【化学業界の基礎知識 -輸出入業務編-】第4回 禁止の有害物質、10個言えますか?―RoHS10とは?
2021/09/30
連載の目次
- 第1回:その輸出品、兵器になりませんか?―輸出貿易管理令
- 第2回:日本企業も無関心ではいられない―REACH規則
- 第3回:有害物質規制のエリート―RoHS指令
- 第4回:禁止の有害物質、10個言えますか?―RoHS10
Point
「RoHS10」は、欧州連合(EU)に上市する電気・電子機器などの製造において特定有害物資の使用を制限するためのRoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の対象となる10種類の有害物質を指します。
RoHS10の有害物質とは?
RoHS指令では従来、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB:PolyBrominated Biphenyl)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE:PolyBrominated Diphenyl Ether)の6物質が制限物質でしたが、2019年7月22日からRoHS指令が一部改正され、新たに、フタル酸ジ-2-エチルへキシル(DEHP:Bis(2-EthylHexyl)phthalate)、フタル酸ブチルベンジル(BBP:Benzyl Butyl Phthalate)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP:DiButyl Phthalate)、フタル酸ジイソブチル(DIBP:DiIsoButyl Phthalate)のフタル酸エステル類4種類が追加され、禁止物質が10種類になりました。

RoHS10までの改正の流れは?
欧州RoHS指令の設立からの流れを簡単に振り返ります。
RoHS指令(2002/95/EC、通称RoHS1指令)は、EU域内で流通する電気・電子機器(EEE:Electrical and Electronic Equipment)の対象10製品群のうち、8製品群に対し、特定の有害物質の使用を制限する指令として2006年7月1日に施行されました。
2011年7月21日に改正RoHS(2011/65/EU、通称RoHS2指令)が発効しました。旧RoHS指令(RoHS1指令)は2013年1月2日に廃止されました。
この改正により、RoHS1で適用が除外されていた製品群8(医療用機器)、製品群9(監視・制御機器)が対象となり、新たに製品群11として「その他の電気・電子機器」が制限対象に追加されました。これにより、ほぼすべての電気電子製品が適用範囲になりました。
また、CEマーキング制度が適用され、EU市場に上市するにはCEマークの貼付が必要となり、適合宣言書、技術文書の作成・販売記録の10年間の保管が義務づけられました。
このRoHS2で制限物質を定めた2011/65/EUの付属書IIが、官報2015/863/EUで改訂され、2019年7月22日から適用されました。これで禁止物質が10種類になりました。これが「RoHS10」です。
RoHS10への改正の主なポイントは?
新たにフタル酸エステル類4物質が追加されたことです。あらためて、RoHS10の物質を示します。
・従来の6制限物質
鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル類(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDE)
・追加4制限物質
フタル酸ジ-2-エチルへキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル (BBP)、フタル酸ジブチル (DBP)、フタル酸ジイソブチル (DIBP)
また、RoHS10で追加された4物質の規制開始時期が、対象製品ごとに定められました。従来の6物質を含む、計10物質の規制開始時期を、表1に示します。

表1 カテゴリ別のRoHS10規制開始時期
Message
今後のRoHS指令にも注目!
RoHS指令では、定期的な禁止物質の検討および追加の実施が定められています。RoHS指令は、世界のモデルとなる影響力の大きな制度でもあるので、今後も動向に注目していくことが重要です。
「化学業界の基礎知識」の「輸出入業務編」は今回で終了です。次回より「品質管理と製品規格編」がスタートします。ご期待ください!
猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net
東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。
