2023年法改正で規制対象拡大、自社が該当するか確認を―省エネ法【製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令 第3回】

2024/09/03
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製造業者などに対し、廃棄物処理などの環境施策を実施してきた元技術系公務員が執筆するChematelsの連載「製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令」。第3回のテーマは「省エネ法」です。カーボンニュートラルの実現を目指すという世界的な潮流の中で、省エネ法は大幅な見直しが行われ、規制対象が拡大しています。今回はそのポイントを解説します。

目次

本連載で扱う項目

2023年の法改正で非化石エネルギーも対象に

省エネ法とは、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律*1」のことをいいます。1979(昭和54)年に施行されました。

従来の省エネ法は、主にエネルギーの大規模需要家に対して化石エネルギーの使用の合理化を求めるものでした。その後、2023(令和5)年4月の法改正により、非化石エネルギーも対象となりました(図1)。

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図1: 省エネ法が対象とするエネルギー
⁠(出所:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」より抜粋)

カーボンニュートラルの実現に向けて、産業部門などの需要サイドでの省エネルギーの強化と、再生可能エネルギーへの転換が必要です。また、太陽光発電などの供給側の電力変動に対応して電気の需要を最適化する「ディマンド・リスポンス」(DR:Demand Response)*2も求められています。

省エネ法では、これらを推進するための必要な措置が定められています。以降で、押さえておきたい三つのポイントを解説します。

エネルギー使用量などで「義務の内容」が異なる ―ポイント1

省エネ法の規制には、工場や事業場、運輸分野を対象とした「直接規制」と、自動車や家電製品などを指す機械器具などの製造・輸入事業者を対象とした「間接規制」があります(図2)。

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図2:省エネ法における直接規制と間接規制
⁠(出所:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」より抜粋)

直接規制では、エネルギー使用量や保有トラック台数、年間輸送量が一定規模以上となる事業者は、それぞれ「特定事業者」「特定貨物/旅客輸送事業者」「特定荷主」として国に届け出る必要があり、エネルギー使用状況の定期報告*3などの義務が課されます。

特定事業者以外の工場や事業場でも、省エネ法で定める基準を達成するための努力義務が求められるため、留意が必要です。

直接規制の対象のうち、特に製造業が関係する義務の内容について、さらに詳しく見てみます。

年度間エネルギー使用量が1500キロリットル以上の事業者には、上記の「特定事業者」のほか、フランチャイズチェーン事業の本部に該当する「特定連鎖化事業者」、また、グループの一体的な省エネ取り組みを統括管理する者として認定を受けた者に該当する「認定管理統括事業者」があります(図3)。これらの事業者には、「エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者」を選任する義務や、「エネルギー使用状況届出書」などの書類を提出する義務などがあります。

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図3:工場や事業場における義務
⁠(出所:資源エネルギー庁「省エネの手引き(工場・事業場編)令和5年度改訂版」の表を一部改訂)

さらに、工場・事業場の単位で年度間のエネルギー使用量が1500キロリットル以上の場合、それらの工場・事業場は「エネルギー管理指定工場等」に指定されます。うち、使用量3000キロリットル以上は「第一種」、1500〜3000キロリットル以上は「第二種」に区分されます。第一種と第二種では選任すべき者などが異なります(図4)。

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図4:エネルギー管理指定工場等ごとの義務
⁠(出所:資源エネルギー庁「省エネの手引き(工場・事業場編)令和5年度改訂版」の表を一部改訂)

非化石エネルギーへの転換に向けた取り組みが求められる ― ポイント2

改正省エネ法において、特定事業者などは、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画の作成や、非化石エネルギーの使用状況などの定期報告が義務付けられました(図5)。

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図5:非化石エネルギーへの転換の目標に関する措置
⁠(出所:資源エネルギー庁「2023年4月施行の『改正省エネ法』、何が変わった?」より抜粋)

特に、セメント製造業、自動車製造業、鉄鋼業、化学工業(石油化学・ソーダ)、製紙業の5業種に対しては、2030年度の目標の目安となる水準が示されています(図6)。これらの業種に該当する特定事業者などは、目安に対する目標設定が必要です。

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図6:5業種の定量目標の目安
⁠(出所:資源エネルギー庁「目安設定5業種の非化石エネルギーへの転換に関する計画及び報告について」を参考に編集部作成)

電気の需要の最適化を図る ― ポイント3

再生可能エネルギーは天候などによって発電量が変動するため、需要サイドでも電力の需給バランスを取ることが重要です。

改正省エネ法では、電力需給の逼迫時に電力を抑制する「下げDR」や、余剰電力時に電力需要を増加させる「上げDR」を求めており、特定事業者などに対してはDRの実施日数の報告が義務付けられています(図7)。

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図7:改正省エネ法における電気の需要の最適化
⁠(出所:資源エネルギー庁「2023年4月施行の「改正省エネ法」、何が変わった?」より抜粋)

自社がどのような規制対象に分類されるか確認を

以上、工場や事業場に対する省エネ法の規制内容を中心に解説しました。

まずは自社がどのような規制対象に分類されるか確認し、国の手引き*4などを参考に対応を進めていくことが必要です。

次回は「地球温暖化対策法」を取り上げる予定です。

※ 本記事に記載した内容は、厳密さよりも分かりやすさを重視して情報提供することを目的としたものです。実際の省エネ法の運用については、法令の原文を十分確認し、行政への問い合わせなどにより対応してください。また、法改正などにより、記事掲載内容から制度が変更されている場合がありますので、環境省のホームページなどで最新情報をご確認ください。

【注釈】

*1: エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
⁠ ・省エネ法の関連法令の原文は以下のリンクをご参照ください。
⁠  ・法律
⁠  ・施行令(政令)
⁠  ・施行規則(省令)
⁠  ・エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針
⁠  ・工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準
⁠  ・工場等における非化石エネルギーへの転換に関する事業者の判断の基準
⁠  ・工場等における電気の需要の最適化に資する措置に関する指針

*2:ディマンド・リスポンス(DR:Demand Response)
 ⁠・DRの詳細を知りたい方は、資源エネルギー庁のサイトをご覧ください。

*3: 定期報告
⁠ ・省エネ法の各種様式は、資源エネルギー庁のサイトよりダウンロードできます。  

*4: 国の手引き
 ⁠・「省エネの手引き(工場・事業場編)令和5年度改訂版」

和地慎太郎(わちしんたろう)

ライター(元技術系公務員)。東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。環境省認定制度脱炭素アドバイザー、公害防止管理者、廃棄物処理施設技術管理者の各資格を保有。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に執筆。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。

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