【化学業界の基礎知識 -契約書類編-】第2回 いちいち条件を定める手間省く ー 取引基本契約書とは?

2021/04/15

執筆:SCE・Net 猪股 勲

 買い手(顧客)双方売り手(供給者)
取引開始前 秘密保持契約 
  取引基本契約書 
取引開始後 取引開始 
 注文書 
  注文請書(個別契約書)
  個別取引契約成立 
  納入仕様書
  試験報告書
  ロット
  検収
  公差
  4M変更管理
 受領書 
  受け渡し完了 
  請求書
 決済・支払い 
  取引終了 

Point

取引基本契約書とは、事者間において、継続的な売買や製造などの受委託などを行う際の基本的な契約条件を定めた契約書のことです。この契約書に基づいて、個別の注文や業務委託の発注などがされることになります。

取引基本契約はなんのために結ぶもの?

取引条件を発注のたびにいちいち定める手間を省き、両当事者間で安定的かつ効率的な取引関係を築くためです。「基本契約書」の締結を、「口座を開いた」ということもあります。

なお、個別の発注について結ぶ契約を「個別契約」といいます。個別の取引では、「個別契約」を結ぶ場合と、注文書や受注書のやり取りで済ませる場合があります。

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取引基本契約書で定める条項にはどんなものがある?

次のような条項を定めます。

・基本契約の目的・適用範囲

・代金の定め方・支払時期・方法

・商品等の引渡し方法・引渡し後の検査方法

・知的財産権の処理・秘密保持義務

・契約解除事由

・損害賠償

・有効期間

・合意管轄

基本契約書の適用範囲はどう定めたらいい?

「ここまでは基本契約。ここから先は個別契約」といったように、個別契約の適用範囲を意識して、基本契約の適用範囲を定めます。

基本契約と個別契約で内容が異なる、あるいは矛盾する場合もないわけではありません。こうした場合には一般的に、「個別契約を優先する」と定めます。実際の取引開始に際して生じる不都合を柔軟に対処することを考えてのことです。

この場合は当然、個別契約の管理を適切に行うことも必要となります。また、矛盾する条項が多い場合は、基本契約書を見直すべきです。

商品等の引渡し方法・引渡し後の検査方法では具体的に何を定めるの?

通常は商品の引渡方法または引渡方法の定め方、そして引渡後の検査方法について定めます。

重要なことは、「その取引に関する責任やリスクが、どの時点で、売主から買主に移転するか」を明確にすることです。

国内取引では通常、輸送料や保険料などの費用負担が売主に負担され、国際貿易取引では国際商業会議所の定める貿易条件「インコタームズ」(Incoterms:International Commercial Terms)に基づき、本船渡し(FOB:Free On Board)や運賃保険料込(CIF:Cost Insurance and Freight)などの簡便で明確な条件規定になります。

知的財産権の処理・秘密保持義務はどう定めたらいい?

取引において特許権やノウハウなどの知的財産権が関与する可能性のある場合は、知的財産権の処理に注意する必要があります。こうした場合の契約書では、秘密保持義務の規定も設けるべきです。

その後のビジネス展開にも重要な影響をあたえる事項ですので、よく注意することが重要です。

Message

相手先とはきちんと確認を!

契約書の条項の多くは、トラブルが発生した場合を想定してつくられます。

一方、取引基本契約を結ぶ時点では通常、「これから長く取引を続けましょう」といった具合にお互い良好関係にあり、「何かあったら、話しあえばいい」と考えがちです。条項の規定やその理解を曖昧にしておくのはトラブルのもとですが、かといって細かな契約書を作成するのも非現実的です。重要な事項については、相手先ときちんと確認しあった上で契約するといった心がけが大切です。

第3回のテーマは、「注文書」の予定です。

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。

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