実績のバイオ由来化学品で新領域開拓―新日本理化【東京サスマ展レポート2023 第2回】
2023/12/192023年10月4日~6日、材料技術および加工機械・技術の展示会「[東京]高機能素材Week」が幕張メッセ(千葉市)で開かれました。本展示会では、サステナブルマテリアルに特化した商談展「サステナブル マテリアル展(東京展)」(東京サスマ展)が開催。今回は、東京サスマ展に出展した化学系企業の中から、Chematels編集部が注目展示をピックアップしました。第2回は、油脂化学メーカーとして100年以上の歴史をもつ新日本理化の展示を紹介します。バイオマス由来エステル油を原料とした製品などの展示で、実績と技術をアピールします。
長年取り組んできたバイオマス由来エステル油を自動車用途に

図1:新日本理化のブース
(筆者撮影)
オレオケミカル(油脂化学)の総合化学メーカーである新日本理化は、天然高級アルコール誘導体、バイオマス可塑剤、バイオマス由来エステル油などを展示しました。
同社がバイオマス原料として20年ほどにわたり取り扱っているのは、マレーシア産のパーム油やパーム核油を原料としたアルコールや脂肪酸です。同社はとりわけ、アルコール事業においてパーム由来原料を活用する強みを誇ってきました。同社のアルコールは、シャンプーやボディーソープといった衛生用洗浄剤や化粧品などで広く使用されてきました。
今回の展示では、これらの用途分野からさらに活用を広めるべく、新分野に向けた新製品を披露しています。
同社は、自動車向けの開発品として、植物性の潤滑油を提案します。従来の植物油は低温特性が悪く、すぐに固化してしまうため自動車には不向きとされてきました。これに対して同社は、−50~−60℃の環境でも固化しないバイオマス由来エステル油を開発しました。石化由来のものとの比較ではコストダウンが課題となるものの、耐摩耗性や潤滑性では石化由来のものより優れているとのこと。自動車関連企業から注目されているそうです。今後は、高級電気自動車などを主なターゲットにアピールしていく考えです。
他に、生分解性に優れていることから、洋上風力発電や農業機器などへの展開も視野に入れています。
化粧品用途でバイオマス由来をアピール

図2:エモリエント剤「リカナチュラ」を開発した、新日本理化研究開発部研究員の加藤茜さん
(筆者撮影)
さらに、化粧品分野にはバイオマス由来のエモリエント剤「リカナチュラ」を提案。エモリエント剤は、肌表面に油溶性成分を塗ることで、皮膚内部の水分を閉じ込める作用がある化粧品材料です。同社は、べたつかずさらっとした使い心地のエモリエント剤をアピールします。エモリエント剤には従来シリコーン油が多く使われてきましたが、欧州の化粧品市場で廃棄時の環境影響が懸念される環状シリコーン化合物の規制が年々強まっていることから、近年ノンシリコーン油に注目が集まっています。同社のリカナチュラも、そうした背景からの需要が見込める可能性があると考えているとのことです。
同社としては化粧品用途の中でパーム油由来のアルカンが一押しということでした。従来、素肌の潤いを保つ天然素材として「ミネラルファンデーション」などのミネラル系コスメが注目されてきましたが、「ミネラル」つまり「鉱物」に対して抵抗があるというユーザーもいるとのこと。その点、アルカンは、肌を気遣うユーザーにとって、ミネラルコスメの原料の置き換えとなることが期待できるそうです。
アパレル、建材用途など視野にバイオマス可塑剤を展開へ

図3:バイオマス可塑剤「グリーンサイザー」。バイオマスを活用した環境商品の目印である「バイオマスマーク」を取得している
(写真提供:新日本理化)
最後に紹介するのは、「グリーンサイザー」です。こちらは塩化ビニル樹脂やポリウレタン樹脂向けの、パーム油やパーム核油などを原料とする可塑剤です。特に、サステナビリティへの取り組みの先端にいるアパレルや壁紙などの建材用途の需要が見込めそうとのことでした。
第3回では、同じく東京サスマ展から、創業から間もないながらも注目を集める企業の展示をレポートします。ご期待ください。
小林 由美(こばやしゆみ)
ライター/編集者。町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験した後、IT系メディアに入社。技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。

