政府の取り組み「バイオプラスチック導入ロードマップ」【バイオプラスチックの基礎知識 第4回】

2021/08/10

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循環型社会の実現に向け、開発が加速するバイオプラスチック。

本連載では、その開発状況や現状の課題、今後の可能性についてお伝えしていきます。

連載の目次 

第1回:バイオプラスチックとは

第2回:生分解性プラスチックの開発と課題

第3回:バイオマスプラスチックの開発と課題

第4回:政府の取り組み「バイオプラスチック導入ロードマップ」

第5回:生分解性プラスチックとマイクロプラスチック問題

「プラスチック資源循環戦略」における位置づけは?

海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」。2019年6月開催のG20大阪サミットでこの戦略が発表されるのに先立ち、同年5月には「3R+Renewable(再生可能資源への代替)」を基本原則とした「プラスチック資源循環戦略」※1が環境省によって策定されました。

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この中で、バイオプラスチックについては、「2030年までに最大限(約200万トン)を導入する」という目標が設定され、その実現に向け「バイオプラスチック導入ロードマップ」の策定が進められました。今後のバイオプラスチックの取り組みの指針として、そのポイントを紹介します。

「バイオプラスチック導入ロードマップ」とは?

バイオプラスチック導入の基本方針は、大きく2つの柱から成ります。

・使い捨て容器包装など、回避可能なプラスチック使用の徹底的削減

・バイオプラスチックの環境負荷低減効果等の価値の最大限の活用

さらに以下4つの観点から、対策の方向性が示されています。

(1) 原料対策

将来的な需要増加を見据えた原料の多様化に取組み、国内バイオマス利用を拡大する。

(2) 供給対策

日本企業による製造の拡大を支援し、国内プラスチック製造事業者の製造拡大に取り組む環境を整備する。

(3) コストについて

コストの最適化を図るため、原料調達や製造等におけるバイオプラスチック関連企業・団体の主体的な連携や協働、研究開発への投資や設備導入への支援を検討。さらに環境価値訴求等による利用促進を進める。

(4) 使用時の機能について

従来品と同等の機能を持つバイオプラスチックを開発・導入することで製品群を拡大。新たに高機能バイオプラスチックを開発・導入することで用途拡大を推進する。

さらに、導入に向けた具体的施策としては、以下3つの視点から示されています。

■ 利用促進

・利用目標・取組事例の提示、需要量の見通し等を示すことで円滑な供給に結びつける

・グリーン購入法※2による政府率先調達の推進と、そのための判断基準を強化

・グリーン購入制度による地方公共団体の率先調達の推進

・バイオプラスチック利用促進につながるリサイクル制度の検討

■ 消費者への訴求・普及啓発

・環境負荷の低減効果や、持続可能性を訴求できる認証制度を構築する

・バイオプラスチック製品の正しい理解に向けた消費者の普及啓発

■ 研究開発・生産体制の整備

・バイオプラスチックの研究・開発・実証事業への強力な支援策

(特に、国内バイオマスの利用、国内バイオプラスチック製造を重点的に支援する)

・バイオプラスチック製造設備の導入を支援

・上記の研究開発や設備導入のため、資金調達の円滑化を支援する 

目標達成は可能か?

今回の「バイオプラスチック導入ロードマップ※3」は、残念ながら、プラスチック資源循環戦略の「2030 年にバイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入」マイルストーンを達成する指標としては、不十分と言わざるを得ません。日本のバイオプラスチック市場投入量は4万5千トン(2018年)※3に過ぎず、200万トン導入の達成は容易ではないことは明らかです。

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今回紹介したロードマップに示された施策は、現状の理解に基づく現実的な計画ではあります。しかし従来から指摘されてきたように、石油化学を原料とした従来のプラスチックとのコストパフォーマンスの差を埋めない限りは、需要の拡大は見込めません。そのためには、画期的なバイオプラスチックの製造技術・リサイクルシステムを進展させるような、抜本的な施策が必要です。ロードマップにも記述されているように、計画の早期の見直し・更新を期待したいと思います。

【参考文献】

※1 環境省「プラスチック資源循環戦略」

 https://www.env.go.jp/press/106866.html

※2 環境省「グリーン購入法」

 https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/

※3 環境省「バイオプラスチック導入ロードマップ」

 http://www.env.go.jp/recycle/bioloadmap_210329.pdf

猪股 勲(Isao Inomata)/ SCE・Net

東京大学工業化学修士課程修了。三菱ケミカル(株)で、石油化学関連の技術開発・事業開発、企画業務に従事。その後、日本バイオプラスチック協会に奉職。石油化学全般、バイオプラスチック、プラスチック廃棄物管理、気候変動などの環境問題に広く精通。2015年よりSCE・Net所属。ITIコンサルタント事務所チーフコンサルタント。