滴定指示薬の色を目視でなく自動解析、データインテグリティ対応―フロイント産業【インターフェックスWeek東京レポート 第3回】

2024/09/12
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2024年6月、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催された医薬品・化粧品・再生医療に関する日本最大級の国際展示会「インターフェックスWeek東京」をレポートしています。出展した企業の中からChematelsが独自に注目した技術やサービスを解説。第3回は、フロイント産業が販売する滴定画像自動化装置「HIPPO SCAN(ヒッポスキャン)」です。滴定に用いる指示薬の色変化を画像解析することで従来ではできなかった滴定試験の終点判定を自動化します。

色の変化を客観的にグラフ化

溶液の濃度をはかる方法の一つに滴定があります。濃度をはかりたい溶液に、濃度の分かっている溶液を加えて反応させ、加えた溶液の体積から濃度を求めます。

HIPPO SCANは、反応したことの目印となる指示薬の色の変化を画像解析することで滴定試験を自動化する装置です。ロボットアームを製造するアイ・モーションテクノロジー(岩手県盛岡市)が開発したもので、フロイント産業(東京都新宿区)が代理店として販売しています。

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図1:展示されていたHIPPO SCAN。カバが口を大きく開けているように見えることからHIPPO(英語でカバの意味)の名がついたという
⁠(筆者撮影)

指示薬法による滴定分析では作業者が指示薬の色変化を目視で確かめるため、終点の判別に個人差が生じてしまいます。経験が求められることもあり、熟練者から未経験者へのトレーニングが十分にできないと技術を継承できない場合もあります。また、わずかな色の変化を目視で見極めるため、作業者には身体的・精神的な負担がかかります。アナログ作業であるが故、データの入力漏れや入力ミスのリスクが伴います。

HIPPO SCANのコンセプトは、「色を数値化、誰が操作しても同じ結果に」。独自の画像分析技術によって、指示薬の色の変化を色データとして数値化し、グラフ化し、カメラで撮影した画像と合わせてパソコンの画面に表示します。こうすることで、作業者による主観的な判断から、画像分析による客観的な評価に移行することが可能となります。

また、電動ビュレットと組み合わせることで、滴下量と、滴下のインターバルを自動制御できます。あらかじめ設定した画像の色データ数値をもとに、指示薬ごとに決まった色値に到達すると自動で滴下が終了します。アイ・モーションテクノロジー代表取締役の岡田靖さんは、「指示薬法の中には、滴下してから30秒間後に判定すると定められているものがあります。このようなインターバル設定にもHIPPO SCANは対応しています」と話し、自動化による作業効率アップをアピールポイントの一つに挙げます。

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図2:HIPPO SCANでは色の変化をグラフで示す
⁠(筆者撮影)

医薬品製造で注目のデータインテグリティに対応

HIPPO SCANのもう一つの特長が、データインテグリティに対応していることです。データインテグリティとは、データが完全で一貫性があり、正確であることを指します。特に製薬企業では、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)や欧州医薬品庁(EMA:European Medicines Agency)が提示する、下記の「ALCOA原則」に則ったデータであることが求められます。

 ALCOA原則
 ⁠・帰属性(Attributable): 誰が書いたか分かる
 ⁠・判読性(Legible): 読み取れる
 ⁠・同時性(Contemporaneous): データの生成と同時にデータが記録されている
 ⁠・原本性(Original): データが原本であり、複製や転記されたものではない
 ⁠・正確性(Accurate): データが正確である

HIPPO SCANでは、色データを数値化してグラフ化します。測定と同時に過程も含めて記録されるため、記録の信頼性が向上するというわけです。

フロイント産業とアイ・モーションテクノロジーは、訪問やオンラインによるHIPPO SCANのデモンストレーションやレンタルサービスを実施しているとのこと。ありそうで意外になかった滴定画像自動化装置を導入して、指示薬法の省力化や自動化を図ってみてはいかがでしょうか。

次回はいよいよ最終回。温度検知ラベルを用いた温度管理サービスを紹介する予定です。

島田 祥輔(しまだしょうすけ)

サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。