設備保全、時代は「定期」から「予知」へ【AIでサクサク!製造業の課題解決 第4回】

2023/05/18
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Chematelsの連載「AIでサクサク!製造業の課題解決」をお届けしています。第4回のテーマは「予知保全」です。設備の劣化を「予知」することで、最適な設備のメンテナンスを図ろうとする新たな動きが現れています。

連載の目次

設備故障による生産ライン停止に新たな策

かつて筆者が働いていた工場では、生産ラインがストップするほどの設備故障が年に数回ありました。設備担当者でもすぐには復旧できず、生産ラインが長時間にわたって立ち上げられないことも珍しくありませんでした。

設備故障による生産ストップが長期化するほど企業に損失をもたらします。そのため近年ではモノのインターネット(IoT:Internet of Things)と人工知能(AI:Artificial Intelligence)を組み合わせ、設備の劣化状態を予知する「コンディション・ベースト・メンテナンス」(CBM:Condition Based Maintenance)が注目されています。

インダストリー4.0でも重視される保全

製造業全体における重要なキーワードの一つが、「インダストリー4.0」です。これはドイツ政府が進める改革のことで、ネットワーク経由であらゆる製造機器のデータを収集・分析し、生産全体の最適化を目指すものです。

データ収集と分析のために使われている主なテクノロジーが、機器をインターネットにつなげるIoTとAIというわけです。

製造機器には自動的に機器を制御するための「プログラマブル・ロジック・コントローラ」(PLC:Programmable Logic Controller)とよばれる装置以外に、振動や温度、電流などを計測するさまざまなセンサーが付いており、IoTがそれらのデータを収集します。AIは、収集した膨大なデータを分析することに使われます。この二つを組み合わせることで、設備保全のあり方が様変わりします。

故障の前兆を感知し、部品交換するサービスを提供

従来の設備保全といえば、壊れてから部品を交換する「事後保全」か、定期的にメンテナンスをする「タイム・ベースト・メンテナンス」(TBM:Time Based Maintenance)が中心でした。冒頭のような事態は事後保全に当たり、速やかに復旧させることはなかなか難しいのが現実です。

またTBMには、使用頻度の高い機械も低い機械も画一的にメンテナンスを要するという欠点があります。本来、よく使用する機械であれば、予定していた時期より早めに部品交換をする必要がある一方で、そうでない機械に対しては部品交換のタイミングを遅らせても問題ないはずです。

その点、CBMは事後保全やTBMと異なります。設備の劣化状態を予知することで、設備それぞれの状態に合わせたメンテナンスを行います。

具体例としては、センサーデータや運転記録、運転ログからAIが劣化を予測します。燃料電池なら充放電回数や充電時間、複写機ならコピー回数といったように、機械それぞれの負荷や稼働状況を把握することで、適切なタイミングでの部品交換が可能となります。

これにより、早期発見による故障率の減少やメンテナンスコストの削減を期待できます。

CBMを事業化している企業の一つが、プレス機械を販売しているコマツ産機です。同社は、プレス機の動作状況を計測することで設備が故障する前兆を感知し、部品交換を行うサービスを提供しています。

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図1:CBMによる予知保全
⁠(画像提供:コマツ産機)

AIの普及によりCBMが浸透していけば、思わぬ機械トラブルで損失をこうむる工場も少なくなるはずです。

堀内 孝浩(ほりうちたかひろ)

ライター 大学卒業後、食品メーカーにて工程管理、設備管理、製造オペレーターなどを経験。現在は製造業の分野を中心にライターとして活動しており、「文系でも分かりやすい」をモットーに製造業の魅力を伝えている。