【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】第8回 酸とアルカリとは?

2022/01/27
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連載の目次

Q1: 酸性・アルカリ性を決めるのは?

Q2: 酸やアルカリが使われている分野は?

Q3: 酸とアルカリが反応するとできるものは?

化学製品というと、現代では日常生活の中でなじみの深い種々のプラスチックや医薬品など、有機化学製品を思い浮かべると思います。しかし、化学の長い歴史の中では、長い間、無機化学製品が主流でした。

塩酸、硫酸、硝酸などの酸は、9世紀には既にイスラムの錬金術師(Chemist)によって発見され、それ以来長く使われてきました。

今も、日常生活の基盤を支える上下水道関連、環境維持対策、自然保護などの基礎薬品や、多くの有機化学製品の製造のための原料など、社会生活を支える重要な資材として広く使われています。

無機化学製品を大きく分類すると、酸とアルカリ、そしてこの2つが結合した塩があります。

酸やアルカリの強弱は、水に溶かした電解質量に対するイオンになる量の割合(電離度)の大小により決まります。強酸・弱酸、強アルカリ・弱アルカリなどと呼ばれます。

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無機化学製品の酸は、鉱酸(Mineral acid)とも呼ばれ、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸が代表的です。化学合成等に広く使用され重要な化学薬品ですが、その性質の強さから人体に被害をもたらす危険も強く、充分な安全管理措置が必要です。

ほかにも、炭酸、リン酸、ホウ酸等の弱酸類や、人体への腐食性の高いフッ化水素酸などがあります。酸としての性質に応じて、幅広い分野で使用されています。

アルカリ

アルカリについても強弱は、電離度の大小で決まります。主な強アルカリには、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)NaOH、水酸化カリウム(苛性カリ)KOH、水酸化カルシウムCa(OH)2等があります。弱アルカリには、水酸化アンモニウムNH4OH、水酸化アルミニウムAl(OH)3、水酸化鉄Fe(OH)3等があります。

苛性ソーダを中心とした強アルカリが、化学合成や水質管理の中和剤などに広い分野で使用され、大規模に供給されています。

pH(ペーハー・ピーエイチ)

酸やアルカリの水溶液中での電離度(水素イオン濃度)が酸やアルカリの性質(酸性・アルカリ性)を決めます。これを示す物差しが水素イオン指数(水素イオン濃度の指標)「pH(ペーハー・ピーエイチ)」です。

pH7が「中性」で、7以上のものを「アルカリ性」、7より小さいものを「酸性」と言います。pHが小さいほど酸性が強く、大きいほどアルカリ性が強くなります。

酸とアルカリが反応すると塩になります。

正確には、酸と塩基の中和反応、酸と塩基性酸化物または金属との反応、塩基と酸性酸化物または非金属単体や、塩基性酸化物との反応、非金属の単体と金属との反応により生成します。

強酸と強アルカリが反応した塩はpH 7 の中性となり一般に安定ですが、弱酸と強アルカリ、強酸と弱アルカリの組み合わせの塩は、それぞれ、アルカリ性、酸性を示します。

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酸・アルカリの安全管理

酸やアルカリは、その作用の強さを利用して、多くの用途に使われています。

そのため、使用法や管理を間違えると、人体に対して重大な危険が起こることに注意が必要です。

塩酸、硫酸、硝酸、苛性ソーダ、苛性カリなどは劇物に指定されています。使用に際しては、充分な注意と管理責任が義務付けられています。

代表的な酸とアルカリ
強酸 弱酸 強アルカリ 弱アルカリ
1価 塩酸HCl酢酸CH3COOH苛性ソーダNaOHアンモニアNH3
硝酸HNO3苛性カリKOH
2価 硫酸H2SO4炭酸H2CO3水酸化バリウムBa(OH)2水酸化マグネシウムMg(OH)2
シュウ酸(COOH)2水酸化カルシウムCa(OH)2水酸化銅Cu(OH)2
硫化水素H2S
3価 中程度の酸 水酸化アルミニウムAl(OH)3
リン酸H3PO4水酸化鉄Fe(OH)3

A1: 水溶液にしたときの水素イオン濃度

A2: 上下水道関連、環境維持対策、自然保護など生活基盤分野

A3: 塩

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。