「割り当て」で化石資源との混合でもバイオマス由来に認証 ― マスバランス方式【押さえておきたい!バイオプラ用語 第6回】

2025/11/18
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Chematelsの連載「押さえておきたい!バイオプラ用語」は第6回。今回は、前回の第5回「ISCC認証」の制度で、原料調達から生産、消費までのサプライチェーン全体での確実な持続可能性を証明するために使われる手法として採用された「マスバランス方式」について解説します。ある特性を持つ原料の投入量に応じて、製品の一部にその特性の割り当てを行う方式がマスバランス方式です。地球温暖化防止やプラスチック廃棄物問題解決の目標達成のために有効な認証手法として、世界的に注目され普及していますが、運用には厳格さが求められます。

目次

本連載で扱う用語

バイオマス原料が化石原料と混合されても製品の一部に「バイオマス由来」を割り当て

マスバランス方式は、ある特性を持った原料、例えばバイオマス由来原料などが、そうでない原料、例えば化石資源由来原料と混合されて使用される場合、原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法です(図1)。

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図1:マスバランス方式の概要

マスバランス方式は従来、バイオ燃料やパーム油、紙の原料認証による持続可能性の確認のために活用されてきました。例えば、パーム油はマーガリンや界面活性剤などの原料であり、インドネシアやマレーシアで油ヤシから生産されますが、油ヤシ栽培場の無秩序な開発や劣悪な労働環境などが問題となり、持続可能なパーム油の適正な生産を保証するために認証制度が設立されたのです。パーム油原料を生産する油ヤシ農園が厳密な法的・経済的・環境的基準を満たした農園として認証を得ることにより、パーム油生産者はその認証農園から出荷された油ヤシ果実原料を使って認証パーム油を生産・販売することができ、それを広く持続可能性に貢献する商品としてアピールすることができます。

同様に、石油化学の分野におけるナフサクラッカーは、原油から分離精製したナフサを熱分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学品を生成する装置ですが、ナフサの代わりに一部、植物由来廃棄物などから得られるバイオマスナフサを用いることで、植物由来を含む基礎化学品を生産することができます。基礎化学品に植物由来が含まれるため、マスバランス方式を採用すれば、プラスチック製品が一部、植物から作られたものとして認証されるようになります。さらに、マスバランス方式では、投入したバイオマス由来原料の配分を生産される製品に任意で配布認証することが認められているため、投入するバイオマス由来原料を特定の製品に重点的に配分することで、高い度合のバイオ由来認証が可能になります。

これにより事業者は、従来の化石資源由来プラスチックの生産・使用を継続しながら、持続可能性に寄与した事業活動を将来にわたりアピールすることができます。そのため多くの企業がこの方式による認証を受け入れ、認証取得原料による新規プロジェクトの立ち上げ計画を相次いで立てています。

柔軟性があるため厳密な運用が求められる

マスバランス方式は、このように幅広い適応の可能性があることから注目されていますが、一方で、持続可能性寄与の配分に任意性を認めるなど柔軟性があるため厳密に運用されることが制度の信頼性にとって重要です。そのため、マスバランス方式を採用する認証制度では詳細な持続可能性に関する原則が定められています。図2として前回の第5回で取り上げた国際持続可能性カーボン認証(ISCC)のバイオプラスチック関連の認証「ISCC PLUS」の6原則を掲げます。

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図2:ISCC PLUS持続可能性の6原則

マスバランス方式が採用されている多くの制度ではISCC PLUSと同様に綿密な基準設定があります。

マスバランス方式と14C法はバイオプラ認証において明確に区別されるべき

マスバランス方式は、持続可能性を促進させる認証方式として世界の主流になろうとしており、今後より重要な用語となりそうです。

ただし、バイオプラスチックのマスバランス方式に関しては留意点もあります。欧州バイオプラスチック協会の立場表明書では、マスバランス方式は、再生可能資源原料のプラスチック流通量を増加させ、化石資源に依存しない未来の実現に必要な補完的な手法となり得るとしています。一方で、マスバランス方式を用いてバイオマス由来特性を割り当てたプラスチックの表示および主張は、バイオマスに一定量の炭素同位体14Cが含まれていることを利用してバイオマス含有率を求める14C法により測定されるバイオマスプラスチックの認証と明確に区別される必要があるとしています。

次回の第7回は、バイオプラスチックの寄与が不可欠といえる「サーキュラーエコノミー」について解説します。

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。

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