設計や販売のほか排出する企業も関係!―プラスチック資源循環法【製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令 第2回】 

2024/08/06
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Cheamtelsの連載「製造業必見! これだけは知っておきたい環境法令」をお届けしています。筆者は、製造業者などに対し、廃棄物処理などの環境施策を実施してきた元技術系公務員です。第2回のテーマは「プラスチック資源循環法」。プラスチックの「設計・製造」「販売・提供」だけでなく、小規模企業を除けば「排出」を行う企業も対象となっている法律です。この三つの点から法令のポイントを解説します。

目次

本連載で扱う項目

  • 第1回 廃棄物処理法
  • 第2回 プラスチック資源循環法
  • 第3回 省エネ法
  • 第4回 地球温暖化対策法
  • 第5回 水質汚濁防止法
  • 第6回 大気汚染防止法
  • 第7回 土壌汚染対策法

プラスチック製品への規制が国際的に高まりつつある

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図1:プラスチック資源循環法に関するポスターの一例
⁠(出所:環境省「プラスチック資源循環」ウェブサイト内ポスターデータ)

近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで、レジ袋やスプーン、フォークなどの使い捨てのプラスチック製品の提供が制限されています。消費者に対しても、環境に配慮したプラスチック製品の購入が求められています(図1)。

この背景にあるのが、プラスチック製品の使用に対する国際的な動きです。海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題への関心が高まる中、諸外国ではプラスチックごみの輸入規制を強化するとともに、サーキュラー・エコノミーとも呼ばれる循環型経済へ移行が進んでいます。

2022年より施行、「3R+リニューアブル」が基本方針

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図2:プラスチック資源循環法の概要
⁠(出所:環境省「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』について」より抜粋)

環境省*1は、国内のプラスチックの資源循環を促進するため、2022年4月1日に「プラスチック資源循環法*2」を施行しました。この法律は従来の3R、つまり「リデュース」「リユース」「リサイクル」に、再生可能を指す「リニューアブル」を加えたものを基本原則とし、プラスチック使用製品の設計段階から廃棄物処理に至るまでのすべての過程で必要な措置を講じるものです(図2)。

企業に対しては、プラスチック使用製品の「設計・製造」「販売・提供」「排出」の各段階で規定が設けられています。違反時には罰則もあるため、企業はあらかじめ規制内容を十分確認しておかなければなりません。

「設計・製造」企業にはプラの使用量削減や切り替えなどが求められる

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図3:プラスチック使用製品設計指針の概要
⁠(出所:環境省「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』について」より抜粋)

プラスチック使用製品の設計や製造を行う企業は、「プラスチック使用製品設計指針*3」に基づき、プラスチック使用量の削減や包装の簡素化などに加え、再生プラスチックやバイオプラスチックへの切り替えなどが求められています(図3)。

バイオプラスチックについては、環境省などが作成したロードマップ*4があり、製品分野ごとに適したバイオプラスチックの導入が推奨されています。

「販売・提供」企業は12品目にわたり「使用の合理化」を

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図4:特定プラスチック使用製品と特定プラスチック使用製品提供事業者
⁠(出所:環境省「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』について」より抜粋)

使い捨てなどの「特定プラスチック使用製品」を「販売」または「提供」し、法律で規定された対象業種に当てはまる場合は要注意です。対象製品と対象業種が定められており(図4)、該当する企業では有料化や代替え素材を使用した製品の提供などの「使用の合理化」が求められます。

さらに環境省の判断基準*5と照らし合わせて、使用の合理化への取り組みが著しく不十分な場合には、罰則が適用されることがあります。

「排出」企業は判断基準に基づき排出抑制と再資源化を

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図5:プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等(判断基準)
⁠(出所:環境省「『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』について」より抜粋)

ほとんどの企業に関係するのが、プラスチック使用製品の廃棄物の「排出」に対する規制です。小規模企業者等 *6を除き、プラスチック使用製品の廃棄物を排出する企業は、環境省の判断基準*7に基づき、排出の抑制と再資源化への取り組みが求められます(図5)。

たとえ再資源化が難しい場合でも、適正に熱回収を行う事業者に委託することが規定されています。また、前年度の排出量が250トン以上の多量排出事業者は、取り組みが著しく不十分な場合に罰則が適用されることがあります。

「現在、社内で排出されているプラスチックの廃棄物がどう処分されているか」が、もし不明な場合は、すぐに処分方法を確認してみてください。

次回は「省エネ法」を取り上げる予定です。

※ 本記事に記載した内容は、厳密さよりも分かりやすさを重視して情報提供することを目的としたものです。実際のプラスチック資源循環法の運用については、法令の原文を十分確認し、行政への問い合わせなどにより対応してください。また、法改正などにより、記事掲載内容から制度が変更されている場合がありますので、環境省のホームページなどで最新情報をご確認ください。

【注釈】

*1: 環境省
⁠環境省は、経済産業省などとともに、プラスチックの資源循環を促進するため、特設サイトを設置しています。制度概要の説明資料や普及啓発用の広報ツールなどを掲載しています。
 ・⁠「プラスチック資源循環」(特設サイト)
 ・⁠制度説明動画
 ・⁠パフレット
⁠ ・広報ツール(ポスター素材等)
 ・⁠よくあるご質問

*2: プラスチック資源循環法

正式名称は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」 。以下のリンク先で関連法令をご覧いただけます。
⁠ ・プラスチック資源循環法
⁠ ・プラスチック資源循環法施行令(政令)
⁠ ・プラスチック資源循環法施行規則(省令)

*3: プラスチック使用製品設計指針
 ・プラスチック使用製品設計指針と認定制度

*4: ロードマップ
 ・バイオプラスチック導入ロードマップ

*5: 判断基準
 ・特定プラスチック使用製品提供事業者の特定プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制に関する判断の基準となるべき事項等を定める省令

*6: 小規模企業者等
 ・従業員の数が20人以下の、商業・サービス業以外の業種を行う会社・組合等
⁠ ・従業員の数が5人以下の、商業又はサービス業の業種を行う会社・組合等

*7: 判断基準
⁠ ⁠・排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準となるべき事項等を定める命令

和地慎太郎(わちしんたろう)

ライター(元技術系公務員)。東北大学大学院応用化学修了後、大手製造業で電子材料などの製造開発に従事。その後、地方公務員の化学技術職として、製造業者など多数の企業に対し、廃棄物処理など環境分野での施策を実施。環境省認定制度脱炭素アドバイザー、公害防止管理者、廃棄物処理施設技術管理者の各資格を保有。ビジネス系webメディアや製造業者のwebサイトなどで主に執筆。新著に『ビジネス教養として知っておくべきカーボンニュートラル』(ソシム)がある。

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