【化学業界の基礎知識 -化学製品編-】連載がスタートします!
2021/11/11
連載の目次
- 第1回:ナフサ
- 第2回:エチレン
- 第3回:プロピレン
- 第4回:ブタジエン
- 第5回:ベンゼン
- 第6回:トルエン
- 第7回:キシレン
- 第8回:酸とアルカリ
- 第9回:塩酸
- 第10回:苛性ソーダ
Chematelsの「化学業界の基礎知識」は、化学業界に入って間もない方や、興味を抱いている方、業務スキルをさらに高めたい方に向け、役に立つ基礎的な知識・情報をお届けする企画です。
このたび、「化学製品編」がスタートします。ナフサ~苛性ソーダまでの全10回の連載に先立ち、予告として少しだけ本編の内容を紹介します。
各回の冒頭に質問を設定しますので、読みながら考えてみてください。
Q1: 日本の石油化学の主な原料は?
Q2: ナフサ原料の石油化学の特徴は?
Q3: 最近注目されている天然ガス資源は?
このシリーズでは、実務上で知っておきたい主要な化学製品について、お話します。
化学製品は、有機化学製品と無機化学製品とに、大きく分かれます。
有機(Organic)は、本来は生物に関連するという意味ですが、炭素と炭素、炭素と水素の原子結合が中心となる化学物質を総称します。石油化学でつくられる種々の製品、油脂やセルロースなど植物由来原料の化学品、医薬品等、炭素と水素が主要な構造要素とするものが有機化学製品です。
一方、無機化学製品は、酸やアルカリなどを中心とした、有機化学製品でない物の総称です。
このシリーズでは、まず、有機化学製品について述べます。石油化学の主要原料であるナフサと、主にナフサの接触分解により得られて各種の石油化学製品の基礎原料となるオレフィン系製品(エチレン、プロピレン、ブタジエン等)と芳香族系製品(ベンゼン、トルエン、キシレン)を詳しく解説します。
無機化学製品については、化学産業全般で広く使用される酸とアルカリのことを全般に説明した上で、それぞれの代表例である塩酸と苛性ソーダについてお話します。
化学産業を支える主要な有機化学製品は、主に石油化学工業より供給されます。主要原料がナフサと天然ガスです。天然ガスの資源の少ない日本では、原料の95%以上をナフサが占めています。
ナフサ原料の石油化学工業の特徴は、C2、C3、C4、C5以上と多様な製品が、ある一定比率で製出することです。製造の現場である石油化学コンビナートでは、ナフサの分解装置(クラッカー)を中心に誘導品製造設備をバランスよく組み合わせ、市場の需要に応じた効率的生産をすることで全体のコスト競争力を高めるよう運営されています。

図1 石油サプライチェーンの構造
(経済産業省 - 第1回 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会 資料3より抜粋)
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/001.html
中でもエチレンとプロピレンは、全体のコスト競争力を左右する主要製品であり、それらの得率を上げる製造条件最適化が日本の石油化学産業の大きな課題として取り組まれてきました。
天然ガスの産出量が大きい北米大陸や、ガス田や石油採掘時の随伴ガスの生産が多い中東地域では、天然ガス(エタン)を主要原料とする石油化学産業が発達しています。C2系の誘導体を中心とした生産体制が組まれており、ナフサ原料が主体の日本や欧州とは大きく異なった取り組みが実施されています。最近、採掘技術の進展にも伴い、シェールガスが天然ガス原料として注目を集め、アメリカを中心に開発が進んでいます。
A1: ナフサ
A2: C2~C5+まで、多くの製品が、ほぼ同じ比率で生産される
A3: シェールガス
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
