日本は3R先進国と評価されるも国内循環利用は6%のみ【どうするプラスチック廃棄物 第2回】

2023/02/21

各回のテーマ

  • 第1回 プラスチックの光と影
  • 第2回 プラスチック廃棄物をめぐる現状と課題
  • 第3回 3R中心のプラスチック廃棄物管理の歩み
  • 第4回 マテリアルサーマルケミカル各リサイクル手法の得失
  • 第5回 消費型経済から循環型経済へ
  • 第6回 海洋プラスチックごみ問題への世界の取り組み
  • 第7回 大阪ブルーオーシャンビジョンとマリーンイニシアティブ
  • 第8回 容器包装リサイクル法の改正と課題

Chematelsの連載「どうするプラスチック廃棄物」をお届けしています。第2回は、プラスチック廃棄物をめぐる現状と課題を取り上げます。

便利さ故の廃棄物の影響の大きさ

プラスチック循環利用協会が、プラスチック製品や廃棄物また再資源化の流れをまとめた「2021年プラスチックのマテリアルフロー図」を出しています。

この情報によれば、国内プラスチック投入量は887万トン、国内プラスチック廃出量は824万トンです。このうち、各種リサイクル手法などにより有効利用されたプラスチック廃棄物量は717万トンで全体の87%となっています。これに単純焼却プラスチック廃棄物量63万トンの8%を加えると、残りの自然環境中に排出されるプラスチックごみの量、つまり埋立量は45万トンで全体の5%となります。

図1:日本のプラスチックのマテリアルフロー(2021年)

図1:日本のプラスチックのマテリアルフロー(2021年)。橙点線:生産ロス量は樹脂生産の量の外数。紫点線:再生樹脂投入量は前年の再生利用量から輸出分および再ペットボトルから繊維に再利用された量を除いたもの。青点線:使用済製品排出量は需要分野別国内樹脂投入量および新需要分野別製品排出モデルからプラスチック循環利用協会の推算システムで算出したもの。ここでのプラスチックには合成ゴム、合成繊維、塗料・接着剤などの液状樹脂を含まない

(出所:プラスチック循環利用協会「2021年プラスチックのマテリアルフロー図」をもとに作成)

国内でのプラスチック循環利用は廃プラ全体の6%のみ

日本のプラスチック処理率は、他の先進国と比べても高いものといえます。日本の化学工業界の省資源・省エネルギーの活動による「3R」(Reduce・Reuse・Recycle)を中心とした長年の努力の成果は、技術的にも高く評価されています。

しかし、もう少し内訳を見ていくと、廃棄物を焼却炉で燃やすとき発生する熱を発電や温水などに再利用を指すサーマルリサイクルが約510万トンで廃棄物全体の63%弱となっています。ケミカルリサイクル量の29万トン(同4%)の大部分を占める高炉・コークス炉原料も含め、エネルギーとしての有効活用が大勢を占めています。

廃棄物を再び同じ製品、または別の製品の材料として再利用することを指すマテリアルリサイクルとしての利用量177万トン(同21%)のうち、国内でプラスチック素材として循環利用されている量は、廃ペット(PET:PolyEthylene Terephthalate)ボトルからの繊維7万トンを加えても42万トンに過ぎず、マテリアルリサイクル量の75%はプラスチック屑を含め輸出され海外で処理されている現状です。

日本国内での素材としての循環利用量は、プラスチック廃棄物全体の6%にとどまっている状況です。

地球環境問題を背景に廃プラ処理・再利用もグローバル化

もともと、石油資源から私たちの日常生活に有用な各種プラスチック製品を生産し、十分に活用した上で容易に有効活用できるエネルギー資源として再度利用することがコストパフォーマンスの良い取り組みであったことは確実で、高く評価できます。また、リサイクルによる素材の有効利用には、コスト面まで考えると、やみくもに実施すべきではない点が多々あることも確かです。これについては、次々回の第4回で詳しく解説します。

近年、プラスチック廃棄物の処理や再利用をめぐり、特に世界的な取り組みとそのためのしくみ作りが進められています。世界的な課題となっている気候問題、さらに世界で年間4億トン近く生産される大量のプラスチックとそれにより増え続けるプラスチック廃棄物の問題は、その影響力の大きさ故に、従来の国・地域レベルでのコストを重視する枠を超えた対応を余儀なくされているからです。

これらの動きは、今後のプラスチックビジネスを考える上で避けて通れない重要な観点です。かつ、新しいビジネスチャンス発掘の鍵にもなります。十分に注意深く理解していくことが必要です。

第3回テーマは「3R中心のプラスチック廃棄物管理の歩み」の予定です。

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。