許可証とマニフェストの厳正な確認管理を―廃棄物処理法【製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令 第1回】
2024/07/23Cheamtelsの新連載「製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令」をお届けします。脱炭素社会が目指される中、製造業の皆さんにとって特に理解と把握が重要となる環境関連の各法令を全7回で解説していきます。筆者は、製造業者などに対し、廃棄物処理などの環境施策を実施してきた元技術系公務員です。第1回のテーマは「廃棄物処理法」。押さえておきたいポイントをお伝えします。
目次
本連載で扱う項目
- 第1回 廃棄物処理法
- 第2回 プラスチック資源循環法
- 第3回 省エネ法
- 第4回 地球温暖化対策法
- 第5回 水質汚濁防止法
- 第6回 大気汚染防止法
- 第7回 土壌汚染対策法
廃棄物の適正な処理方法を規定する法律
廃棄物処理法*1は、企業や家庭などから出る廃棄物の処理について規定した法律で、廃掃法とも呼ばれます。この法律の条文は複雑で多岐にわたり、違反時の罰則が厳しいという特徴もあります。近年では、廃棄物を排出する事業者の責任が強化されており、法の理解がますます重要とされています。
委託したら終わりではない! 最終処分まで「排出事業者責任」は続く
家庭ごみとは異なり、工場やオフィスで発生する廃棄物は、排出事業者が自ら適正に処理する責任があります。これを、排出事業者責任*2といいます。
工場やオフィスで発生する廃棄物の処理は多くの場合、廃棄物処理業者に委託されますが、一連の工程における「収集運搬」「中間処理」「最終処分」の各段階にも責任が伴います。不適切な処理が行われた場合、排出事業者に責任が及ぶ可能性があることに留意が必要です。
排出事業者は、廃棄物処理法の規定を厳守し、廃棄物を適正に処理しなければなりません。以下に、産業廃棄物の委託処理時に重要なポイントを示します。環境省の「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」を参照にしました。
法令に則って種類ごとに廃棄物の分別を
産業廃棄物には種類があり、法または政令で20種類が規定されています。そのうち、爆発性、毒性、感染性などのおそれのあるものが、「特管」とも呼ばれる特別管理産業廃棄物*3に区分されます。
また、産業廃棄物以外はすべて、「一廃」とも呼ばれる一般廃棄物に分類されます。処理業者ごとに処理できる廃棄物が異なる点も踏まえながら、廃棄物処理法に定められた種類ごとに正確に分別することが必要です。

図1:廃棄物の分類
(出所:環境省「排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト」を参考に編集部作成)
適切な許可を受けた処理業者に委託を
排出事業者は、「委託基準*4」を守り、所管の知事または市長の許可を受けた処理業者に委託する必要があります。処理業者は、あくまでその許可内容に基づいた廃棄物処理をすることしかできません。許可されていない廃棄物の処理を委託すると、委託基準違反になってしまうので、委託前に必ず許可内容を確認してください。
「産業廃棄物処分業許可証」の例を参考にお示しします。様式は自治体ごとに異なります。

図2:産業廃棄物処分業許可証の例
(出所:e-Govポータル「産業廃棄物処分業許可書」より引用)
また、書面で委託契約を行い、収集運搬業者と処分業者それぞれと契約を結ぶ必要があります。なお、適正な処理には相応の費用が掛かるものなので、著しく低廉な処理料金になっていないことを確認することも重要です。
マニフェストの確認の徹底を
処理業者に産業廃棄物を引き渡す際は、「マニフェスト*5」つまり産業廃棄物管理票を交付し、その後、処理状況に沿ってマニフェストの一部が戻される仕組みとなっています。これにより適正に廃棄物の処理が行われたか確認する必要があります。

図3:マニフェストの流れ(紙の場合)
上記の他にも、廃棄物の保管基準や処理基準などがあり、各々に細かい規定があります。また法改正も行われるため、廃棄物の担当者個人だけでなく、社内で関連の情報を共有することが重要です。法令違反の原因が「法令順守意識や法理解の欠如」であることは少なくありません。
今回お伝えしたことが、廃棄物処理法の理解を深め、コンプライアンスを十分に果たすきっかけになればと思います。
次回は「プラスチック資源循環法」を取り上げる予定です。
※ 本記事に記載した内容は、厳密さよりも分かりやすさを重視して情報提供することを目的としたものです。実際の廃棄物処理法の運用については、法令の原文を十分確認し、行政への問い合わせなどにより対応してください。また、法改正などにより、記事掲載内容から制度が変更されている場合がありますので、環境省のホームページなどで最新情報をご確認ください。
【注釈】
*1: 廃棄物処理法
正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」 (昭和45年12月25日法律第137号)」といいます。法律に加え、政令、省令、告示・通達などの規定があります。
・廃棄物処理法
・廃棄物処理法施行令(政令)
・廃棄物処理法施行規則(省令)
・告示・通達など
*2: 排出事業者責任
(関連条文)法第3条第1項、法第11条第1項、法第12条など。
*3:特別管理産業廃棄物
(関連条文)法第2条第5項、法第 12 条の2など。
*4:委託基準
(関連条文)法第12条、法第19条の6など。
*5:マニフェスト
(関連条文)法第12条の3、法第12条の4、法第12条の5など。
和地慎太郎(わちしんたろう)
ライター(元技術系公務員)。東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。環境省認定制度脱炭素アドバイザー、公害防止管理者、廃棄物処理施設技術管理者の各資格を保有。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に執筆。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。
