VA/VEとは?【坂口孝則が『調達で困った』を解決! 第5回】
2021/11/22
連載の目次
- 第1回:安いと思った海外調達でなぜコストがかさむのか
- 第2回:東日本大震災から何を学んだか?
- 第3回:メーカーからの直接調達か、商社からの間接調達か、それが問題だ
- 第4回:1社購買?複数購買? 結局どっちがいいの?
- 第5回:VA/VEとは?
- 第6回:ただ買うだけではない、調達部門がやるべき仕事
- 第7回:これからの調達
調達・購買部員として適切な価格で購買するための手法として、VA(Value Analysis)とVE(Value Engineering)があります。VAとVEはほぼ同義で使われるケースが多く、厳密な定義があるわけでないのですが、「製品や購入品、サービスが必要な機能を果たすのにかかるコストの比率(価値比率)の適合性を検証し、価値比率を向上させる活動」と一般的にはとらえられています。以下、VA/VEとします。

図は、よく使われるVEの概念方程式です。
- コストを下げても同機能を維持することで価値を上げるもの
- 同コストで機能を上げて価値を上げるもの
- 2の類似系で、大幅に機能向上するもの
- コストを下げつつ機能も上げていく理想的なものです。
さて、VA/VEでは、調達・購買部門が関わる次の段階があります。
- ゼロルック(企画段階から携わる)
- ファーストルック(設計段階から携わる)
- セカンドルック(図面発行終了から携わる)
もちろんVA/VEの効果が高いのはゼロルックからですが、現実的にはファーストルックから携わることです。なぜなら、図面が完成してしまえばコストの8割は決まってしまう、と言われるからです。セカンドルックからでは、工程を改善したり、交渉で下げたりと手段が限定されてしまいます。
なお、多くの企業で調達・購買人員のVA/VEが上手くいっているかといえば、ほとんど機能していません。実際には、サプライヤからのアイディアを収集し、それを調達・購買部門のVA/VEといって社内に紹介する程度です。
その理由は、調達・購買部門が技術的に明るくないからです。ファーストルックで関わろうとしても、よくわからないから意見が出せない、サプライヤを推奨できない。だから社内からしても、調達・購買部員に参入してもらうインセンティブがないのです。どうすればいいのか、絶対解はありません。ただ、二つの成功例をあげます。
一つ目は、大部屋方式といわれるものです。実際に新製品のプロジェクトとして各部署からメンバーを集め、物理的に近い場所(それこそ大部屋)で一緒になって製品開発をするものです。そこで議論を交わしながら、調達・購買部員も社内関係者のニーズを聞き出し、VA/VEを実現するものです。
そして二つ目は、セカンドルックになる直前に、それまでの設計変更内容を調達・購買部門主導で見直すことです。製品開発の途上に、さまざまな設計変更があります。設計変更は過程においては必要なものですが、最終段階になっても必要かは検証すべきです。そのうち、調達・購買部門の意見を聞くのが通例となってきます。
VA/VEは属人的ではなく、仕組みとして定着させていきましょう。VA/VEというと難しそうですが、ムダな仕様がないかを恒常的に見直すのは当然のことなのですから。
坂口 孝則(さかぐちたかのり)
未来調達研究所株式会社 取締役 大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。コスト削減、原価、仕入れ等の専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。著書に『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社刊)『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎刊)『会社が黒字になるしくみ』(徳間書店刊)など20冊を超える。
未来調達研究所株式会社 https://www.future-procurement.com/
