【化学業界の基礎知識 -契約書類編-】第6回 製品を「ひとつ」でなく「ひとかたまり」と考える ― ロットとは?
2021/05/20執筆:SCE・Net 鹿子島 達志

Point
ロットとは、その製品の数量の「かたまり」をいいます。ある製品を多数生産する場合に、適当な数量でまとめて、同じ条件下で生産したり、出荷したりしますが、そのときの「かたまり」の単位が「ロット」です。
「ロット生産」とはどういうこと?
日本産業規格(JIS:Japan Industrial Standard)の生産管理用語(Z 8141)では、「ロット生産」は、「品種ごとに生産量をまとめて複数の製品を交互に生産する形態」と定義されています。つまり、「ロット」にまとめて生産することをいいます。
ロット生産にはどんなメリットがある?
① 顧客注文への迅速な対応が可能であること、② 生産リードタイムの短縮が可能であること、③ 生産計画の変動への対応がしやすいこと、④ 工程間の仕掛品の削減が可能であること、⑤ 完成品の在庫削減が可能であることなどがあります。
「製造ロット」というのも聞くけれど、どういうもの?
注文数量や出荷数量などから製造する製品量を調整することになりますが、その際に設定する製品の製造量を指します。「生産ロット」や「ロットサイズ」ともいいます。自社で最適に管理できるのはどのような状況か考えて、製造ロットを決めます。

「購入ロット」とはどんなもの?
取引先へ販売する製品に対して、指定する販売数のことをいいます。ただし、製造者側だけでなく取引先となる購入者側の意向も反映されます。
ロットには「最小」がある?
最小注文数量としての「ロット」を「最小ロット」として取り決めることがあります。製造側が「生産能力に照らしあわせて、採算に見合うのは最低限この大きさのロットだ」と考えて設定します。ただし、製造者側と購入者側の双方に決定権がある場合もあり、その場合は交渉して設定します。
「ロット番号」と「ロット管理」とはどういうもの?
「ロット番号」は、特定の数量またはロットの材料に割り当てられた識別番号のことを指します。「ロット管理」は、「ロット番号」を製品ごとに割り当てることで行う管理のことを指します。ロット管理は、クレームやリコールの対応、品質保証、また法令順守などの面から重要です。ITの発達によりロット管理は自動化されつつあります。
ロットサイズと段取り時間の関係は?
ロットサイズと段取り時間には、次の式のような関係があります。ロットサイズをn倍することと、段取り時間をn分の1にすることで得られる効果は同じです。

図1 ロットサイズと段取り時間の関係
どんな観点でロットサイズを考えるとよい?
「経済的発注量」を踏まえて考えるのは一つの手です。これは、発注費用と在庫維持費用という相反する二つの費用のバランスを考慮し、その総費用が最小となるような数量のことをいいます。経済的発注量は「経済的ロットサイズ」ともよばれます。

図2 経済的発注量の式とグラフ
Message
生産性向上のため「かたまり」で考えることが大切!
製品1個の注文を受けたから1個だけ製造するというのは、採算に見合いづらいものです。製品の製造や管理をロットで考えることで、効率性を高めることができます。
第7回のテーマは「検収」の予定です。
鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net
1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。
