ホルムズ海峡問題で日本の原油・ナフサ・エチレン動向の関心急上昇…Cheamtels関連記事をまとめて紹介

2026/03/26

Image

2026年3月になり、Chematelsでよく読まれている記事の傾向に大きな変化がありました。「原油」関連の記事に、これまでない大きな関心を寄せていただいています。おもな背景として、2月末の米国とイスラエルのイランへの攻撃開始により、原油の輸送の要衝ホルムズ海峡が封鎖同様の状況になり、原油と副生物であるナフサやエチレンなどの需給状況や価格の動向に注目が集まっているものと分析しています。そこで今回の記事では、「原油」「ナフサ」「エチレン」の関係性を軽くおさらいした上で、Chematelsのこれまでのこれら化学品の関連記事をまとめて紹介します。

原油を蒸留してナフサに。ナフサを分解してエチレンに

利用フリー画像

Image

図1:原油・ナフサ・エチレンの関係性

原油は、産出されたままの石油のことです。原油を精製装置で蒸留すると、温度帯ごとに複数種類の石油製品となります。その一つがナフサです。ナフサはガソリンと同じ温度帯でつくられ、成分も似かよっていますが、未精製であるため「粗製ガソリン」とも。ナフサ自体をなにかの製品に使うことはほぼなく、その先の製品を作るための中間製品に位置付けられます。

このナフサをナフサクラッカーとよばれる装置で熱分解すると、炭素数ごとに大まかに「C2留分」から「C8留分」までの生成物などを作ることができます。これらのなかで、炭素数が2の「C2留分」がエチレンとなります。エチレンは、プラスチック、繊維、塗料に加工され、自動車や建材などのさまざまな製品に使われます。

なお、ナフサをクラックする、つまり分解する装置「ナフサクラッカー」は、生成物の一つとしてエチレンをつくりだすので、「エチレン生産装置」とも呼ばれます。

日本では、2025年の時点ですでに、全国各地のナフサクラッカーを再編する構想が化学メーカーにより立てられていました。その動向が気になるなか、2026年2月の米国・イスラエルのイラン攻撃開始により、エチレン原料である原油の供給の見通しが不透明となったため、原油、ナフサ、エチレンいずれも価格変動に関心が寄せられているわけです。

日本が「産油国」になる可能性を大胆解説!

ここからは、Chematelsの原油、ナフサ、エチレン関連記事を紹介をします。

Image

原油を輸入しづらい状況であれば、日本周辺で採ることはできないか……。こうした疑問に答えるChematelsの記事が、「日本が産油国に? 変わりつつある石油と天然ガスの世界図」です。ジャーナリスト石川憲二さんの連載「知られざる海底資源を掘り起こす」の第6回となります。

記事では、原油となる化石燃料は地球にさまざまな形で存在していることを「化石燃料のトライアングル」という図で示します。その上で、希望的なことに、日本の領海やその周辺に「ポテンシャルを持った海域が存在するのは確か」と伝えています。

日本が産油国になる可能性はいかに……。ぜひ、記事をご覧ください。

「ナフサクラッカー」の基本知識を2本だてで解説

つぎに、「『石油化学の出発点』といわれるクラッカーとは?」という記事を紹介します。石油化学コンサルタント柳本浩希さんの「石油化学コンサルタントがずばり解説」シリーズの記事で、ナフサクラッカー、つまりについて解説するもの。「概説編」と「Q&A編」の2本だてです。

Image

概説編では、ナフサクラッカーを経ることにより、いろいろな物質に合成したり変化させたりすることができるようになるため、「クラッカーは『石油化学の出発点』といわれる」と解説しています。そして、ナフサクラッカーにより分けられる留分の図を掲げ、用途などを詳細に紹介しています。

Image

Q&A編では、例えば、「クラッカーは一つの装置なのですか?」という質問に対し、柳本さんが「分解する分解炉だけでなく、その後のプロセスを扱う多くの反応塔がそびえ立っており、それら全体でクラッカーを形成しています。ですので、一つの大きな工場をイメージするとよいと思います」といったように、分かりやすく答えています。こうしたQ&Aが7個。ナフサクラッカーの基本的な知識を身につけることができます。

日本で進むエチレン生産装置再編、「計画実行後」を予想

では、ナフサクラッカー、つまりエチレン生産装置の日本の現状と今後の再編見通しはどうなのか……。この疑問に答える記事が「『停止計画』相次ぐ国内エチレン装置、実行なら生産能力は現状の7割程に」です。おなじく柳本さんの執筆する「石油コンサルがずばり解説」シリーズの記事の一つです。

Image

記事では、ナフサクラッカーを稼働させている各企業が検討している統廃合計画をもとに、各計画が実施された場合のエチレン生産能力の減少度合を算出し、図版として掲げています。これによると、全計画が実行された場合、生産能力は「現状の7割程」になると見積もっています。

実際、2026年1月以降、「水島のエチレン生産停止へ」「エチレン減産、千葉と山口で」といった報道が相次ぎ、記事で伝えた再編が現実のものになりつつあります。

ナフサクラッカーの再編をめぐる柳本さんの記事は、韓国・中国の状況を解説した「『合理化』進む韓国・中国エチレン装置、減産・生産集約へ」という記事もありますので、合わせてお読みください。

市況情報でも原油、ナフサ、天然ガスなどの輸入価格情報を発信

Chematelsではほかにも原油、ナフサ、天然ガスをはじめとする月別の輸入価格動向を「市況情報」でグラフを使ってお伝えしています。

無料の会員登録をしていただくと、掲載中の市況情報をすべて閲覧できるようになります。また、記事・コンテンツの更新情報などをメールで受けとることもできます。

市場動向の先行きを見通しづらいいま、ぜひ、Chematelsで気になる化学品の市場動向をチェックしてみてください。

Image

漆原 次郎(うるしはら じろう)

フリーランス記者・編集者、Chematels副編集長 神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌、経済誌、ウェブニュースなどに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム(MAJESTy)修了。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。