【注目製品で捉える繊維の第4世代】連載がスタートします!
2022/08/25
Chematelsは、新連載「注目製品で捉える繊維の第4世代」を皆さんにお届けして参ります。毎回、話題性のある繊維製品を取り上げ、繊維産業の現状を伝えていきます。今回は「予告編」として、繊維産業を概観するとともに、連載で扱う予定のテーマをお伝えします。
ナイロン発明以降、各世代を経て第4世代に
繊維産業は、大変に長い歴史を持った産業です。人間が、衣服を身にまとった起源にまでさかのぼれば、有史以来の産業といってよいと思います。繊維・衣料の発展はそれ以来、たゆみなく続けられ、それが社会や歴史の流れを大きく変える原動力になってきたといっても過言ではありません。
天然にある繊維を有効に活用・利用し、人間のいろいろな要望に合った使い方を見出していくという人間の長い営みの後に、化学繊維や合成繊維が登場し、繊維産業は、画期的な発展の時代を迎えました。
合成繊維の時代は、1935年のナイロンの発明に端を発します。以降の時代を区分すると、さまざまな合成繊維素材が工業化された創世記といえる第1世代(1940年代~1960年代)に始まり、シルクライク繊維やウールライク繊維をはじめ、天然繊維のような風合いの良さを取り込んだ合成繊維を高次加工技術で追求した第2世代(1964年~)、ポリマー、紡糸、糸加工、撚糸、製織、染色技術などを総合的に集約した「新合繊」が普及した第3世代(1988年~)を経て、現在は、「ポスト新合繊+IoT(モノのインターネット)」の第4世代といわれています。この第4世代では、従来の素材・加工技術を中心とした探求から、快適素材や高性能繊維などに見られるように、快適性や新機能を追求する繊維の時代に入っているといわれています。
IoT時代・循環型社会における繊維産業の取り組みを解説
今回のChematels連載「注目製品で捉える繊維の第4世代」では、こうした新しいIoT時代に即した繊維産業の取り組みを解説していきます。また、もう一つの大きな潮流である循環型社会形成の観点から、再生可能資源を利用した繊維素材の動きなども解説してみたいと思っています。化学工学会SCE・Netの猪股勲と永嶋良一の二人で担当します。
連載の目次
- 第1回 東レ・ユニクロ「ヒートテック」(猪股)
- 第2回 東レ「hitoe」(導電性ポリマーを含侵させたウエアラブル繊維)(永嶋)
- 第3回 東洋紡「COCOMI」(ストレッチャブル導電性ペーストによるウエアラブル繊維)(永嶋)
- 第4回 ピエクレックス「ピエクレックス」(永嶋)
- 第5回 各社「ポリ乳酸繊維」(猪股)
- 第6回 東レなど「バイオベースPET繊維」(東レなど)(猪股)
- 第7回 スパイバー「ブリュード・プロテイン」(猪股)
(タイトルは変更となる場合があります)
開発事例から繊維産業の「いま」を解説
次回以降、最初の事例として、第3世代から第4世代にかけての高性能繊維の典型的な開発成功事例として、東レ・ユニクロの「ヒートテック」についてお話しします。
続いて、今後のIoTの時代に注目されているウェアラブル端末として優位性が期待されるスマートテキスタイルの開発例として、導電性ポリマーを含侵させた東レの「hitoe」、ストレッチャブル導電性ペーストによる東洋紡「COCOMI」、さらに圧電効果で抗菌性能を発揮するピエクレックス「ピエクレックス」について解説します。
以降は、再生可能資源利用の繊維素材として早くから注目された「ポリ乳酸繊維」、そして大量生産の可能性から注目される「バイオベースPET繊維」について解説します。
最後に、最新のバイオ技術であるゲノム編集により開発され、今後の展開が注目されている「蜘蛛の糸」の繊維、スパイバー「ブリュード・プロテイン」の状況についてお話をしたいと思っています。
本連載で、皆さんの生活に身近な繊維産業で進められている先進的な開発の動向に興味を持っていただき、今後の動きについても注目していただければ幸いです。
次回は第1回、東レ・ユニクロ「ヒートテック」を取り上げる予定です。
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
