【化学業界の基礎知識 -契約書類編-】第9回 「業務のココが変わる」を共有・文書化 ― 4M変更管理とは?
2021/06/10執筆:SCE・Net 鹿子島 達志

Point
「4M変更管理(変化点管理)」の「4M」とは、業務遂行管理に不可欠な要素であるMan(人)、Machine(設備)、Method(方法)、Material(材料、製品)の頭文字を取ったものです。また、4Mの「変更管理(変化点管理)」とは、4Mの変化点で生産トラブルの発生度が高いことに注目し、変化による問題点を回避または解消して、ラインを正常に機能させ、製品の品質を維持することをいいます。
4Mにおける変化点とは? どんなものがある?
4Mにおける「変化点」とは、今まで決まっていた方法に変化が発生する時点のことをいいます。事故などの想定外のものも、事前に計画された想定内のものも、変化点です。
それぞれのMがどういった対象で、それぞれどのような変化点があるかを示します。
1. Man(人)
対象:従業員、職制、監督者、各人の能力、考え方や価値観、モチベーションなど。
変化点:組織変更、勤務交代・作業者の入れ替え、検査員、無断遅刻・欠勤など。
2. Machine(設備)
対象:生産設備機器、金型や治工具、保全体制、パソコンなどの業務ツールなど。
変化点:設備の入れ替え、メンテナンス時、金型・治工具の変更時、事故や破損など。
3. Method(方法)
対象:作業方法、工程のワークフロー、社内承認フローなど。
変化点:操作方法や洗浄方法の変更時、品種切り替え時やロット切り替え時など。
4. Material(材料)
対象:業務で扱う原料・資材や部品、備品など。
変化点:原材料品質の変更、供給メーカーや材料グレードの変更時など。

4Mにおける変化点管理をどう行う?
4Mの実効性を上げるためには、変化点管理のしくみとその維持体制をつくる必要があります。次のような手順が考えられます。
1. 何が変化点なのかを分かりやすい形で具体的に決めて、メンバーと共有する。
2. 変化点の管理項目と実施方法を決め、それらを言葉や図にした標準類を作成・整備する。
3. 以上の決めたことを継続的に守る、また守らせる体制を組織規模でつくり、活動していく。
4Mの管理項目・標準類にはどういったものがある?
次のようなものが挙げられます。
1. Man(人)の管理
勤務管理、評価制度や資格制度の整備と育成計画、教育訓練計画など。
2. Machine(設備)の管理
保守点検の周期や方法を明記した基準書の作成・整備。
3. Method(方法)の管理
作業標準書、作業指示書の整備。変更時は「変更連絡書」で周知化。
4. Material(材料、製品)の管理
受入基準・規格書の整備。変更時には品質の確認が必須。
4Mの経営上の意義とはどういったもの?
企業の経営面では、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(納期)のQCDが管理の3要素とよばれ重要な管理指標となっています。企業活動の成果・実績、つまりアウトプットは多くの場合、QCDで評価されます。その点、実績と計画に差異がある場合は、インプットの要素である4Mで現場の原因を見出し、状況を整理し、改善を行うことが的確な対応であり、有効な手段となります。
たとえば、品質異常の原因を4Mで調べることで、漏れなく原因の検討を行うことができます。また、Quality(品質)の問題に対比して、Cost(コスト)、Delivery(納期)への影響を考えると、4Mの観点で取り組んでいるその対策が適切であるかを判断できるようになります。
なお、企業における管理を構造的に捉えると、上部にQCDがあり、その下部に4M管理があり、さらにその下部に安全活動や5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)、また教育訓練などがあるといえます。
Message
それぞれのMについて定めた方法を実行していく!
「4M」に、Management(マネジメント)やMeasurement(検査・測定)を加えて「6M」とよぶこともあります。それぞれのMについて、業務を支障なく遂行するため、日頃の管理も変化点における管理も、定めた方法を実行していくことが重要となります。
「化学業界の基礎知識」の「契約書類編」は今回で終了です。次回より「製品安全編」がスタートします。ご期待ください!
鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net
1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。
