【化学業界の基礎知識 -化学用語編-】第1回 モノマー・ポリマーとは?

2022/02/24
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連載の目次

  • 第1回:モノマー・ポリマー
  • 第2回:熱可塑性樹脂
  • 第3回:熱硬化性樹脂
  • 第4回:界面活性剤
  • 第5回:塗料
  • 第6回:合成ゴム
  • 第7回:揮発性有機化合物(VOC)
  • 第8回:アニオン・カチオン

化学業界で仕事をする人なら知っておきたい「化学用語」をおさらいする「化学業界の基礎知識 化学用語編」のスタートです。今回のテーマは「モノマー・ポリマー」。さて、あなたは一体、いくつの「問題」に正解できるでしょうか。

Q1.「モノマー」と「ポリマー」、結びついた後の分子はどっち?

「モノ」は「一つ」、「ポリ」は「たくさん」

「モノマー」と「ポリマー」という言葉は高分子化学を理解するための基本的なものです。単一分子のモノマーが重合されて、つまり結びついてポリマーという高分子を形成するわけですが、重合の過程で多数の原子が共有結合でつながっていきます。分子の質量を示す値である分子量で表わすと、「分子量が100以下のモノマーを重合すると、分子量が1万以上のポリマーになる」となります。

語源的には、モノマーの「モノ」は「一つ」を、ポリマーの「ポリ」は「たくさん」を意味しています。モノマー(monomer)は重合前の単位分子を指し、モノマーが多数結合した高分子のことをポリマー(polymer)と呼びます。モノマー同士がつながった高分子を重合体と呼びますが、分子2つがつながったものを、「二量体」または「ダイマー(dimer)」、3つつながったものを、「三量体」または「トリマー(trimer)」と呼びます。また、10数分子程度までの割と重合度の低い重合体を「オリゴマー(oligomer))と呼ぶこともあります。

Q2. モノマーのブタジエンを重合して作られる代表的なポリマーは?

モノマーを重合してポリマーに

私たちは日常でさまざまなポリマーを使用しています。モノマーとポリマーの関係を理解したところで、モノマーとポリマーの例を対比して示します。

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図1:モノマーとポリマーの代表例

モノマーは、エチレンなどの二重結合性のもの、エチレンオキサイドなどの反応性の高い環状構造を持つもの、ジイソシアネートとジオール類などの多官能基を有するもの、フェノールとホルムアルデヒドなどの反応性のものに分類されます。

ブタジエンは二重結合性のモノマーであり、これを重合して作られるのが合成ゴムです。

Q3. ポリマーの代表的な合成法は何種類ある?

ポリマーの合成方法は大きく4つ

ポリマーはモノマーから合成されますが、合成の方法には大別すると4つの方法に分類されます。

最も知られた方法は「付加重合」です。モノマーが有するオレフィンやビニル基などの二重結合が反応した結果、二重結合のない炭素連鎖の形で鎖状につながったポリマー構造となります。ポリプロピレンや塩ビ樹脂や合成ゴムなどがこれに分類されます。

第2の方法は「開環重合」です。例えば、酸素原子を分子内に含むエチレンオキサイドなどのモノマーを用いると、反応で環が開く際に酸素原子の位置が変わり、酸素原子を介してその両側に炭素連鎖がつながったエーテル結合を含むポリマー構造となります。

第3の方法は「縮合重合」と呼ばれます。例えば、カルボン酸類とアルコール類が反応すると水が生成しますが、生成水が取り除かれるとエステル結合という新しい結合生まれます。この結合を軸として分子鎖がつながっていき、ポリマー構造となります。

第4の方法は「付加縮合」です。これはフェノールとホルムアルデヒドの反応に見られるように、付加と縮合を繰り返すことで、炭素連鎖を形成するものです。

Q4. ポリマーには、どのようなものがあるでしょうか?

コポリマー(共重合体)の種類で特性が変わる

1種類のモノマーを用いたポリマーは「ホモポリマー」と呼ばれるのに対し、複数のモノマーを用いたポリマーは「コポリマー(共重合体)」といいます。異なる性質のモノマーを用いることで、ポリマーの特性をコントロールすることができます。

コポリマーは、モノマーの配列により、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の4つに分類されます。

交互共重合体は、その名のとおり構成要素のポリマーAとBが「-A-B-A-B-A-B-A-B」のように交互に配列しています。

ランダム共重合体は構成要素のポリマーAとBが「-A-A-B-A-B-B-B-A-A-B-」のようにランダムに配列しています。エチレン・プロピレンゴムなどの場合、軟化点が降下し、溶剤に溶けやすくなります。

また、ブロック共重合体は「-A-A-A-A-A-B-B-B-B-B-B-B-B-B-A-A-」のように構成ポリマーAとBが連鎖ブロックを成した配列となっています。ブロック共重合体は、ランダム共重合体の弱点である耐溶剤性や機械強度の低下を補うことができます。共重合体の例としては、スチレンとブタジエンを共重合させたスチレンブタジエンゴム(SBR:Styrene-Butadiene Rubber)が挙げられます。天然ゴムと比較して、耐熱性や耐摩擦性に優れるとともに、加工性、にも優れています。

最後に、グラフト共重合体は、幹となる共重合のところどころに枝をつけたように他の重合体が配列されている共重合体です。

さて、あなたは何問、正解できたでしょうか? 答はこちらです。

A1:ポリマー
⁠A2:合成ゴム
⁠A3:4種類
⁠A4:スチレンゴム

次回のテーマは「熱可塑性樹脂」です。お楽しみに!

中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net

1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。