【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】第3回 プロピレンとは?
2021/12/02
連載の目次
Q1: プロピレンの最も大きな用途は?
Q2: ナフサクラッキング以外のプロピレンの生産は?
Q3: クメンは何の中間原料?
プロピレン(propylene)は、構造式CH2=CH−CH3で示されるC3系オレフィン系炭化水素です。融点は−185.3℃,沸点は−47.0℃で、常温では無色の可燃性気体。ナフサのスチームクラッキング、流動接触分解装置(FCC)の副生などでつくられています。エチレンと並んで石油化学を支える主要な素材原料です。
プロピレンの2019年日本国内生産量は550万トン、2018年は517万トン、2017年は546万トンです(石油化学工業協会の統計資料より)。
石油化学製品、たとえばポリプロピレン、イソプロピルアルコール、フェノール、アセトン、プロピレングリコール、アリルアルコール、グリセリン、アクリロニトリルなどの原料になります。
プロピレンを原料とする主要な石油化学製品
ポリプロピレン
最も大きなプロピレンの用途で、日本の生産能力は290万トンです。汎用樹脂の中では、耐熱性と強度が高く、耐薬品性に優れるのが特長。自動車部品、電気器具、容器、包装材料、繊維、カーペット、建築・建設資材、おもちゃ、スポーツ用品、文具など、さまざまな用途に使われています。

クメン
ベンゼンとプロピレンを酸触媒下に縮合させて合成されます。さらに、空気酸化によりクメンヒドロペルオキシド(C6H5C(CH3)2OOH) を経由して、フェノールとアセトンの工業的生産の中間体になります。フェノールはフェノール樹脂やビスフェノールA、アセトンはメタクリル酸エステル、溶剤、医薬中間体など幅広く使用されます。
アクリロニトリル
プロピレンを金属酸化物触媒の存在下でアンモニアと酸素を反応させるソハイオ法で生産されます。アクリロニトリルは、アクリル繊維やABS樹脂やAS樹脂(SAN)、アクリルアミド等の原料やニトリルゴム向けに使われています。世界の用途別比率では、ABS樹脂やAS樹脂向けが40%強、アクリル繊維向けが約40%、アクリルアミド向けが10%弱となっています。
ブチルアルデヒド、ブチルアルコール
プロピレンのヒドロホルミル化によりブチルアルデヒドが合成され、その水素化によりブチルアルコールとなります。ブチルアルデヒドは工業中間体原料、ブチルアルコールは溶剤、香料、可塑剤、医薬品原料などに使用されています
エチレン・プロピレンゴム
エチレンとプロピレンの共重合ゴムであるEPMと、EPMに第三成分としてジエンモノマーを加えたEPDMがありますが、現在はEPDMが主流です。EPMとEPDMを併せてエチレン・プロピレンゴムとよぶことが多くあります。EPDMは耐候性、耐寒性、耐オゾン性、耐老化性、溶剤性などに優れ、反発弾性や電気的性能も良好なので、自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品などに幅広く使用されています。
A1: ポリプロピレン
A2: 流動接触分解装置(FCC)の副生
A3: フェノールとアセトン
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
