影響力が大きいからこそ役割も大きい化学業界【For the SDGs 化学産業の競争力と共生力 第1回】
2022/05/12
連載の目次
- 第1回 影響力が大きいからこそ役割も大きい化学業界
- 第2回 中小企業も過去の豊富な経験を生かせる
- 第3回 スギや藻類などのバイオマスが日本の環境貢献と産業振興のカギに
- 第4回 企業の生産性向上にSDGs視点は不可欠
- 第5回 科学技術・イノベーションこそSDGs達成への原動力
Chematelsの新連載「For the SDGs 化学産業の競争力と共生力」は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)に向けた化学産業の貢献のしかたについての視座を提供するものです。化学産業の「競争力」と「共生力」を統合させることがSDGsに向けて大切になるという基本的な考えのもと、以上の5つの項目について各回で解説していきます。第1回では、SDGsの概要と、SDGsの実現に向けた化学産業の役割について見ていきます。
「誰一人取り残さない」社会の実現を目指す世界共通の目標、SDGs
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2030年までに達成すべき目標として国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」のことです。
「誰一人取り残さない(leave no one behind)」社会の実現を目指す世界共通の目標として、貧困や飢餓をなくす取り組み、エネルギーや産業・技術革新に関する項目、気候変動と災害に対する強靭性など、17の目標と169のターゲット(達成基準)から構成されています。
それぞれの目標には以下のように文言とロゴマークが決められています。
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図1:持続可能な開発目標(SDGs)における17の目標を表したロゴマーク
化学産業にも「競争」から「共生」への転換が求められる
SDGsは、全ての人々にとっての「あるべき状態」を示した成果目標です。つまり、2030年における「世界のあるべき未来」を定義し、全世界が合意した未来像といえます。
人々はこれまで「モノの豊かさ」を追求してきました。(そうして築かれた社会は「競争社会」といえます。)しかし、資源問題、エネルギー問題、食糧問題、環境問題などで世界的に行き詰まり、これからは「こころの豊かさ」を追求する方向への転換が強く求められています。こちらは「共生社会」といえます。これらの視点を図にまとめました。
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図2:競争社会と共生社会
化学産業は特に「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」と関連
化学業界の規模は、売上高31.2兆円、就業人数では18.5万人と、小さくありません。また、化学企業の多くは素材メーカーですので、サプライ・チェーンの上流に位置します。これらの企業は、大量の原材料を用いて大量の製品を大量のエネルギーを消費して生産し、かつ多くの廃棄物を大気や水中、地中へ排出しています。化学業界が地球環境に及ぼす影響力は大きいといえます。
もちろん、これらの企業の多くは省エネルギー、省資源、公害防止に努力を重ねており、環境やエネルギー問題の解消に貢献しています。化学業界にとって、SDGsの17の目標は全て関係していますが、特に目標12の「つくる責任つかう責任」、目標13 の「気候変動に具体的対策を」が大きく関連します。
次回は「中小企業も過去の豊富な経験を生かせる」です。どうぞご期待ください。
鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net
1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。
