【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】第7回 キシレンとは?
2022/01/20
連載の目次
Q1: キシレンの中で最も生産量が多いのは?
Q2: パラキシレンの主な用途は?
Q3: 再生可能なパラキシレン製造プロセスの目的は?
キシレン(xylene)は、化学構造からオルソキシレン、メタキシレン、パラキシレンの3種類があります。塗料やシンナーなどの溶剤として使われるキシレンは、これら3種が含まれる「混合キシレン」で、一部エチルベンゼンも含まれています。
キシレンの工業的製造法はベンゼンと同じで、改質ガソリン生産のためのナフサの接触改質副生改質生成油からの分離、エチレンプラントのスチームクラッキングにより大部分生産されており、量的には改質生成油からの分離による石油会社の生産が主体です。2020年の生産量は501万トン、2019年660万トン、2018年677万トン(石油化学工業協会の統計資料より)。2020年時点でのキシレンの生産能力は867万トン(うちパラキシレンは366万トン)です。
3種類のキシレンは、分離精製された後、各種の化学原料として使われますが、生産量が大きく工業的にも重要なのはパラキシレンです。

キシレンの主要な用途
オルトキシレン
酸化して「無水フタル酸」を製造する原料となり、プラスチックの可塑剤や顔料・塗料などに使われる分野が一般的です。
メタキシレン
メタキシレンは、オルトキシレンやパラキシレンに変成させて利用するケースが多くあります。一部は可塑剤やポリエステル樹脂の原料である「イソフタル酸」の原料としても使われます。
パラキシレン
ほとんどが「テレフタル酸」「テレフタル酸ジメチル」など、ポリエステルの主要原料として使用されています。ポリエステルは、プラスチック(PET、PBTなど)や衣料用のポリエステル繊維として、広く使われています。
パラキシレンの新規製造法開発
ポリエステルの素原料として今後も需要の拡大が期待されるパラキシレンは、今までもメタキシレンの変成やトルエンの不均化等により、取得率の向上が実施されてきました。また、100%植物由来のPETボトルの使用などを目標に、NEDOプロジェクトによるCO2を原料によるパラキシレンの製造法開発や、再生可能な植物由来原料からパラキシレンを製造する技術開発(米国アネロテック社/サントリー、バイレント/東レ)など、新しいプロセス開発が活発に進められています。
キシレンの安全性と取り扱い
キシレンは毒劇法(医薬用外劇物指定)、有機溶剤中毒予防規則(第2種有機溶剤)、PRTR法(製造・使用・廃棄に関して、管理・届け出が必要な第一種-30化学物質に指定)などの規制を受けており、その輸送、保管、使用については、法規制に従い十分な注意と管理が必要です。
A1: パラキシレン
A2: ポリエステル原料のテレフタル酸
A3: 100%植物由来のPETボトル
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
