「世紀の化学製品」は光も影も含有する【どうするプラスチック廃棄物 第1回】
2023/02/14各回のテーマ
- 第1回 プラスチックの光と影
- 第2回 プラスチック廃棄物をめぐる現状と課題
- 第3回 3R中心のプラスチック廃棄物管理の歩み
- 第4回 マテリアルサーマルケミカル各リサイクル手法の得失
- 第5回 消費型経済から循環型経済へ
- 第6回 海洋プラスチックごみ問題への世界の取り組み
- 第7回 大阪ブルーオーシャンビジョンとマリーンイニシアティブ
- 第8回 容器包装リサイクル法の改正と課題
今日からChematelsの新連載「どうするプラスチック廃棄物」をお届けします。全8回、どうぞお付き合いください。
便利さ故の廃棄物の影響の大きさ
図1:大量使用されるプラスチック製のボトル
20世紀における石油化学の発展の中でも、各種プラスチック素材の出現とその広範囲な分野での利用には目を見張るものがあります。加工性に優れ、丈夫で長持ちすることからプラスチックは幅広い用途分野に使用されており、今後もさまざまな新素材の開発とそれらの組み合わせにより、社会と生活を支える主要材料として広く使われていくことは間違いないでしょう。
プラスチックの長所である汎用性と耐久性は、逆にライフサイクルの終わりを指すEnd of Lifeに至るまでの廃棄物管理という点で、影響の大きさもあり、解決すべき問題とされてきました。すでに1980年代後半には、プラスチック廃棄物は将来に向けての重要な解決すべき課題として世界的な関心事となり、多くの取り組みが開始されていました。
3Rが進む一方で海洋流出は深刻化
プラスチックの廃棄物問題は当初、高価で貴重な化石資源をいかに有効活用するかという省資源・省エネルギーの問題でした。そのためリユース・リデュース・リサイクルからなる「3R」(Reduce・Reuse・Recycle)の取り組みを中心に進められてきました。日本はこの取り組みの模範的先進国と評価され、その技術的先進性は世界的に注目を浴びています。
図2:海に流出したプラスチック製品などの廃棄物
3R中心のプラスチック廃棄物管理の取り組みは多くの成果を上げており、今後もその重要性は変わりません。しかしながら、この取り組みが先進国を中心に可能な限り行われてきた現時点でも、自然界に流失するプラスチック廃棄物は膨大にあり、その蓄積による自然環境への影響、とくに最終蓄積場所としての海洋域へのインパクトが無視できないレベルにあるとの指摘が強まっています。このため世界的な取り組みが数多く進められており、これに対応した日本政府の取り組みも注目されています。今後のプラスチック廃棄物管理をめぐるビジネスへの関連も大きいと思われます。
日本が貢献できる領域は広い
今回のChematelsの連載「どうするプラスチック廃棄物」では、プラスチックごみ問題の現状を理解するとともに、関連した世界の動向とそれに対応する日本の取り組みの方向、また将来の可能性などを皆さんと考えていきたいと思っています。限られた資源を有効に活用することで、優れたリサイクル技術を確立してきた日本が、今後この問題に対して貢献できる領域は広いといえます。プラスチック産業が急激に進展しているアジア諸国からも大きな期待を寄せられており、新しいビジネスチャンスにつながる可能性も高いと思われます。これらについても触れてみたいと考えています。
第2回テーマは「プラスチック廃棄物をめぐる現状と課題」です。
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
