革新的! 工程の熟知が必要だった生産計画を自動化【AIでサクサク!製造業の課題解決 第3回】
2023/04/25Chematelsの本連載「AIでサクサク!製造業の課題解決」では、製造業における人工知能(AI:Artificial Intelligence)の活用事例を取り上げています。第3回のテーマは、工場運営の基本である「生産計画」です。多くの計画立案者を悩ます課題ですが、生産計画の属人化解消や効率化にAIが役立っているのです。
連載の目次
- 第1回 深層学習の「画像認識能力」で品質が向上
- 第2回 技能継承に悩む企業を新たな技術が救う
- 第3回 革新的! 工程の熟知が必要だった生産計画を自動化
- 第4回 設備保全、時代は「定期」から「予知」へ
- 第5回 MIで材料開発のスピードが飛躍的に向上
工程の熟知が必要という生産計画の課題あり
生産計画とは、「先の需要と手持ちの在庫から、作る品目と生産数をあらかじめ考えて定めること」をいいます。実際に計画を立てるときは、納期遅れや欠品をさせないことはもちろん、現場にあるさまざまな制約を考慮しなければなりません。
作る品目の順番はどうするか。どの機械でどの品目を作るべきか。機械の操作には誰を割り当てるべきか。これらによる無数の組み合わせの中から、最も良い組み合わせを選んでいくのが理想です。
しかしながら、生産計画の正確さを求めていくと、工程を熟知している社員にしか立案できない場合が多く、属人化しやすくなります。また、Excelのようなソフトフェアで作成すると膨大な時間がかかるというのも現場でよく起きる課題でしょう。
生産スケジューラによる緻密な計画にも細かいルール設定が必要
そこで導入されているのが、計画を自動立案できる「生産スケジューラ」です。特徴としては分単位、さらに秒単位の計画を、人が考えたものと同等以上の精度で導き出してくれることです。
図1:生産スケジュールの例。スケジューリングの結果を示している
計画の作成時間を短縮したい企業にとっては、渡りに船のようなソリューションではあります。しかし、生産スケジューラを導入しさえすれば問題が解決するかというと、物事はそうシンプルではありません。
というのも、生産スケジューラで望ましい計画を出すためには、ルールを細かく設定しなければならないからです。計画を緻密にしようとすればするほど、ルール設定そのものが複雑になり、運用における難度が高くなるのです。
AIの活用で計画作成がより効率的に
人間が複雑な設定をせずとも使いこなせるよう、近年ではAIを使用した生産スケジューラが登場しています。その中でも着実に成果を挙げているのが、国内トップシェアであるアスプローバが提供する生産スケジューラのオプション機能「Solver」です。
Solverはルール設定を細かくしなくても、AIが計画の良し悪しを判断し、最適な組み合わせを選び出します。例えば、「納期遅れと段取り替えを最小化したい」という目的に対して、納期遅れ件数と段取り回数をより小さくできる計画をAIが反復改善して求めていくのです。
図:Solverのイメージ
(画像提供:アスプローバ)
6時間かけていた生産計画の立案が2時間で済むようになり、納期遅れもなくなったというのは、Solverを導入した企業の成果の一例です。
アスプローバのエンジニア・伊東勇登氏は、「SolverはAI技術を活用し、稼働率や納期遵守率の向上を含む高水準の生産スケジュールを、誰でも簡単に作成できる未来を目指して日々進化しています」と展望を語ります。
生産計画という工場運営において重要な分野にAIを導入していくことで、より効率的な生産が実現できるようになるでしょう。
第4回は「設備保全、時代は『定期』から『予知』へ」の予定です。ご期待ください。
堀内 孝浩(ほりうちたかひろ)
ライター 大学卒業後、食品メーカーにて工程管理、設備管理、製造オペレーターなどを経験。現在は製造業の分野を中心にライターとして活動しており、「文系でも分かりやすい」をモットーに製造業の魅力を伝えている。
