【化学業界の基礎知識 -製品安全編-】第8回 メーカーこそ欠陥品に注意―製造物責任法(PL法)とは?

2021/08/19

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Point

製造物責任(PL:Product Liability)法は、製造物の欠陥によって損害が生じ、製造物の不良や欠陥が原因だと証明できた場合に賠償を受けることができることを定めた法律です。製造業者などの損害賠償責任を明確にしています。製造物の欠陥に対応する賠償責任は、従来、民法の不法行為責任や、債務不履行責任が根拠となっていましたが、PL法では製造物の利用者を保護する観点から、製造物の不良や欠陥による損害賠償責任を追及できることになった点に大きな違いがあるといえます。

PL法成立までの経緯は?

消費者の権利を保護する運動の中でつくられました。

製造物責任の考え方は20世紀になって米国で顕在化しました。大量生産・大量消費の時代に入る中で、欠陥のある粗悪品、不当表示、誇大広告による被害が社会問題となっていました。

しかし、当時は「過失責任」論の立場から、被害者は、製品によって生じた損害について、製造業者が危険を認識していながら危険回避の手段を講じていなかったことを立証しなければなりませんでした。被害者はこれを立証するのに多大の時間を要し、多くの場合は泣き寝入りせざるを得ないことが問題となっていました。

これに対し、1960年代に入ると企業告発型の消費者運動と欠陥製品をめぐる訴訟が盛んになり、米国民の消費者保護運動に対する関心が高まりました。この動きを背景に1962年、ジョン・F・ケネディ大統領が議会演説を行い、公式に消費者の権利を認めました。

この中でケネディ大統領は、消費者には、「① 安全である権利」「② 知らされる権利」「③ 選択する権利」「④ 意見を聞いてもらえる権利」があると述べました。これが、その後のPL法の根拠を示すものとなりました。

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製造物の欠陥とはどのようなもの?

製造または加工された物について、安全性を欠いている状態のことといえます。

日本のPL法では、「製造物」は「製造又は加工された動産」と定義されています。従って、サービス、不動産、未加工のものなどは含まれません。では、「製造物の欠陥」とはどのようなものでしょう。「製造物」の特性や予見される使用形態において、引渡した時期に「製造物が通常有すべき安全性を欠いている」と定義されており、以下の3つの欠陥にまとめられます。

  1. 設計上の欠陥
    ⁠設計自体に問題があるために安全性を欠いている
  2. 製造上の欠陥
    ⁠仕様どおりに製造されなかったために構造上の安全性を欠いている
  3. 指示・警告上の欠陥
    ⁠危険に関する適切な情報を与えなかった

免責となる場合はある?

PL法によれば、製造業者などが危険を予見できない場合は賠償の責任が免除されます。

従って、製造物の「引き渡し時期」が重要となります。製造物をその製造業者などが引き渡した時点における科学または技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった場合に免責が適用されます。

ただし、その場合も、製造事業者は欠陥を予見できなかった理由を立証することが求められます。

Message

安全性の欠如がないか細心の注意を!

PL法はメーカーにとって重要な法律といえます。製品をつくるに際して、設計、製造、指示・警告それぞれの段階で、安全性の欠如が損害賠償につながりうることを認識しておくことが必要です。

最終回の第9回のテーマは、「環境汚染物質排出移動登録(PRTR)」の予定です。

【参考資料】

消費者庁「製造物責任(PL)法の逐条解説」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/product_liability_act_annotations/

 

 

中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net

1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。

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