緑のマークは「再生可能な有機資源」利用の印 ― バイオマス由来プラスチック認証【押さえておきたい!バイオプラ用語 第4回】

2025/10/21
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Chematelsの連載「押さえておきたい!バイオプラ用語」は第4回。今回は、「バイオマス由来プラスチック認証」について解説します。再生可能資源であるバイオマスを原料として使用するプラスチックであることを明示する制度です。

目次

本連載で扱う用語

バイオマス由来のプラスチックの優位性を明示

プラスチックは主に石油から作られていますが、石油は枯渇資源であるとともに、気候変動に影響を及ぼすものです。そこで、再生可能な有機資源であるバイオマスの有効活用を推奨する意義に注目し、バイオマスを原料として使用するプラスチックの優位性を明示するための仕組みがつくられました。それが、バイオマス由来プラスチック認証制度です。

炭素14の測定でバイオマスの比率を算出

数千万年以上前に起源を持つ化石原料の主成分である炭素には、同位体である炭素14(14C)が含まれないのに対し、バイオマスには一定量の炭素の14Cが含まれます。そのため、原料および製品に含まれる14Cを測定することで、バイオマスが全体の何%含まれるかが分かります。加速器質量分析法(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)などで測定することで算出することができます。

第3回の「生分解性プラスチック」の記事で、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)の規格が各国で生分解性の測定の参考にされていることを解説しましたが、バイオマスの分量の測定方法についてもISOの規格が制定されており、これに対応して各国の規格が整備されています。生分解性プラスチックの認証制度と同様、主要国で認証されたバイオマス由来プラスチックの製品は他国の多くでもそのまま認証されるという国際協調の仕組みが構築されています。

日本では「バイオマスプラ識別表示制度」など

日本でのバイオマス由来プラスチック認証制度は、「バイオマスプラ識別表示制度」といいます。日本バイオプラスチック協会により、2006年に開始されました。ポジティブリスト方式により、バイオマスプラスチックを25重量パーセント以上含み、かつ安全性の審査基準に合格した製品に「バイオマスプラ」のマーク(図1)と名称の使用を認め、他のプラスチック製品との識別を図っています。これにより、一般消費者がバイオマスプラスチック製品を容易に識別できるようにしています。

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図1:バイオマスプラマーク
⁠(画像提供:(一社)日本バイオプラスチック協会

なお日本では、日本有機資源協会が運営している「バイオマスマーク」もあります(図2)。製品にどれだけバイオマス由来の材料・素材が含まれているかを認定する仕組みです。こちらの対象はプラスチックに限らないため、この記事では詳細を割愛します。

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図2:バイオマスマークの例

期待される反面、従来のプラスチックに追いついていない現状も

バイオマス由来プラスチックは、枯渇の懸念がある化石資源に依存せず、持続的にプラスチック素材を長期にわたり供給できることから、将来を嘱望される素材といえます。しかしながら、先行して発展してきた従来のプラスチックと比較すると、機能的にも経済的にも追いついていないのが現状といえます。

現状では、ポリ乳酸(PLA:Polylactic acid)など、これまであまり広く使われてはいなかった素材を大量に製造する方向性や、ポリエチレン(PE:Polyethylene)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ペット(PET:Polyethylene terephthalate)などの既存の優れたプラスチック素材をバイオマス原料で作る方向性が考えられています。これらのための研究開発や事業化計画などが発表されているところです。

こうした状況を認識し、将来の大きな進展に期待することが、次回で取り上げる国際持続可能炭素認証(ISCC:International Sustainability & Carbon Certification)などの創設にもつながっています。次回の第5回もぜひお読みください。

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。

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