「触媒の劣化対策」はカーボンニュートラルへの決め手【先読み!研究開発トレンド】

2025/07/23
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「先読み!研究開発トレンド」では、Chematelsの編集チームに加わった技術系専門書出版社「シーエムシー出版」の担当者が、書籍出版のタイミングに合わせて、最先端の研究開発の中身を「先読み」できる記事をお届けします。今回は、「触媒の劣化対策」がテーマの書籍から。長期的かつ安定的な触媒利用に向け、劣化メカニズムの解明や長寿命化を達成する設計が極めて重要となります。この記事では触媒劣化対策の意義や、出版した書籍の見どころを紹介します。

劣化対策「急務」の背景に材料費高騰と環境意識の高まり

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図1:触媒の劣化により交換する段階となった自動車部品

触媒は、化学反応の速度を促進させる機能を持つ物質のことですが、貴金属やレアメタルが使われており、材料コストの上昇が課題となっています。そのため、触媒の劣化を抑制する対策が重要となります。対策により触媒を長寿命化したり再生したりすることで、使用量の削減につなげようとする取り組みが進められています。

触媒の劣化対策は、資源循環の実現や二酸化炭素の排出削減にも直結します。ハイブリッド電気自動車の普及や化学プラント・発電施設の持続的な運用のために、触媒による排出物の無害化などが欠かせず、触媒の耐久性向上や再生技術の重要性が増しています。

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図2:触媒の劣化対策とカーボンニュートラル社会

エネルギー関連技術の開発に触媒と劣化対策は不可欠

再生可能エネルギーの利用や、二酸化炭素を反応させてメタンを合成するメタネーションの実用化では、触媒が不可欠な役割を果たしています。

再生可能エネルギーを用いて水を電気分解し、グリーン水素とよばれる水素を製造する取り組みが目指されています。水素製造で、水の電気分解により水素を製造する際、電極に触媒が使われています。白金(Pt)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などです。

有機性廃棄物をバイオマス燃料として利用する際、熱分解などのプロセスにおいて触媒が使われます。また、再生可能エネルギーとは直接関係しませんが、バイオマス資源を化学品に変換するプロセスでは、水熱分解や水素化処理のプロセスがあり、やはり触媒が使われます。

水素と二酸化炭素からメタンを合成するメタネーションの技術や、おなじく二酸化炭素を用いてメタノールやエタノールを合成する技術では、銅触媒や金属酸化物触媒、また金属有機構造体(MOF:Metal Organic Frameworks)のような多孔性材料でもある触媒などが使われます。

このように触媒はエネルギー関連技術のさまざまな場面で使われています。コストや持続可能性の観点からも、触媒の高性能化のみならず、長期間にわたって安定的に使用するための劣化対策が求められています。

自動車排ガス浄化触媒システムの高性能化が課題

世界的な環境規制強化を背景に、自動車の排ガス浄化触媒システムのさらなる高性能化が求められています。

一酸化炭素、未燃炭化水素、窒素酸化物という三つの有害成分を同時に浄化できる「三元触媒」は1977年に実現化されて以来、ガソリン車などの排気ガスを処理するための装置として世界中で利用されてきました。大気汚染対策の要となる技術ですが、非常に高温な条件下での触媒反応のため、熱による劣化への対策が必要不可欠です。

また、世界的にシェアが拡大しているハイブリッド電気自動車においては、エンジンの稼働率が低く触媒温度が十分に上がりにくいため、触媒の温度管理が難しいという課題があります。このため、触媒の活性が低下したり貴金属が焼結したりといった劣化に対する対策が必要です。

触媒劣化対策の「いま」がまとめて分かる解説書を出版

新刊『触媒の劣化対策と研究展開』では、多数の触媒劣化対策の事例を挙げつつ、触媒の設計指針や性能評価のあり方などを含む研究展開の現状や動向を、第一線で活躍中の研究者・技術者が解説しています。

本書のとりわけの読みどころをご紹介します。

環境低負荷な工業生産が求められる現在、触媒の設計指針、活性予測、劣化の解析・診断・評価に関する最近の研究動向について解説しています。

また、今後必要な技術と想定されているバイオマス資源精製や廃プラスチック循環の技術、触媒の再生方法についても詳述しています。幅広く活用していただける内容となっています。

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図3:『触媒の劣化対策と研究展開』2025年6月27日発行

『触媒の劣化対策と研究展開』は、2025年6月27日発行です。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。

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為田直子(ためだ なおこ)

シーエムシー出版宣伝部(大阪)。2007年に入社以来、制作部でのレポート制作や雑誌『月刊機能材料』の校閲を経て、2025年7月より宣伝部に所属。大学時代は国文学を専攻しており、日本語表現の美しさ・言葉の力に無限の可能性を感じています。どんな方にも分わかりやすく、「為」になる情報を大阪の地から発信してまいります。

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