【化学業界の基礎知識 -製品安全編-】第4回 会社のすべてを失わぬために管理を!―危険物とは?
2021/07/15
Point
危険物は法律上では、火災、爆発、中毒などを引き起こす危険性のある物質の総称です。消防法では、火災を発生させる危険性の高い物質についての分類がなされています。いずれも取り扱いに細心の注意が必要なものです。
消防法での「危険物」はどのようなもの?
消防法では第2条第7項で、危険物を第一類から第六類までの6種類、すなわち「酸化性固体」「可燃性固体」「自然発火性物質及び禁水性物質」「引火性液体」「自己反応性物質」「酸化性液体」に分類し、保管方法や運送方法について定めています。それぞれの分類について、総務省消防庁は表1の「性状」に示すような説明をしています。

表1 危険物の分類
(出所:総務省消防庁「『危険物』とは?」)
そもそも火災は、燃えやすいものが一定量以上ある状態で発火し、消火が困難になった場合に起こるものです。消防法は火災から生命や財産を守るための法律で、危険物として、燃えやすい物質を指す可燃物と、燃焼を促進させる物質を指す支燃物を指定して、管理することを求めています。可燃物にはガソリンなどの引火性燃料のほかに、ニトログリセリンなどの爆発性物質が含まれ、支燃物には硝酸などが分類されます。

危険物の保管で注意することは?
日常生活で灯油を使うときのように、少量の可燃物を注意しながら使用するかぎり、法令に触れることはありません。しかし、工場、事業所、ビルなどで大量に使用する場合には、火災の危険が発生しますので、法令に従った管理が必要です。
危険物は、規制法規や各市町村の条例の基準を満たした危険品倉庫やタンク貯蔵所に保管しなければなりません。
倉庫やタンク貯蔵所に求められる設備規模は、危険物の「指定数量」により変わります。指定数量とは「危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量」と消防法第九条の四に規定されています。

表2 指定数量(第4類
(出所:日本メックス株式会社「消防法で定められている危険物とは?<br>種類別の指定数量と適切な保管・運搬方法」を参考に著者作成)
表2に第四類の引火性液体について、指定数量を示します。第四類の危険物もさらに7種類に分かれています。液体の性状により指定数量が異なることに注意が必要です。
指定数量以上の危険物を貯蔵したり、取り扱ったりする場合には、許可を受けた施設において、認定された技術基準に従って行わなければなりません。
Message
危険物を法的に理解し、管理する!
火災は、財産から信頼まで、企業のあらゆるものを失わせうるものです。そうならぬよう、危険物を法的に理解し、管理することが重要です。
第5回では、もう一つの危険物である「毒劇物」をテーマにする予定です。毒劇物の取り締まりを定めた「毒物及び劇物取締法」も紹介します。
【参考文献】
1)総務省消防庁ホームページ「消防法」
https://www.fdma.go.jp/relocation/kasai_yobo/about_shiken_unpan/houbeppyou.html
中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net
1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。
