添加剤の新施設で顧客と製薬課題を解決!―日本曹達【インターフェックスWeek東京2024レポート 第1回】

2024/08/22
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2024年6月、「インターフェックスWeek東京」が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されました。この展示会は、医薬品・化粧品・再生医療に関する日本最大級の国際展示会で、製造設備や原薬だけでなく、近年注目されている製造デジタル・トランスフォーメーション(DX:Digital transformation)や研究DXといったソフトウェアやサービスも多く紹介されていました。そこで、出展企業の中からChematelsが独自に注目した技術やサービスを解説します。第1回は、日本曹達のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とフマル酸ステアリルナトリウム(SSF)です。

結合剤HPCへの要望を起点に、顧客とのコラボ施設オープン

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図1:日本曹達のブース
⁠(筆者撮影)

ヒドロキシプロピルセルロース(HPC :Hydroxypropyl cellulose)とは、セルロースに酸化プロピレンを反応させて得られるセルロース誘導体です。日本曹達(東京都千代田区)では1969年より「NISSO HPC」が販売されており、医薬品を製剤化する際の結合剤として広く使用されています。フィルムコーティングの基剤や可塑剤としても使用できる他、近年では難水溶性薬物の溶解性改善基剤として適用されるなど、NISSO HPCには多くの機能があります。

医薬品市場は世界的にも拡大しており、NISSO HPCの販売は着実に増加しているとのこと。同社の営業担当は、「NISSO HPCは60カ国以上で販売されています。需要の高まりを受け、新潟県にある二本木工場の生産能力を2026年までに現在の1.5倍に増強する予定です」と、話します。

NISSO HPCの販売が順調である一方で、顧客からは「多機能であるが故に使い方がわからない」という声も聞くようになったそうです。そこで同社は、製品だけでなくソリューションとセットで提供し、顧客とともにNISSO HPCの新たな価値を共創するコラボレーション施設として「セルローステクニカルアプリケーションセンター」(CTAC:Cellulose Technical Application Center)を2019年に開設しました。

同社の研究員は、「製薬企業では開発や製造を外部に委託することが増えており、製薬会社の社員でもNISSO HPCの機能についてあまり詳しくないということが増えてきました。そこで、HPCを利用した製剤技術の基礎から応用まで学ぶことができる研修コースを設けました。座学だけでなく、弊社の製剤機器や分析装置を用いてお客さまの課題を解決する立会実験も行っています。他に、出張セミナーやウェブセミナーも開催しています」と話します。製薬企業と多くの接点を持ちたいという姿勢がうかがえます。

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図2:CTACを紹介する映像
⁠(筆者撮影)

研修や立会実験の雰囲気はとてもフレンドリーで、コミュニケーションの場としても機能しているとのこと。同社の別の研究員も、「お客さまとの距離が近くなり、私たちに相談するハードルも下がっているように思えます。実際、CTACが開設されてからNISSO HPCの売上は伸びています」と話します。顧客の課題解決に大きく貢献しているそうです。

連続生産にも適した滑沢剤SSF、「3局対応」めざす

NISSO HPCと並んで日本曹達が注力しているのがフマル酸ステアリルナトリウム(SSF:Sodium stearyl fumarate)です。同社の「NISSO SSF」は、医薬品製造時に打錠機から錠剤を外しやすくする滑沢剤です。

同研究員は、「滑沢剤として以前からステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウムがよく使われていますが、これらは配合禁忌が多く、原薬によっては使えないことがあります。また、ステアリン酸マグネシウムを添加すると過混合によって錠剤物性が悪化しやすくなり、品質トラブルの原因になります」と、現在よく使われている滑沢剤の課題を挙げます。

その上で、「NISSO SSFについては活性が低いため、他の滑沢剤で配合禁忌となる原薬にも適用できます。過混合の影響を受けにくく、長時間混合した際の錠剤硬度の低下や崩壊遅延のリスクを低減できます。特に連続生産では過混合を回避する目的でNISSO SSFを使えば管理コストの削減にもつながります」とアピールします。

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図3:NISSO SSFを紹介する映像
⁠(筆者撮影)

同社は2025年までに、日本・米国・欧州の各薬局方に適合する「3局対応」をNISSO SSF で目指しているとのこと。前述のコラボレーション施設CTACで、NISSO HPCと共にNISSO SSFを使用した製品開発の支援をしているそうですので、医薬品製造に課題がある方は検討してはいかがでしょうか。

次回は、メッセンジャーRNAワクチンでニーズの高まる「酵素」を展示する企業ブースを訪れる予定です。

島田 祥輔(しまだしょうすけ)

サイエンスライター 1982年生まれ。名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻修了。特に遺伝子に興味があり、遺伝子の研究によって医療や生活がどう変わっていくのかに注目している。また、腸内細菌検査サービス「マイキンソー」のオウンドメディア「Mykinsoラボ」の編集長を務める。