「20年後も愛犬と一緒に」アレルギー対応、オメガ3系オイル多含有のドッグフー ドを開発 ワイエス・ワン【気になる「あの企業ニュース」を追いかけろ! 第13回】

2023/04/06
「20年後も愛犬と一緒に」アレルギー対応、オメガ3系オイル多含有のドッグフー ドを開発 ワイエス・ワン 気になる「あの企業ニュース」を追いかけろ! 第13回

編集長:このごろ、ペットの犬も長生きになってきたようだね。

デスク:「老犬介護」という話も聞きます。人間のように、いかに飼い犬が健康で長生きするかに気を遣う飼い主が増えているでしょうね。アレルギーに悩まされるわんちゃんもいるみたいですし。

編集長:そういえば、アレルギーにも対応したドッグフードの反響が大きいと聞いたことがある。健康寿命を願うのは人間も犬も同じという考えで開発したとか。

デスク:特派員を送り込んで報告してもらいましょうか。注目記事になるかもしれません。

編集長:ワンチャンあるね!

デスク:……。

未病・予防を目指すドッグフードを開発

ワイエス・ワンは富山県で猫や犬用のペットフードを製造するメーカーです。代表取締役社長の坂田義典さんは「コロナ禍で相手先ブランドによる生産の発注が減りました。だったら、かねてよりつくりたいと思っていた『未病・予防を目指すドッグフード』をつくろうと思い立ったのです」と振り返ります。

ワイエス・ワンのグループ会社であるズークスの取締役には複数の獣医師が名を連ねます。獣医師が中心となって「20年後も愛犬と一緒にいたい」という願いに寄り添う、未病・予防を念頭に置いたドッグフード「DOZO」を開発し、2022年5月から販売を開始しました。

図1:ドッグフード「DOZO」。「総合栄養食」や「低アレルゲン」をうたう。食事をさしだす「どうぞ」と、20年後まで一緒にという「ZO」を重ね合わせて商品名をつけた ⁠(写真提供:ズークス)

図1:ドッグフード「DOZO」。「総合栄養食」や「低アレルゲン」をうたう。食事をさしだす「どうぞ」と、20年後まで一緒にという「ZO」を重ね合わせて商品名をつけた
⁠(写真提供:ズークス)

DOZOの主原料は、生鹿肉と生馬肉です。また、健康をサポートする食材として、乳酸菌YM2-2、ブルーベリー茎粉、 脱脂えごま、クコの実を加えています。免疫力の向上、腎機能改善効果、ホルモン様物質の働き抑制、滋養強壮といった効果が期待できます。

保存料、着色料、発色剤、防腐剤は使っていません。犬が喜んで食べるようにするためのオイルコーティングや香料の配合をしないのも、こだわりの一つです。

また、犬がアレルギーを起こしやすいリスクのある素材は使用していません。グルテンフリーやグレインフリーに狙いを定めて開発しました。

表1:不使用の犬主要アレルゲン素材 ⁠(出所:DOZOサイト「商品の特徴」より編集部作成)

表1:不使用の犬主要アレルゲン素材
⁠(出所:DOZOサイト「商品の特徴」より編集部作成)

「アレルギーに悩む犬は、食べられるドッグフードがなくて困っています。そんな犬がDOZOだけを食べていてもしっかりと栄養が摂れるようにしています」と坂田さんは言い、アレルギー犬とその飼い主を支える姿勢を示します。

オメガ3系脂肪酸の含有割合を高める

DOZOは 米国飼料検査官協会(AAFCO:the Association of American Feed Control Officials)規定における成犬用に定められた栄養成分統計に沿うよう作られており、DOZOと水だけでも十分な栄養が摂れるようにと考えられています。

「特にこだわったのは、不飽和脂肪酸です。アレルギー反応や炎症反応、血液凝固反応を引き起こすとされるオメガ6系不飽和脂肪酸を減らし、オメガ3系の割合を増やしました。限られた食材でこの比率に到達するのに苦労しました」と坂田氏は胸を張ります。同社サイトによると、「エゴマやアマニ、魚に含まれるオメガ3不飽和脂肪酸は、脳や目の神経の機能を正常に保ったり、炎症をはじめとするさまざまな病気の原因になっている反応を抑えることができます<sup>*1</sup>」とのことです。

