メーカーからの直接調達か、商社からの間接調達か、それが問題だ【坂口孝則が『調達で困った』を解決! 第3回】

2021/11/02
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連載の目次

 調達・購買担当者は材料や部材をメーカーから、あるいは間接的に商社から調達します。それぞれメリットやデメリットがあり、どちらが上回っているかによって、直接か間接かを決めます。

 まず当然ではあるものの、商社が仲介することで価格は上がります。商社は、一般的に卸売にカテゴライズされます。表は私が作成したもので、おおむね10%前後の粗利益を得ているとわかります。

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著者作成

 価格が上がるのは、決して悪いことではありません。その分の付加価値を享受できれば問題ないためです。ただし、商社から調達するときに注意すべき点はいくつかあります。商社は、売り込むときとは裏腹に、何かのトラブルがあったら自分たちで責任を負おうとせず、突然メーカーに責任を転嫁しがちです。「メーカーが値上げした」「メーカーが納期を対応してくれない」「自分たちが悪いわけではない」と、自らが取引の主体であることを忘れたかのような態度をとりがちです。

 あくまで商社が取引相手なのですから、品質・価格・納期、その他トラブルの責任はすべて商社にあるという当然の条件を契約するだけではなく、強く当事者意識をもっていただくように申し入れる必要があります。

 では、上記のようなリスクがあってもなお商社を利用する付加価値には何があるのでしょうか。商社の代表的な機能は次のようなものです。商社が介在することで、どれだけ付加価値が上がるかを検証し、商社を利用する有無を決めるべきでしょう。

  • 場所の代替機能/時間の短縮機能:近接倉庫での在庫化、JIT(ジャスト・イン・タイム)対応、商品の保存による最適時納品
  • 量の代替機能:メーカーに最低受注ロットがある際には商社が代表購入し顧客に分散納品、まとめ購入によるコスト低減
  • 情報提供機能:VA(Value Analysis)/VE(Value Engineering)によるコスト低減等の提案、新規技術提案、サプライヤ提案
  • 人的スキル代替機能:調達企業の代わりにサプライヤを指導育成、条件交渉
  • 金融機能:スポット支払い、海外サプライヤ通貨での支払い、条件変更に対応した柔軟な支払い

 なお、私の経験では、優秀な商社の方にはほとんど出会ったことがなく、上記の「情報提供機能」「人的スキル代替機能」を果たしてくれた例はほとんどありません。また、原材料が高騰するタイミングで「値上げです、値上げです」と申し入れは頻発しますが、原材料の下落タイミングで「値下げします」と教えてくれた人はいません。

 しかし商社を使う側も、どのような機能や付加価値を求めているかを明確に伝えればいいのです。本来はメーカーとの直接取引がよくても、なぜ商社に介在してもらいたいのか。どんな商社でも使い続けるのは自社の自由なのですから。

坂口 孝則(さかぐちたかのり)

未来調達研究所株式会社 取締役 大阪大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務に従事。コスト削減、原価、仕入れ等の専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。著書に『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社刊)『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎刊)『会社が黒字になるしくみ』(徳間書店刊)など20冊を超える。

未来調達研究所株式会社 https://www.future-procurement.com/