「連続」へのシフト進むも「バッチ」に品質管理の利点あり【バッチ式と連続式がわかるプロセスの話 第2回】
2024/05/23目次
連載の目次
- 第1回 工程は「一度ずつ」か「絶え間なく」かで大きく変わる
- 第2回 「連続」へのシフト進むも「バッチ」に品質管理の利点あり
- 第3回 反応から熱交換まで、方式が違えば効率も違う
- 第4回 VTO、OEE、COG…プロセス選定の鍵となる指標あり
- 第5回 「フロー合成」は有機化学産業の革新技術
Chematelsの連載「バッチ式と連続式がわかるプロセスの話」をお届けしています。第2回の今回は、バッチプロセスと連続プロセスを項目ごとに比較して整理します。
石油化学・高分子・食品では以前から連続プロセスが主流

図1:化学工場の内部。あらゆる製造現場にプロセスがある
連続プロセスは、以前から石油化学、高分子、食品などの分野において、製品を大量に低コストで生産する技術として用いられています。一方、主に医薬品や有機合成の業界ではバッチプロセスが主流のプロセスとして用いられてきました。
双方のプロセスの特徴を表に示します。この特徴を見れば、各産業でどちらのプロセスを選定するかの理由が分かると思います。なお、医薬品や有機合成の業界でも、現在では競争力向上のため連続プロセスへのシフトが進んでいます。

図2:バッチプロセスと連続プロセスの比較
総合的な経済性でバッチプロセスが優ることも
上表のうち、「生産性」および「品質」「経済性」について、少し補足します。
連続プロセスでは、バッチプロセスに比べてサイズの点でも機器数の点でもはるかにコンパクト化できるため、設置面積や投資額を削減することができます。コンパクト化で、「体積対表面積」の比率が大きくなり、装置内の原料の滞留が少なく、安全でより迅速な混合、反応、熱伝達ができ、装置の効率が高まります。これによって生産性が上がり、ユーティリティー消費量が削減されるのです。また、バッチプロセスで多くの不純物を生成する反応でも、連続プロセスでは反応率が高く、不純物の生成を抑制できます。
一方、バッチプロセスでは、製品収率に寄与しない原料供給や製品の移送、装置洗浄などの時間が必ず生じるものの、バッチごとに品質管理が可能であり、個々の装置の洗浄・分解掃除も容易で、丁寧な品質保持を実現できます。また連続プロセスの生産性は高いとはいえ、開発費を含む初期投資額が高価であり、総合的な計算ではむしろバッチプロセスの経済性のほうが高くなることがあります。詳しくは次回以降で説明します。
次回は「反応から熱交換まで、方式が違えば効率も違う」の予定です。
鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net
1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。
