バイオ溶剤でサステナブル時代に先手―日本リファイン【関西サスマ展レポート2023 第1回】

2023/07/13
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2023年5月17日~19日、材料技術および加工機械・技術の展示会「[関西]高機能素材Week」がインテックス大阪(大阪市)で開催されました。この中で「関西サステナブルマテリアル展」(関西サスマ展)に出展した企業のうち、「環境配慮」や「バイオマス」の取り組みに力を入れている化学系企業をChematels編集長・松川が注目したピックアップ。今回は、「日本リファイン」の展示やバイオマス関連製品への取り組みを紹介します。

有機溶剤のマテリアルリサイクルを手掛ける

主催者発表によると、来場者数は3日間合計で2万3217人。2019年開催時の8割ほどとのことでした。取材した体感ではコロナ禍以前のような賑わいでした。中でも、今回が3回目となる「関西サステナブルマテリアル展」(関西サスマ展)は、製造業や化学業界においてサステナビリティに関心が高まってきていることもあってか、大変な盛況ぶりでした。

出展企業の一つ、日本リファインは、有機溶剤を精製蒸留した溶剤リサイクル事業や、環境機器のエンジニアリング事業などを手掛けています。

「有機溶剤」というと工業用途の印象が強いものですが、塗料やインキなどの工業製品のほか、医薬品や化粧品など、日常生活のあらゆるところで使われています。半導体は「産業の米」とよくいわれますが、溶剤は「産業の血液」といえる存在です。それほどよく使われる有機溶剤に対する環境配慮は、サステナビリティに大きなインパクトをもたらします。

一方で、有機溶剤には、揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compound)などの環境に有害な物質のイメージもあるかと思います。有害物質を含む有機溶剤をめぐっては、法律で規制されているのは当然のこと、製品を取り扱う各社においても環境負荷低減のためのさまざまな検討や取り組みがなされています。

日本リファインは、有機溶剤のアップサイクル事業に取り組んでいます。顧客の工場などから使用済みの溶剤を回収して精製し、それを顧客に使用してもらうという事業です。同社によれば「純度99.9%」とのこと。

製法の「原点」に返り、バイオ溶剤事業を展開

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図1:日本リファインのバイオ溶剤事業に関する展示
⁠(筆者撮影)

さらに、日本リファインが展示でアピールしていたのが、バイオマスを原料としたバイオ溶剤のリサイクルです。取り扱い品目は「酢酸エチル」「n-ブタノール」「iso-ブタノール」「エチレングリコール(EG:Ethylene Glycol)」など。事業化を視野として準備を開始したのが2020年ごろとのことです。バイオ溶剤事業は、同社が国内の溶剤業界の中でアーリーアダプター的に取り組んでいるテーマだといいます。

同社が扱うバイオ溶剤は、いわゆる「発酵法」を基礎技術としたもの。「昔ながらの技術」と同社は説明します。

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図2:日本リファインのバイオ溶剤事業
⁠(画像提供:日本リファイン)

過去の大量生産・大量消費時代、溶剤製法の主流は発酵法から、石油化学原料で「安く・大量に」作れる合成法にシフトしたといいます。現状でも、植物を原料に発酵法で作るバイオ溶剤を市場で普及させるには課題はあるようです。製造コスト面では、これまでの合成法にかないません。過去に有機溶剤がより安価に求められ、合成法がそれに応えるように広まっていった経緯からすれば当然の話といえます。

これに対し同社は、取引先企業や消費者が今後より多様な価値観で製品を選ぶようになることに期待を寄せています。その一つが、「エシカル消費」に適した製品としてバイオ溶剤が好まれることへの期待です。エシカル消費とは、消費者それぞれが社会的課題の解決を考慮して消費活動を行うこと。サステナブルな社会の実現に向けた消費活動の変化に、バイオ溶剤などの製品で応えようとしています。

また同社は、「化粧品は肌に直接塗るものであることから、消費者は植物性の溶剤に対する意識や関心が高く、大手化粧品メーカーを中心にバイオ溶剤の採用が進んでいます」とも言います。化粧品は、製品の価格が多少高くなったとしても、消費者がうたわれている効能や成分、あるいはブランドイメージに魅力を感じれば投資をあまり惜しまないため、この特徴がバイオ溶剤の広がりを後押ししてくれているのではと見ています。

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図3:バイオマス原料から作られたアルコール除菌剤。展示会での配布品
⁠(筆者撮影)

日本リファインの新たな時代への「種まき」が功を奏すでしょうか。同社のバイオ溶剤事業は、サステナブル・ビジネスの可能性にかける取り組みといえます。

小林 由美(こばやしゆみ)

ライター/編集者。町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験した後、IT系メディアに入社。技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。