【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】第1回 ナフサとは?

2021/11/18
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連載の目次

  • 第1回:ナフサ
  • 第2回:エチレン
  • 第3回:プロピレン
  • 第4回:ブタジエン
  • 第5回:ベンゼン
  • 第6回:トルエン
  • 第7回:キシレン
  • 第8回:酸とアルカリ
  • 第9回:塩酸
  • 第10回:苛性ソーダ

Q1: 日本で使用されるナフサの主な輸入国は?

Q2: ナフサからオレフィン類やBTXを作るプロセスは?

Q3: 最近注目されている新しい技術は?

ナフサとは

原油を常圧蒸留装置で分離した沸点範囲が30〜170℃程度の製品をナフサ(Naphtha)、または粗製ガソリンとよびます。

ナフサには、分留範囲35〜130℃程度の軽質ナフサと、分留範囲90〜170℃程度の重質ナフサがあります。石油化学原料には、主に軽質ナフサが使われています。

石油化学原料について

世界の石油化学産業の主要原料はナフサと天然ガスですが、天然ガス資源の少ない日本ではエチレンプラント原料としてナフサが大部分(95%以上)を占めます。アメリカ・カナダでは、エタンや液化石油ガス(LPG)が80%以上原料に使われており、近年は、安価なシェールガス原料の比率も増加しています。中東など産油国でも、天然ガスから大規模な石油化学製品の生産がおこなわれています。

日本では現在、石油化学原料として国内で製造される国産ナフサに加え、中東などからの輸入ナフサが50%以上使われています。

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図1 ナフサの国別輸入比率(2019)(石油化学工業協会統計資料より抜粋)
http://www.jpca.or.jp/statistics/annual/nafusa.html

ナフサ原料の日本の石油化学

日本で行われているナフサの接触熱分解(スチームクラッキング)による石油化学製品の製造では、C2、C3、C4、C5以上と多品種・広範囲な製品が併産されます、それらをいかにバランスよく製造し、効率よく活用していくかが、製造メーカのコスト競争力を決定します。

ナフサは低沸点留分の石油成分であり、何種類かの炭化水素の混合物です。その接触熱分解で得られる必要な化合物を製品とするためには、幾つかの精製工程を必要とします。石油化学で用いられる主要な化合製品はエチレン(C2)、プロピレン(C3)、ブチレン(C4)、ブタジエン(C4)などのオレフィン系炭化水素と、ベンゼン、トルエン、キシレン(それぞれの頭文字をとって、いわゆるBTX)の芳香族炭化水素です。エチレンなどのオレフィン系炭化水素は、ナフサをクラッキングすることで得られます。クラッキング後、蒸留を中心とした精製工程を行うことで製品化されます。芳香族炭化水素(BTX)は、石油化学で生産される以上の量が、石油産業の改質ガソリンの工程で生産されています。

石油化学コンビナートでは、それぞれの地域性や市場のビジネス環境などを勘案し、最適の組み合わせと操業条件を検討しながら生産体制を整備しています。

ナフサをクラッキングして得られる各石油化学製品の生成比率は、製造技術や運転条件(分解温度)等により変化しますが、エチレン22~25%、プロピレン12~16%、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)10~13%、ブチレン:~8%、ブタジエン4~5%と言われています。

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図 石油化学産業の構造
⁠(経済産業省「2015年版ものづくり白書 第1部第1章第2節」より抜粋)
⁠https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2015/index.html

新しい試み

使用済みプラスチック製品を回収・処理してナフサを製造することや非可食植物由来の廃棄物原料からナフサを製造するバイオナフサの試みも世界的に検討されています。これらの環境対応重視の試みが大規模に実施できれば石油化学製品製造に伴うCO2発生の削減拡大が可能になります。

A1: 中東諸国

A2: スチームクラッキング(クラッキング、接触熱分解)

A3: 植物原料由来のバイオナフサの取り組み

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。