ブルーも、グリーンも…環境配慮型の製造法【注目のアンモニアを徹底解説 第2回】

2025/04/10
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Chematelsの連載「注目のアンモニアを徹底解説」をお届けしています。第2回は、「グレー」「ブルー」「グリーン」で分類されている製造法を解説し中心に、アンモニアの基礎知識について解説します。

目次

アンモニア生産プロセスとその課題

現状のアンモニア生産では、一般的に、水蒸気メタン改質プロセス*1から製造された水素(H2)と空気中から取り出された窒素(N2)を鉄系の触媒上で反応させる、「ハーバー・ボッシュ法」が使われます。合成反応式は、「N2+3H2 → 2NH3」です。

ハーバー・ボッシュ法の問題点は、反応に高温高圧が必要であり、大きなエネルギーが消費され、結果として燃料換算の二酸化炭素(CO2)排出量が多くなることです。また、原料の水素が、化石燃料のメタンから生成される場合、副生物のCO2排出量が膨大になることも問題点といえます。

一方、窒素の生産では、空気分離法という製法を使い、やはり多くのエネルギーを要します。そのためCO2排出量も多く、第1回「エネルギー『次』の担い手へ高まる期待」で紹介した通り、アンモニア1トンを生産すると1.6トンのCO2を排出します。

とはいえ、アンモニア生産プロセス全体でのCO2排出量を見る必要があります。その割合は一般的に、水素製造プロセスで約50~60%、窒素製造プロセスは約10~20%、アンモニア反応生成プロセス約10~20%です。この点からすると、水素工程の改善こそが重要になります。

ブルーアンモニアおよびグリーンアンモニア

図1としてアンモニアの製造法を示します。カーボンニュートラルの実現に向けては、現行の「グレーアンモニア」から「ブルーアンモニア」や「グリーンアンモニア」に移行していくことが求められています。

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図1:アンモニアの製造法
⁠(出所:「三菱重工技法」Vol.60 No.3(2023)を参考に作成)

製造過程でCO2が排出される従来のプロセスで製造されるアンモニアを「グレーアンモニア」といいます。

一方、化石燃料を原料としながらも、CO2の貯留や有効利用により排出量を削減する形で生産されるアンモニアを「ブルーアンモニア」といいます。排出されるCO2は、グレーアンモニアを100とすると、約30以下です。ただし設備費は2~3割増になります。

なお、CO2を回収した上で利用する技術を、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」といいます。米国ではこの技術を活用し、CO2を古い油田に注入する方法が進行しています。
この取り組みにより、残った原油を地中から押し出しながら、CO2を地下に貯留することができます。

そして、基本的にCO2を発生しない再生可能エネルギーから水素をつくり、合成したアンモニアを「グリーンアンモニア」と呼びます。グリーンアンモニアには、ハーバー・ボッシュ法を代替する先端的な低温・低圧の低エネルギー反応法により作られたアンモニアも含みます。CO2排出量は理論上ゼロです。一方、設備費はグレーアンモニアの3~4倍になります。

以上の区分を分かりやすく説明したものを、図2として示します。

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図2:各種アンモニアのCO2排出量と製造コスト
⁠(出所:化学工学会『化学工学』第86巻第12号611ページを参考に作成)

水素キャリアとしてのアンモニア利用

第1回でも触れたように、アンモニアは比較的容易に液化するため、運搬・貯蔵しやすく、水素の効果的な運搬媒体「水素キャリア」としての開発も進んでいます。

図3として、水素キャリアとしてのアンモニア貯蔵-輸送のイメージを示します。水素を生産地で製造し、アンモニアに変換した上で貯蔵したり輸送したりし、消費地で水素に戻して利用します。

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図3:水素キャリアとしてのアンモニア貯蔵-輸送

次回は第3回。「燃料としてのアンモニア」について解説します。

注釈

*1:水蒸気メタン改質プロセス

水蒸気改質法はメタンを原料とし、水蒸気を使用して合成ガス(水素および一酸化炭素)を得る方法で、最も一般的な工業化された水素製造です。問題点は、原料の炭化水素を分解してH2を生成する過程で以下のような反応式でCO2が排出されることです。

一次改質反応:CH4+H2O → CO+3H2、CO+H2O → CO2+H2(CH4はメタン)

二次改質反応:CH4+空気 → CO+2H2+2N2

一次と二次を合わせた反応:0.88CH4+1.26空気+1.24H2O → 0.88CO2+N2+3H2

鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net

1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。