MIを、あの手この手で 助けます【探れ! マテリアルズ・インフォマティクス 第4回】

2021/02/17

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近年、「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)」が注目を集めています。でも、「聞いたことあるけど、なんだか難しそう…」とか、「機械学習を使う? アナログ人間なもので、そう言われても…」なんて呟いてしまいがちな方々も多いのでは?

そんな方々にこそお届けしたい! ChematelsプレゼンツのMIインタビュー企画です。

今回は、「MI界の新星」との評判も立つMI-6株式会社で執行役員を務める入江満さんに、企業にとってのMI導入の利点や要点を聞きました。

MIを用いた事業活動、ってどんなもの?

MI-6は2017年11月に設立した新しい会社です。メンバーは15人ほどで、MIを活用した材料開発研究、開発支援、コンサルティングなどを進めています。

事業の軸は、主に三つあります。

一つ目は、解析者として顧客と一緒にMIを活用したプロジェクトを進めるというものです。共同開発や受託解析をイメージしていただくとわかりやすいでしょうか。

二つ目は、解析ソフトウェアの開発です。化学メーカーがMI技術を内製化する際などに使うソフトウェアをつくっています。すでにソフトウェアの提供を開始していますが、並行して必要なブラッシュアップも行っています。

そして三つ目が、実験・測定ハードウェア、いわゆる実験ロボットの開発です。より均質で大量のデータを取得することにより、MIの可能性を拡張させるようなロボットを開発中です。現状では限定的なことしかできませんが、適用範囲を広げることを目指しています。

目下は3つの事業とも高精度に、多くの価値を生み出せるところまで高めていくことを目標にしています。 

化学メーカーがMIを導入するメリットって、どこにある?

MI導入のメリットは大きく二つあると考えています。

一つは、長期的な視点での経営効率化です。ベストなレシピを探し出すとき必要となる素材調合の割合、化学組成、実験環境などの各種パラメータ最適化は、コンピュータの得意とする作業です。一度で結果が出なくても、また、革新的な素材を見つけるわけでなくても、長期的にはMIの導入が効果を発揮していきます。

もう一つは、人間が考えつかないようなアイデアを出してくれるというものです。求める性質や特性を、想定とまったく異なる材料で実現することもあり得ます。低コスト化だけでなく、実験環境や手順の簡素化まで可能にできるかもしれません。これは1つ目のメリットとは違って不確定要素の大きなものですが、当たれば特大のメリットになります。

過去の事例では、文献や特許データからマーケット参入の実現可能性を探りたいという企業の依頼がありました。素材分野への参入を考える上で、設備費用のかかる実験を行う前に、情報科学的な解析を行うことで投資リスクを抑えようとするものです。MIを活用して検証したところ、よい特性を持つ材料ができそうだとの結果が出ました。妥当性を得られたため、その後マーケット参入を目指して実験で検証していただくことになりました。

MIを進めるには、どんな人材が必要?

化学メーカーがMIを活用するためには情報の専門家が必要と考える方もいます。実際はそうでもありません。私たちのような外部の専門知を使うこともできますし、ソフトウェアで代替できる場合もあります。

また、理系・文系に関係なく、MIの活用にはさまざまなコミュニケーションが不可欠です。情報、化学、マネジメントなどの分野をまたぐプロジェクトになるので、知ったふりをせずに、密なコミュニケーションをとることが大事になります。

会社としての組織構造を考えると、実験の結果を出す責任を持つ人だけでなく、MI導入を推進する責任を持つ人もいないとプロジェクトが中途半端に終わるおそれがあります。開発者やチーム単独でなく組織としてプロジェクトを進めることが、長期的なメリットを得ることにつながります。

また、開発チームの人が、コンピュータに「使われる」ような進め方ではうまくいきません。MIは「使う」ものという意識で作業できる状況をつくることが、積極性や継続性をもたらします。

具体的なMI導入事例や、事業としてのポイントを入江さんから聞くことができました。次回はどんな人物から話を聞けるでしょうか。乞うご期待!

本田 隆行(ほんだ たかゆき)

科学コミュニケーター 神戸大学大学院 自然科学研究科 地球惑星科学専攻修了(理学修士) 。大学時代の専攻は地球惑星科学。大学院時代に探査機「はやぶさ」理学ミッションに携わる経験を持つ。その後、地方公務員事務職(枚方市役所)・国立科学館勤務を経て、国内でも稀有なフリーランスの科学コミュニケーターとして活動中。展示プランニングや科学実演の実施・監修、大学講師やイベントファシリテーター、サイエンスライティングなど様々な仕事をこなす。著書に「宇宙・天文で働く」(ぺりかん社)

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