バイオマス発電、高効率の「熱分解ガス化方式」が熱い! 【先読み!研究開発トレンド】

2025/04/15
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このたびChematelsの編集チームに加わった技術系専門書出版社「シーエムシー出版」の編集担当者より、書籍出版のタイミングに合わせて、最先端の研究開発の中身を「先読み」できる記事をお届けします。初回は、地球温暖化対策の一つであるバイオマス発電の分野から。「高効率な方式」として大いに注目されている「熱分解ガス化方式」にフォーカスします。この方式の特徴や、書籍の読みどころを紹介します。

二つの売電制度でバイオマス発電の稼働容量は増加中

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図1:熱分解ガス化方式のバイオマス発電装置
⁠(画像提供:合同会社 バイオ燃料)

バイオマス発電の稼働容量が増加しています。背景に、2012年に始まった再生可能エネルギー固定価格買取(FIT:Feed-in Tariff)制度の利用拡大があり、さらに2022年4月に始まった売電価格に「プレミアム」を上乗せするフィード・イン・プレミアム(FIP:Feed-in Premium)制度も、勢いを後押しします。両制度の追い風により2023年末時点で約660カ所、原発5基分に相当する約500万kWのバイオマス発電所が稼働しています。

再生可能エネルギーとして注目のバイオマス発電

バイオマス発電は、バイオマス燃料、つまり動植物由来の有機物の中で化石資源を除いたものを利用した発電のこと。その方式は主に三つあります。「直接燃焼方式」、書籍でメインとして取り上げている「熱分解ガス化方式」、それに「生物化学的ガス化方式」です(図2)。

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図2:バイオマス発電の種類

小規模でも高効率な熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式では、バイオマス燃料を直接燃やすのではなく高熱で加熱しながら酸素を少量だけ供給することで、一酸化炭素(CO)、水素(H2)、メタン(CH4)といった可燃性ガスに変換します。そのガスを主にガスエンジンで燃焼し、エンジン出力で発電を行います。

3方式の中では直接燃焼方式が第一の方式に挙げられることが多いものの、火力発電と同じ原理で、効率よくエネルギー化を行おうとすると大規模設備となり、燃料も多く必要となります。世界的に燃料費が高騰する中、燃料を輸入に大きく依存する大型バイオマス発電所は、不採算から事業撤退する事例も見られます。

その点、熱分解ガス化方式は直接燃焼方式ほど燃料を必要としません。小規模ながら高い発電効率が得られるというのが最大のメリットです。

また、発電に使用しているガスエンジンから排熱を回収して熱供給も可能です。熱と電気を無駄なく利用できれば、燃料が本来持っているエネルギーを余すことなく活用でき、高い総合エネルギー効率が実現できます。熱分解ガス化方式は熱電併給に優れることから、その導入が増えています。

バイオマスのガス化に特化した初の技術書

新刊『バイオマスのガス化技術動向』では、熱分解ガス化方式をメインに取り上げ、同じガス化の観点から生物化学的ガス化方式も扱っています。

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図3:『バイオマスのガス化技術動向』2025年3月3日発行

本書のとりわけの読みどころを紹介します。

バイオマス発電の課題として、燃料調達の不安定さがあります。その燃料材の需給動向や利用可能な未利用材について解説し、課題解決に向けて考察しています。

また、バイオマスからの可燃性ガス製造技術の最新動向、メタン発酵によるバイオガス発電プラントの動向、海外製熱分解ガス化装置の動向についても詳細に解説しています。

熱分解ガス化方式で使われるガスエンジンは比較的高価であり、直接燃焼方式よりもコストがかかるため、排熱の利用も行う熱電併給によって経済性を向上させることなどが行われています。そこで、熱電併給事業の導入事例や採算性評価についても詳述しました。

昨今、ニュースでバイオマス発電所の爆発・火災事故を目にされた方もいると思います。実際に起きた爆発・火災事故例から再発防止策にどう取り組めばよいのかも解説しています。

バイオマスの熱分解ガス化に特化した技術書は、本書の他ではまだ見当たりません。発電事業者をはじめ、燃料調達業者、発電プラントメーカー、林業関係者などさまざまな業界の方やバイオマス発電の導入をお考えの自治体の方々へ向けて、お役に立てる情報満載の一冊です。

『バイオマスのガス化技術動向』は、2025年3月3日発行。詳しくは、こちらのご案内をチェックしてみてください。誌面サンプルもご登録の上、ご覧いただけます。

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井口 誠(いぐち まこと)

シーエムシー出版大阪支店。編集者。エレクトロニクス、新材料、医薬品、バイオテクノロジー、環境技術、エネルギーなど、産業界で注目されている旬なテーマを書籍化しています。

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