【化学業界の基礎知識 -製品安全編-】第7回 お薬に間違い・不正は許されぬ―医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)とは?
2021/08/05
Point
「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP:Good Manufacturing Practice)は、医薬品を製造するための要件をまとめた省令です。日本では、1974年に「医薬品GMP指導基準」として公示され、1980年に製剤GMPとして施行されました。医薬品の製造業者および製造販売業者には適正な製造規範、すなわち、製造管理・品質管理基準が求められます。品質管理には原材料の入荷、検品から製造、製品の包装、出荷管理、製品保管、回収処理などの一連の業務が関わります。
GMPはなぜ必要?
医薬品の製造に、間違いや不正は許されないからです。
医薬品は病気の治療や予防などの保健衛生に用いられ、人々の健康や生命に直接関わっています。品質の良し悪しは極めて重要で、どんな場合でも不良品が消費者のもとに届くのは避けなければなりません。
そのため、医薬品を製造する際には品質規格に適合することを確認するだけでなく、製造過程についても適切に管理し、良い品質の医薬品を常に製造する必要があります。

GMPには三原則があると聞くけれど、どんなもの?
次のものです。GMPを理解する上で重要な考え方といえます。
- 人為的な誤りを最小限にすること
- 医薬品の汚染及び品質低下を防止すること
- 高い品質を保証するシステムを設計すること
つまり、誰が作業しても、いつ作業しても、必ず同じ品質、また高い品質の製品をつくることができるという考えです。日本をはじめ、諸外国のGMPもこの要件に沿ってまとめられています。
それぞれの原則について、表1にソフト面とハード面のポイントをまとめました。

表1 GMPの三原則とハード面・ソフト面のポイント
GMPはどれほど重要なもの?
GMPを守らないと医薬品の製造・販売ができません。
おのおのの製造所が自社基準でどんなに厳しく最終試験・検査をしても、それだけでは医薬品の製造、販売はできません。GMPは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に基づいて、「医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理に関する基準」として定められており、この基準に適合しなければ医薬品を製造することはできません。
日本で医薬品を市場に出すこと、すなわち製造販売することは薬機法で規制されており、厚生労働大臣の許可・承認を得る必要があるのです。
Message
医薬品には厳格な管理が必要!
医薬品は人々の健康や生命に関わるもの。GMPが定められていることからも、医薬品に対する厳格な管理が必要であることがわかります。
第8回のテーマは、「製造物責任法(PL法)」の予定です。
【参考資料】
日本医薬品原体工業会「医薬品原薬とは-GMPとは」
http://www.jbpma.gr.jp/bulk-pharmaceuticals/gmp
中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net
1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。
