【化学業界の基礎知識 -製品安全編-】第2回 危険を一目瞭然に―化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)とは?

2021/07/01

Image

Point

GHS:Globally Harmonized System of classification and labelling of chemicalsは、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」と訳され、国際的に統一された分類・表示により化学品の危険有害性を分かりやすく示すしくみを指します。化学品の危険有害性ごとに、分類基準およびラベルや安全データシート(SDS)を、統一されたルールとして提供するものです。この制度により、化学品による事故を減らすだけでなく、健康や環境に配慮した化学品を選ぶことができます。

GHSが生まれた背景は?

化学品は私たちの生活を快適・便利にするものですが、正しく取り扱わなければ健康や環境に悪い影響を及ぼします。化学品の国際取引が進む中で、世界中どの国でも危険有害性の情報を一目で分かるような絵表示やデータシートを提供する必要性が高まったのです。

例えば、各種クリーナーや殺虫剤、塗料などのパッケージには、取り扱い上の注意や応急処置などがたくさん書かれています。しかし、各国の化学品の危険有害性に関する分類表示制度が統一されておらず、その危険有害性が分かりにくい場合がありました。このような背景を踏まえて、国際的に統一された分類・表示により、化学品の危険有害性を分かりやすく示す必要性が生まれました。

Image

法令制度はどうなっている?

2003年、国連において化学品の分類・表示方法について国際標準としてGHSが採択されました。欧米諸国やアジア各国においても導入が進められています。

日本でも化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づいて導入が積極的に促進されています。化管法に基づくSDSおよびラベルの作成に際して、GHSに対応する日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)Z 7253(「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」)に適合する方法で行うことが、純物質については2012年6月から、また混合物については2015年4月から、努力義務となっています。

どのように表示される?

GHSで分類・表示される危険有害性としては、爆発性や引火性、急性毒性、発がん性、水生環境有害性などがあります。それぞれに危険有害性の程度に応じた絵表示と、「危険」または「警告」といったことを伝えるための注意喚起語の表示などが決められています。

Image

図1 GHSラベルにおける危険有害性の絵表示と表示内容

図1に、化学製品の危険有害性を9種に分類した絵表示を示します。絵表示には、炎、ガスボンベ、どくろ、感嘆符などが用いられます。さらに、図には示していませんが、安全対策、応急措置、保管(貯蔵)、廃棄などに関する注意書きが付けられます。

なお、毒物及び劇物取締法(毒劇法)においては、GHSに対応したラベルの表示を義務づけてはいませんが、事業者の自主的な取り組みの中で毒物・劇物に対してGHSに対応したラベルを作成することを厚生労働省などが推奨しています。

Message

絵表示で誰にでも伝わりやすく!

各国の言語を超えて、「どんな危険有害性があるか」が伝わるように絵表示が使われています。ユニバーサルに情報を伝え、化学品による事故リスクを減らす工夫が感じられます。

【参考文献】

1)厚生労働省「化学品の分類及び表示に関する国際的調和システム(GHS)について」

  https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei07/index.html

2)厚生労働省「GHSとは」

  https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ghs_symbol.html

中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net

1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。

関連する特集