品工業分野、医薬・化粧品分野、紙・パルプ分野、木材分野、金属加工分野、皮革分野、環境衛生分野について、それぞれの動向を紹介しています。
「第5章 メーカー動向」では、海外を含む26社の事業動向を追跡しています。
「第6章 海外動向」では各国の法規制を中心に整理しました。
抗菌・抗ウイルス剤の開発メーカーはもとより、日用品、家電製品、住宅建材、キッチン用品、トイレ用品、浴室用品、塗料・コーティング、事務用品、印刷、輸送機器、産業用機器、医療・介護、衣類など、あらゆる抗菌・抗ウイルス剤ユーザーの方まで、抗菌・抗ウイルス剤に関心をお持ちの方々の情報収集の一助となる一冊に仕上がりました。

図4:『抗菌・抗ウイルス剤の市場動向』2025年9月30日発行
『抗菌・抗ウイルス剤の市場動向』は、2025年9月30日発行。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。誌面サンプルもご登録の上、ご覧いただけます。
井口 誠(いぐち まこと)
シーエムシー出版大阪支店。編集者。エレクトロニクス、新材料、医薬品、バイオテクノロジー、環境技術、エネルギーなど、産業界で注目されている旬なテーマを書籍化しています。

