【化学業界の基礎知識 -製品安全編-】第1回 有害性情報を文書で提供―安全データシート(SDS)とは?

2021/06/24

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Point

安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)は、出荷製品に関する危険有害性情報を記載した文書です。化学物質を含む製品を出荷する際、出荷元の事業者が納付先に提出します。日本でもSDSの提出は義務となっています。

 

なぜ、SDSが必要?

有害性などの情報の伝達に必要だからです。化学製品を取り扱う事業者には本来、化学製品が人体や環境への悪影響をもたらさないよう適切に管理する社会的責任があります。化学製品の適正な管理を行うためには、有害性や適切な取扱方法などに関する情報が必須となります。化学製品を譲渡・提供する側の事業者は、取引先の事業者に比べて化学品の有害性などの情報を入手しやすい立場にあります。しかしながら、取引の際には、義務などがない限り、これらの情報が積極的には提供されにくい性質もあります。こうしたことから、“事業者から事業者へ”有害性などの情報が確実に伝達される必要が認識されるようになりました。

 

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制定に至る経緯はどういったもの?

SDS制定に到る経緯を図1にまとめました。なお、「SDS」は2011年度まで「MSDS」(Material Safety Data Sheet)とよばれていましたが、国際整合の観点から「SDS」に統一されました。日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)Z7253においても、「SDS」と表記されています。

 

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図1 SDS制定に至る経緯概略

 

欧米では、制度の基本となる「有害性情報の共有」という考え方が1970年代に商習慣として起こりました。その後、さまざまな国際機関においてMSDSの統一案の検討がなされ、1994年に国際標準機関(ISO:International Organization for Standardization)でMSDSに係る国際規格ISO 11011014として発行されました。

日本国内では1995年、製造物責任法の施行に伴い、MSDSの提供が義務化されました。さらに、2001年に公布された化学物質排出把握管理促進法(化管法)のもとで、MSDSの提供義務が施行されました。2012年にはJIS Z7253:2012「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」が制定され、現在に至っています。

 

SDSにはどんな記載事項がある?

JIS Z7253に基づき、以下の項目を記載します。

  1. 化学名及び会社情報
    ⁠化学品の名称、供給者の会社名称、住所及び電話番号など
  2. 危険有害性の要約
  3. 組成及び成分情報
    ⁠化学名又は一般名及び濃度又は濃度範囲など
  4. 応急措置
  5. 火災時の措置
  6. 漏出時の措置
  7. 取扱い及び保管上の注意
  8. ばく露防止及び保護措置
  9. 物理的及び化学的性質
  10. 安定性及び反応性
  11. 有害性情報
  12. 環境影響情報
  13. 廃棄上の注意
  14. 輸送上の注意
  15. 適用法令
  16. その他の情報
    ⁠訓練の必要性、推奨される取扱い、制約を受ける事項、出典の記載など

SDSは、国内規格ではJIS Z 7253として、また国際規格ではISO11014として記述内容が標準化されています。これらの規格に基づくSDSを提供することで、原則として化管法による環境汚染物質排出・移動登録(PRTR:Pollutant Release and Transfer Register)制度の義務を果たすことができます。

 

Message

有害性情報の伝達は「必要」というのが現在の認識!

上の経緯でも紹介したように、SDSの提供は企業の自主的な取り組みから始まり、その後、義務化されました。有害性などの情報が事業者間で伝達されることの必要性が認識されています。

【参考文献】

1)化管法SDS制度について

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/msds.html

2)SDSの記載内容について

https://www.nite.go.jp/chem/prtr/msds/contents2.html

 

 

中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net

1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。

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