図2:不飽和脂肪酸の含有割合。オメガ6系の代表例はリノール酸など。オメガ3系の代表例はα-リノレン酸。ドッグフードに含まれる脂肪酸の重量パーセントを表示 ⁠(出所:DOZOサイト「DOZOドッグフードの栄養のヒミツ 豊富なオメガ3」をもとに編集部作成)

図2:不飽和脂肪酸の含有割合。オメガ6系の代表例はリノール酸など。オメガ3系の代表例はα-リノレン酸。ドッグフードに含まれる脂肪酸の重量パーセントを表示
⁠(出所:DOZOサイト「DOZOドッグフードの栄養のヒミツ 豊富なオメガ3」をもとに編集部作成)

「これだけのこだわりを詰め込んだドッグフードを形にするのはとても大変でした。私の愛犬の太郎丸に試食してもらおうとしても、最初は食べてくれませんでした。いつも食べていたドッグフードとはまず香りが違いましたからね。使用する食材は変えずに、食材を入れる順番を変えたり、食感を楽しめる形状にしたりといった試行錯誤を重ねて美味しそうに食べてもらえるドッグフードにたどり着きました。鹿肉や馬肉が主原料なので、美味しさも出せたと思います」と坂田氏は説明します。

購入客の声に応え、短いスパンで商品をリニューアル

自社でDOZOの開発、製造、販売を一気通貫にしています。そのため、購入客・使用客の声を開発の現場に届けるのは容易です。その利点を生かして、2週間に一度、1000人規模のアンケート調査を実施し、そこで得られた声を開発の現場と共有しています。

短いスパンでのリニューアルもDOZOで注力するところです。2022年5月に発売を開始し、7カ月後の2022年12月14日には商品のリニューアルを実施しました。「クコの実が消化されずにそのまま便に出てくる」「クコの実を残してしまう」という使用客からの声に応えて、クコの実をすりつぶして入れるという改良をしたのです。

次なるリニューアルも既に決まっています。「パッケージの角が尖っているのが心配だ」という声に対応し、角を丸くしたパッケージに変える予定です。

経営者であると同時に、てんかんを患うもうすぐ14歳の愛犬・太郎丸の飼い主でもある坂田氏は「競合他社はいないのですが、お客さまの声に寄り添う姿勢を大切にしたい」と、ペットの健康への要望に応える商品開発を続けていく構えです。

病院通いを減らしたい

坂田氏は「いずれ、ペット用のセルフケア商品もつくりたい」と将来の展望を語ります。人間のちょっとした体の不調には、ドラッグストアで購入できる市販薬や絆創膏などがあります。しかし、ペット用の市販薬や絆創膏は簡単に入手できないため、軽症でも動物病院に通う飼い主が多いのです。

「ドラッグストアに並ぶセルフケア商品を開発して、飼い主にも犬にも負担となる通院の回数を減らしたい」というのが坂田氏の思いです。

DOZOを購入し、犬に食べてもらった顧客たちから、犬の健康上の相談が送られてくることがあり、ズークスの獣医師がメールで回答しています。これもペットの通院を減らしたいという思いからの取り組みです。品質に加えて、獣医師による相談対応という付加価値をつけた販売戦略の裏にも、ペットや飼い主への想いが感じられます。

一般社団法人ペットフード協会の調査によると、日本全国で飼われている犬は2021年の時点で710万6000頭。猫も合わせると1600万頭を超えます。同年の日本の15歳未満の人口は総務省統計局によると約1478万人。飼い犬・飼い猫の総数が上回っています。

ペットの未病・予防への取り組みの重要度は、これからも増していきそうです。

【注釈】

*1
⁠共同研究者で、オメガ3系不飽和脂肪酸に関する抗炎症を専門とする富山大学和漢医薬学総合研究所の渡辺志朗准教授の記名入りの記述。
https://www.dozo20.com

Chematels編集部

Chematels(ケマテルズ)では、化学業界に従事されている方へ、お役だていただけるコンテンツをお届けします。特集記事では、業界のトレンド情報や製品情報、基礎知識など、専門性の高い記事を配信しています。

関連する特集