【化学業界の基礎知識 -SCM編-】第1回 物流よりロジスティクスより大きなサプライチェーンマネジメント
2022/03/08
連載の目次
- 第1回 物流よりロジスティクスより大きなサプライチェーンマネジメント
- 第2回 成功の鍵はサプライチェーンの可視化
- 第3回 業界ごとに異なるサプライチェーンと管理方法
- 第4回 転ばぬ先のリスク対策
- 第5回 今後のサプライチェーンマネジメントに情報共有と技術導入は必須
Chematelsの好評連載「化学業界の基礎知識」では、今回から「SCM編」として「サプライチェーンマネジメント」(SCM:Supply Chain Mangement)をテーマにみなさんに役立つ知識・情報をお伝えしていきます。
サプライチェーンとはどういったもの?
サプライチェーンとは、「原材料を調達してから商品を消費者に届けるまでの生産・流通プロセス」のことです。供給(supply)の流れを、連続した鎖(chain)に見たてたもので、「供給連鎖」ともいいます。
サプライチェーンには二つの流れがあります。一つ目、「商品」の流れで、「原料調達 → 製造 → 在庫管理 → 物流 → 販売」と流れます。「生産者から消費者への流れ」といえます。二つ目は、「お金・情報」の流れで、逆方向の「消費者から生産者への流れ」になります。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とはどういったもの?
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは「モノの流れ」「お金の流れ」「情報の流れ」を連携させることで、サプライチェーン全体の最適化に取り組む手法をいいます。
最初にサプライチェーンマネジメントが注目されたのは1990年代なので、決して真新しい考え方ではありませんが、近年、再び注目を集め始めています。その要因は「経済および企業のグローバル化」「テクノロジーの進化」「労働人口およびビジネスモデルの変化」になります。従って、現在では、管理範囲が広汎になり、一元的なチェーン(鎖)でなく、多元的なネット(網)ワーク状のサプライネットワークを、デジタル技術を活用して構築し、最適化していくことが求められています。
「ロジスティック」や「物流」という言葉も聞くけれど違いは?
「ロジスティクス」(logistics)は、もともと軍隊用語で、軍需物資を補給する「兵站(へいたん)」という意味でしたが、いまは流通用語としても使われ、「顧客のニーズに合わせて効率的な形で計画・実行・管理すること」を指します。サプライチェーンマネジメントが、サプライチェーン全体を管理することを意味するのに対して、ロジスティクスは、サプライチェーンを構成する「サプライヤー」「メーカー」「物流業者」「小売業者」などの、各プレイヤー間の最適化および効率化を目指すものです。サプライチェーンマネジメントの一部に含まれる概念がロジスティクスであるといえます。
また、「物流」とは、「物的流通」を省略した言葉で、文字通り「物を流れるようにする」ことを指します。一般的に、物流にはの6つの機能、つまり「輸送」「保管」「包装」「システム」「流通加工」「荷役」があるとされ、これらを総合管理する活動は、サプライチェーンを機能させる上で重要な要素の一つです。
「ロジスティクス」と「物流」の違いについては、物流は「活動」であり、ロジスティクスは「経営管理」や「物流全体の最適化・適正化」と分けて考えるとよいでしょう。言い換えれば、ロジスティクスは物流を含んだトータルの管理と最適化となります。どちらも、より広範な概念であるサプライチェーンの一部であり、責任もその範囲内になります。
全体最適とはどういうことを意味する?
全体最適とは、「経営層が達成したい経営目標に向けて、個別組織の利害に基づいた意思決定ではなく、企業体としてサプライチェーン全体を視野に入れて、その動的特性を理解した上で、リアルタイムにダイナミックな意思決定をすることができている状態」といえます。サプライチェーンマネジメントでは全体最適が求められます。
「物流 < ロジスティクス < サプライチェーン」と心得ておく!
物流を含んだ概念がロジスティクスであり、さらにロジスティクスを含んだ意念がサプライチェーンマネジメントといえます。これらの包含関係を把握しておくと、考えの整理に役立ちます。
次回は第2回「成功の鍵はサプライチェーンの可視化」の予定です。ご期待ください!
鹿子島 達志(Tatsushi Kagoshima)/ SCE・Net
1949年生まれ。九州大学工学部卒。鐘淵化学工業(株)(現カネカ)他2社を経験。生産技術や調達部門にて多くの大型海外工場建設の責任者として従事。マレーシアにエンジ会社のMD(社長)として2年間駐在。化学工学会のコストエンジニアリング部会員で活動、SCE・Net会員。現在、生産技術コンサル業のイーグレテック代表。
