「微生物により分解」をマークなどで識別 ― 生分解性プラスチック認証【押さえておきたい!バイオプラ用語 第3回】

2025/10/02
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Chematelsの連載「押さえておきたい!バイオプラ用語」をお届けしています。第3回で取り上げる用語は「生分解性プラスチック認証」です。微生物の作用により分解する性質をもつプラスチックを、ほかの一般的なプラスチックと識別するために認証する仕組みといえます。

目次

本連載で扱う用語

  • 第1回 バイオプラスチック
  • 第2回 認証制度
  • 第3回 生分解性プラスチック認証
  • 第4回 バイオマス由来プラスチック認証
  • 第5回 ISCC認証
  • 第6回 マスバランス方式
  • 第7回 サーキュラーエコノミー
  • 第8回 グリーンマテリアル、グリーンケミカルズ

製品に「生分解性プラ」のマーク・名称の使用を認める制度

日本における生分解性プラスチック認証として制定されているのは、日本バイオプラスチック協会(JBPA:Japan BioPlastics Association)の「生分解性プラ識別表示制度」です。

生分解性の基準と環境適合性の審査基準を満たした製品に対し、「生分解性プラ」のマーク(図1)と名称の使用を認めるもので、消費者への正しい理解を広め、正しい使用法と製品の普及を促すことを目的としています。

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図1:生分解性プラ識別表示制度における「生分解性プラ」のマーク
⁠(画像提供:(一社)日本バイオプラスチック協会

ISO規格準拠のため自国で認証されれば海外でも認証されやすい

生分解性プラスチックの認証制度は、世界各国で地域の状況に対応して数多く運営されていますが、生分解性の測定方法としては、多くの工業材料や環境分析の試験法と同様、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)の規格が制定されています。これに対応した各国の規格が整備されているため、主要国で認証された製品は、他国の多くでもそのまま認証されるという国際協調の仕組みが構築されています。

そのため、日本での認証製品は、欧米をはじめとする多くの国々でそのまま生分解性プラスチック製品として認められます。

日本にはポジティブリストの設定あり

生分解性は、生分解が起きる環境や温度などの条件、環境中の微生物の種類などにより変化します。そのため、欧米の認証制度では、工業的、家庭用、土壌中、海水中などのコンポスト化の条件ごとの認証を行っていますが、日本では、大規模コンポスト化設備が少ないことなどから細分化した認証までは行っていません。

その点、日本の上記の生分解性プラ識別表示制度では、安全性と生分解性の基準を満たす材料のポジティブリストの設定があり、その材料のみから作られ、かつ、一定の安全性基準に合致した製品を生分解性プラとして統一シンボルマークを付け、他のプラスチック製品との識別を図っています。

なお、日本環境協会が運営主体となり、環境保全に資する商品を認定する「エコマーク認証」では、堆肥化するための生ごみ袋や農業用マルチフィルムなど、生分解性機能を活用した製品で認定基準を満たしたものは、このマークの表示対象となります。

「海洋生分解性プラ識別表示制度」も2023年から開始

プラスチックは、使用後に放置せず回収することが重要ですが、回収システムの不備や管理の不十分さ、また自然災害の発生などで環境中にプラスチックが多く漏出しているのが実状です。アウトドアや海洋環境で使用される製品は、特に自然環境中に漏出するリスクが高く、その多くは最終的には海洋に集まります。

世界的に深刻化している海洋プラスチックごみ問題の抑制策の一つとして期待されているのが、海洋環境で生分解するプラスチックの普及です。しかし、海洋では陸上に比べ、存在する微生物の密度が桁違いに低く、その種類も陸上のものと異なります。

こうした海洋の環境においても十分に生分解し、かつ安全性を確認したプラスチック製品を認定する制度として、日本バイオプラスチック協会は「海洋生分解性プラ識別表示制度」を2023年から開始しています。基準を満たす製品には「海洋生分解性プラ」の名称とマークの使用が認められています。

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図2:日本における「海洋生分解性プラ」のマーク
⁠(画像提供:(一社)日本バイオプラスチック協会

土壌で扱われることの多い農業用資材や、回収が困難な使い捨て製品などで、今後も生分解性プラスチックの利用と普及が期待されています。有効活用には、今回お話しした、認証識別制度の存在が必須といえます。

次回は「バイオマス由来プラスチック認証」について解説する予定です。

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。

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