【化学業界の基礎知識 -品質管理と製品規格編-】第2回 顧客満足のためISOにイソしもう!―ISO9001とは?

2021/10/21
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連載の目次

Point
ISOは、国際標準化機構(InternationalOrganization for Standardization)というスイスに本部を置く非営利法人の名称で、この組織が定めた規格を「ISO規格」と呼びます。その一つであるISO9001は、会社や組織が提供する商品やサービスの品質向上を目指した品質マネジメント・システムに関する規格であり、「モノの品質」ではなく「組織の品質」と理解することができます。

ISO規格の基本的なしくみは?

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図1 PDCAサイクルというISO規格の基本

基本的なしくみは図1に示す「PDCAサイクル」から成り立っています。

ISO規格の実行は、会社に決まりごとをつくるところから始まります。「計画」(Plan)をつくって文書化し、きちんと「実行」(Do)しているかを第三者に「証明」(Check)してもらい、「処置・改善」(Action)を続けていくことで、企業に導入されたISO規格は初めて成り立ちます。

どのような規格がある?

多種多様な規格があり、規格の数は2021年9月現在で約2万4000にもなります。代表的なISO規格を表にまとめました。わずかこれだけの規格でも、種類が多岐にわたることが分かると思います。

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表1 多岐にわたるISO規格

ISO9001で目指すことは何?

顧客満足の実現」です。「継続的に製造およびサービス提供プロセスを改善するしくみを運用することにより、よい商品やサービスをお客さまに提供し続けることができる」という考え方に基づいています。

例えば、お菓子工場で商品を作る場合、「砂糖を100g使う」というルールがあっても、「計量器を使う」というルールがないと、砂糖の分量の加減は従業員ごとに異なってしまい、品質つまり味にバラつきが出ます。そのようなバラつきが出ないように、ルールを設けるわけです。

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図2 ISO9001導入前後の品質管理システム

図2に品質管理システムにおけるISO9001導入による変化のありさまを示ました。従来は個々の従業員の個人的な努力で、各工程の品質改善を図ってきましたが、マネジメントシステムの導入により、それぞれの工程が円滑に実行できるようになったことが分かります。

ISO9001で得られる効果とは?

顧客はもとより実施者たちにも、さまざまな効果を期待することができます。

1. 顧客満足実現
⁠顧客ニーズを理解し、顧客の期待を超えるようにするために、顧客が「どれくらい」「どのような」期待をしているかを知ることができるようになります。

2. 業務の標準化
⁠業務を可視化することができます。なんとなくこなしていた業務から発生するミスやロスの原因を発見することになり、新人教育・訓練の時間を短縮します。

3.クレームの再発防止
⁠クレームや苦情が発生した場合、なぜ起こったのかという原因分析をするために、同じ失敗を繰り返さないしくみが構築できます。

4. 管理者の養成
⁠自分が何を管理するのか意識するようになるので、責任と権限を明確化できます。管理能力を向上させるISOは、責任・権限委譲システムの側面ももっています。

5. 広告・営業効果
⁠マネジメントシステムを構築することで、社員一人一人の意識改革はもとより、組織としての顧客対応能力を確実に向上させることができます。

Message
ISO9001を通じて企業活動の効果を得る!

顧客満足の実現を目標に、組織の品質管理を実行することで、さまざまな効果を得ることができます。品質マネジメントシステムのようなしくみを利用して企業活動の効果を得るといった考え方もできるでしょう。

次回は第3回「自動車は品質管理のカタマリ!―IATF16949」の予定です。

【参考文献】

1)経済産業省「新たな基準認証の在り方について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/pdf/006_02_02.pdf

2)ISO支援.com「ISOとは? ISOについて分かりやすく書いています」
https://isoshien.com/iso/

3)ISOプロ「【図解】ISOとは?サルでも分かるISO入門」
https://activation-service.jp/iso/column/type-iso/1612

中尾 眞(Makoto Nakao)/ SCE・Net

1948年生まれ。東京大学大学院化学工学修了。旭硝子(株)にて研究開発部、化学品営業部などに在籍し、イオン交換膜法食塩電解技術関連の開発・営業およびPEM燃料電池開発に従事。2006年より(公社)化学工学会SCE・Netの活動に参加し、現在代表幹事を務める。