【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】第4回 ブタジエンとは?

2021/12/09
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連載の目次

Q1: ブタジエンの主な用途は?

Q2: ブタジエンが原料となるナイロンは?

Q3: 石油を使わないブタジエンは?

ブタジエン(butadiene)は、分子式 C4H6 で表される、二重結合を2つもつ不飽和炭化水素です。単純にブタジエンと言った場合、最も単純な共役ジエンである1,3-ブタジエン(CH2=CH-CH=CH2)を指します。沸点−108.9 °C、融点-4.4 °Cで、常圧では無色の気体です。

ブタジエンは、ナフサを水蒸気と一緒に900℃以上の高温に加熱する接触分解(クラッキング)により、脂肪族炭化水素が分解と脱水素を起こして不飽和炭化水素へと変換され、他のオレフィンや芳香族炭化水素とともに合成されます。接触分解により製造されたC4炭化水素群からのブタジエンの単離は、アセトニトリルやジメチルホルムアミドなどの溶剤による液-液抽出を行った後、蒸留により精製します。

ブタジエンの2019年日本国内生産量は89万トン、2018年は86万トン、2017年は92万トンです(石油化学工業協会の統計資料より)。

ブタジエン原料の石油化学製品

合成ゴム:

ブタジエンは、ほとんどが合成ゴムの原料として使用されています。

スチレン・ブタジエンゴム(SBR):

代表的な合成ゴムで、スチレンとブタジエンとの重合体に加硫することで得られます。主流はスチレン含有率23.5%のものです。耐熱性、耐摩耗性、耐老化性、機械強度等に優れるが、耐寒性や引き裂き強度は他の汎用ゴムより劣ります。品質が安定し良好な加工性を示すため、自動車用タイヤ材として最も多く使われ、最も多量に生産されている合成ゴムです。

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ニトリルゴム(NBR):

アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体で、耐油性、耐摩耗性、引き裂き強度に比較的優れるが、耐オゾン性や耐寒性が他のゴムより劣ります。Oリングやガスケット等のシール材、また使い捨て手袋などに使用されています。特性を向上させるために、メタクリル酸との共重合や、ブタジエンを一部イソプレンに置き換えたNBIR等も作られています。

ABS樹脂:

アクリロニトリル、スチレン、ブタジエン共重合合成樹脂の総称。常用耐熱温度は70〜100℃。剛性、硬度、加工性、耐衝撃性、曲げ疲労性などがバランス良く、家電・電気電子製品の外装・筐体・機構部品類、自動車パネルなど内装部品、文具・雑貨類、家具部材、楽器、玩具製品、模型などさまざまな用途で使用されています。  

化学製品原料:

ナイロン66原料のヘキサメチレンジアミンの前駆体であるアジポニトリル、合成中間体として重要な1,4-ブタンジオール、また三量化によるシクロドデカトリエン等の合成、耐油性ゴム(ネオプレン)用の前駆体であるクロロプレン、スルホラン等の原料としても使われています。

ブタジエンの新しい製造法

ナフサを原料とした分解炉でのブタジエンの収率は場合4.9%(石油学会編『新版石油化学プロセス』(2018年)より)。エチレンの生産量に対して4~15%のブタジエンが得られるとされています。世界的には、エチレン製造がより安価なエタンクラッカーへとシフトしていることもあり、ブタジエンの相対的生産比率が減少しています。需給ギャップ拡大の見通しが強まっていることから、燃料に使用されているスペントBB留分(*)からのブタジエン製造技術の開発や、植物由来原料のバイオブタジエンの開発等も注目され、検討が進められています。

(*)スペントBB留分
⁠ナフサ分解及びFCC副生ガスに含まれるBB留分(C4)は、ブタジエンの抽出原料に使われ、抽出後にスペントBB留分となる。

A1: 合成ゴムの原料

A2: ナイロン66

A3: バイオブタジエン

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。