従来のプラスチックとの違いを識別する仕組み ― 認証制度【押さえておきたい!バイオプラ用語 第2回】
2025/09/17Chematelsの連載「押さえておきたい!バイオプラ用語」をお届けしています。第2回で取り上げる用語は「認証制度」です。バイオプラスチックの製造などが定められた方法によりなされたことを公の機関が認める仕組みを指します。認証制度はバイオプラスチックの普及に欠かせないものとなっており、また、バイオプラスチック開発の動向や課題を理解するための一助にもなっています。
目次
本連載で扱う用語
- 第1回 バイオプラスチック
- 第2回 認証制度
- 第3回 生分解性プラスチック認証
- 第4回 バイオマス由来プラスチック認証
- 第5回 ISCC認証
- 第6回 マスバランス方式
- 第7回 サーキュラーエコノミー
- 第8回 グリーンマテリアル、グリーンケミカルズ
認証制度がバイオプラスチックの普及を後押し
バイオプラスチックには複数の認証制度があります。それらの認証制度は、そのプラスチックがバイオプラスチックであることを識別するためのものともいえます。バイオプラスチックに対するマーケットからの期待と要請に応えるため、各種の認証制度がつくられました。

図1:バイオプラスチックの認証制度の意義
現在、世界的に多くの認証制度が存在していますが、その成立時期と内容を知ることにより、バイオプラスチック開発の動向と現在の課題を理解することができます。
廃棄後に分解、エリア・対象ともに拡大 ― 生分解性プラスチック認証
最初につくられたバイオプラスチックの認証は、生分解性プラスチック認証です。
20世紀後半、石油化学が急速に発展した結果、プラスチック廃棄物をどう処理するかが大きな社会問題となりました。その解決に向けて、活用に注目が集まったのが生分解性プラスチックです。通常使用では、石油化学系プラスチックと同様の性能があり、使用後に廃棄された後、自然環境条件下で微生物の働きにより天然素材と同様に分解することから、多くの企業がその工業的な開発に力を入れたのです。
そのための基盤として、生分解性プラスチックの認証識別制度の設立が検討・実施されました。日本では、一般社団法人の日本バイオプラスチック協会(当時は生分解性プラスチック研究会)が中心となり、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)の規格などの生分解性プラスチック評価試験法をベースに、2000年に現在の「生分解性プラ識別表示制度」にあたる制度を創設しました。また相前後して、欧州、米国、さらには中国や韓国など各国で、認証制度がつくられました。
当初この制度の基準は、産業ベースの大型堆肥化設備における生分解性にありました。プラスチック廃棄物を分別回収し、生分解性プラスチック資材を家庭ごみなどの有機性廃棄物と一緒に分解して、プラスチックごみの削減を図るというコンセプトに基づいたものです。その後、各家庭による堆肥化に対応した認証制度や、海洋域でのプラスチックごみ問題の解決のため海洋生分解性プラ識別表示制度がつくられるなど、社会的要請の変化に対応して認証制度が追加されています。
図2に、世界で使われている主な生分解性プラスチック認証制度の認証マークを示します。

図2:主な生分解性プラスチック認証マーク
(日本マーク出典元・画像提供:(一社)日本バイオプラスチック協会/海外マーク出所:各機関ウェブサイトより)
植物資源を用いて製造 ― バイオマス由来プラスチック認証
次につくられたバイオプラスチックの認証は、バイオマス由来プラスチック認証です。
21世紀に入り、エネルギーと石油化学素材の大量消費が拡大しました。以前より問題視されていた化石資源の枯渇問題と、懸念が拡がった地球温暖化問題への対応として、枯渇性石油資源から製造されているプラスチックを再生可能な植物資源由来に置き換えることが目指されました。循環型社会の構築や、地球温暖化の軽減を目的に、数多くの計画が進められており、このサポートのため各国でバイオプラスチックの認証制度がつくられたのです。
日本では、日本バイオプラスチック協会が、2006年から「バイオマスプラ識別表示制度」を運営しています。
プラスチック生産方法の環境優位性に対する認証も
バイオプラスチック自体の認証ではなく、プラスチックの生産方法において原料や使用エネルギーに環境優位性や資源有意性があれば、それらを認証するという仕組みもあります。本連載の第5回で取り上げる「ISCC認証」は、この仕組みに基づいた認証といえます。
背景として、新参のバイオプラスチックが、機能・性能・コストなどの点で、既存のプラスチックより優位に立ちづらい点があります。早期の数量拡大が難しいことから、原料・製造エネルギーなど製品製造に使用される資源に目を向け、その点で優位性が認められるプラスチックを、積極的に認証する制度がつくられたのです。産業廃棄物や有機性農業廃棄物などの使用を明確に規定・認証し、循環型社会形成や地球温暖化防止の促進につなげていこうという取り組みです。
次回以降では、それぞれの認証制度について詳しく説明していきます。第3回で取り上げる用語は「生分解性プラスチック認証」です。
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
